ものづくり補助金平成24年度栃木県

特性の異なる二種類の微粒子を共析した低摩耗・高耐久性、無電解複合めっき膜の開発

桑名商事株式会社

成果PTFE+シリコーン複合めっき膜は、対PPS・対SUJ-2ともに摩擦係数が硬質クロムめっき膜の1/4以下を達成した。

この事例のポイント

  • 大手自動車部品メーカーなどから、プラスチック射出成形の生産性向上を目的として、金型等の離型性と耐久性を同時に向上する技術が求められていた。
  • h-BN、SiC、PTFE、MoS2、シリコーンの中から二種類の微粒子を選定し、無電解複合めっき膜の作製を行った。
  • PTFE+シリコーン複合めっき膜は、対PPS・対SUJ-2ともに摩擦係数が硬質クロムめっき膜の1/4以下を達成した。PTFE+シリコーン複合めっき膜は、対PPS・対SUJ-2ともに摩擦係数が硬質クロムめっき膜の1/4以下となり、PTF…

事業者のプロフィール

事業者名桑名商事株式会社
所在地栃木県 真岡市
業種はん用機械器具製造業
技術分野めっき
従業員数75人
資本金5,000万円
設立1956年

事業の背景

プラスチック成形金型の表面処理には硬質クロムめっきが広く用いられており、その市場規模は120億円程度とされている。硬質クロムめっきの代替市場を獲得することを目指していた。CVDなどのドライプロセスに比べて安価であることから、市場での競争力も見込まれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大手自動車部品メーカーなどから、プラスチック射出成形の生産性向上を目的として、金型等の離型性と耐久性を同時に向上する技術が求められていた。
  • 品質・精度プラスチック成形金型用の硬質クロムめっきは離型性や耐ガス性に課題があり、より高潤滑で耐久性の高い代替膜が求められていた。

やったこと

h-BN、SiC、PTFE、MoS2、シリコーンの中から二種類の微粒子を選定し、無電解複合めっき膜の作製を行った。SiC+BN、PTFE+シリコーン、BN+MoS2の組み合わせで二種類の微粒子が均一に共析することを確認した。PTFE+シリコーンとBN+MoS2の複合めっき膜について、重量法やGCMS法、ICP発光分光法で共析量と割合を測定し、摩擦摩耗特性を評価した。小型射出成形機の金型に成膜し、PP、ガラス繊維強化PP、POM、ナイロン、エラストマーの成形時の離型抵抗を比較した。

新しい製品・サービス:二種類の微粒子を共析した低摩耗・高耐久性の無電解複合めっき膜(PTFE+シリコーン複合めっき膜、BN+MoS2複合めっき膜)

事業の効果

  • PTFE+シリコーン複合めっき膜は、対PPS・対SUJ-2ともに摩擦係数が硬質クロムめっき膜の1/4以下を達成した。
  • PP成形時の離型抵抗 31.63kgf→22.01kgf
  • ガラス繊維強化PP成形時の離型抵抗 30.19kgf→28.65kgf
  • PTFE+シリコーン複合めっき膜中の微粒子共析量の合計は4.9wt%、共析割合は重量比85:15。
  • BN+MoS2複合めっき膜中の微粒子共析量の合計は4.2wt%、共析割合は重量比95:5。

PTFE+シリコーン複合めっき膜は、対PPS・対SUJ-2ともに摩擦係数が硬質クロムめっき膜の1/4以下となり、PTFE複合めっき膜より耐久性が高く3000Lapまで安定だった。BN+MoS2複合めっき膜は硬質クロムめっき膜より低摩擦だった。射出成形では、PP、ガラス繊維強化PP、POM成形時にPTFE+シリコーン膜が硬質クロムより低い離型抵抗を示し、長期連続成形での金型の長寿命化が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    事業背景として硬質クロムめっき代替の市場獲得を目指すとあるが、既存事業との連続性や経営戦略上の位置づけは記載がない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    硬質クロムめっき(市場規模120億円程度)に比べ高潤滑性・耐食性に優れ、CVDより安価との競争優位性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    離型性と耐久性の同時向上という課題認識はあるが、高付加価値化や成長につながる事業計画の具体性は薄い。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    2年目にプラスチック金型で年間1,000万円、3年目に医療カメラ摺動部で2,000万円、5年目に4,000万円の売上目標が数字で示されている。

  • 事業を進める体制2

    栃木県産業技術センターへの依託や研究開発の実施は書かれるが、社内の人材・体制や事務処理能力の記載は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    プラスチック成形金型の離型性・耐久性ニーズを挙げ、硬質クロム代替としての選ばれる理由を実験データで示している。

  • 事業化までの道筋3

    展示会出展、メーカーへの提案、医療カメラや航空宇宙分野への展開など段階的な方針はあるが、課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    硬質クロムめっきの市場規模120億円程度に対し、高潤滑性・低摩擦で摩擦係数を1/4以下にするなど同分野で高水準の性能を示している。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    医療用カメラや航空機の摺動部品への応用展開が述べられるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    硬質クロムより安価で耐久性も高いと述べるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果は数値で示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療・航空宇宙など成長分野への展開は言及されるが、日本経済の構造転換への寄与は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    栃木県の産業技術センターとの連携は読み取れるが、地域の雇用や経済成長を牽引する記述は乏しい。

今後の展望

機械要素技術展などの大規模展示会への出展や射出成形機メーカー、プラスチック製品製造業者への提案を通じて優位性をPRし、普及を促進する。医療用カメラなどの精密機器や航空機の摺動部品等への応用展開も図る。事業化の見込みとして、本事業終了後2年目にプラスチック金型、3年目に医療カメラ摺動部への展開を図り、売上は年間1,000万円、2,000万円を目標とする。4年目以降は航空宇宙分野等への展開も進め、5年目には年間40社800件の処理で4,000万円の売上を目標とする。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。