ものづくり補助金平成24年度群馬県

中国等から仕事を取り戻すための「高速・高品質のバレル研磨装置および付帯装置」の試作開発

株式会社高崎ダイカスト工業社

成果7~10%の生産性向上を達成

この事例のポイント

  • 低賃金の中国・東南アジア諸国の低コスト攻勢により、ダイカスト部品の生産が海外に流出している。
  • ダイカスト部品を傷つけない「振動バレル条件の最適化法」を用い、群馬県立群馬産業技術センターと協業して、振動バレル研磨の条件を4つのパラメータを制御因子として実験した。
  • 7~10%の生産性向上を達成。バリ取りの最適条件を選定する手順の標準化に見通しが立ち、目標の20%コストダウンに対して7~10%の生産性向上を達成し…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社高崎ダイカスト工業社
所在地群馬県 高崎市
業種はん用機械器具
技術分野鋳造
従業員数90人
資本金2,500万円
設立1950年

事業の背景

主力製品は自動車ワイパーのダイカスト部品(ワイパーアーム)で、日本の全自動車メーカー全車種のシェアは30~40%を占め、月産約120万個の生産を行ってきた。低価格を武器にした中国や東南アジア諸国の追い上げが激しく、月産は約80万個まで減少した。近年は中国でも製造コストが上昇しており、20%のコストダウンが実現できればコスト面で対等になり、流出を食い止められる可能性がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算低賃金の中国・東南アジア諸国の低コスト攻勢により、ダイカスト部品の生産が海外に流出している。
  • 生産能力自動車ワイパーのダイカスト部品の月産が、約120万個から約80万個にまで減少した。
  • コスト・採算バリ取り工程は経済性・品質の安定を阻害する因子が複雑に絡み、経験や勘に頼らざるを得ない。

やったこと

ダイカスト部品を傷つけない「振動バレル条件の最適化法」を用い、群馬県立群馬産業技術センターと協業して、振動バレル研磨の条件を4つのパラメータを制御因子として実験した。ワイパーアーム投入量と研磨メディア投入量、並びに振動・振幅を可変して、流動速度を大きく流動角を一定にする最適条件を選定する手順の標準化の見通しを立てた。振動バレル装置(PMG製450 l)に加え、ワイパーアームと研磨メディアの自動選別装置を試作開発し、ある一定の大きさ・形状のワイパーアームを自動選別できることを確認した。試作した振動バレル装置は、今回のプロジェクトを上回る負荷をかけると剛性や共振発生などの課題が判明したため、設計の見直しが必要である。

加工機振動バレル研磨装置(PMG製450 l)
その他ワイパーアーム・研磨メディアの自動選別装置
加工機振動バレル研磨装置(低振幅・高振動の試作機)
その他ワイパーアーム自動投入・取出し装置

新しい製品・サービス:高速・高品質のバレル研磨装置および付帯装置(低振幅・高振動の振動バレル研磨装置、ワイパーアームと研磨メディアの自動選別装置)

事業の効果

  • 7~10%の生産性向上を達成

バリ取りの最適条件を選定する手順の標準化に見通しが立ち、目標の20%コストダウンに対して7~10%の生産性向上を達成した。ワイパーアームの自動選別も可能となり、実用新案出願を行う予定である。ワイパーアーム以外の自動車部品や情報家電などへの展開も見込まれ、中国等から仕事を取り戻すことが期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    ダイカスト部品のバリ取り技術「バレル研磨法」を見直す取組で、当社の強みとして「ダイカスト部品を傷つけない高品質バリ除去技術」が示されており、既存技術との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ワイパーアームの月産120万個が80万個に減少した数字や、中国との20%コスト差という外部環境が示され、強みとの関係も読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    現状課題として月産120万個から80万個への減少と20%コストダウンの必要性が示され、7~10%の生産性向上という具体的な改善策も書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    目標は20%のコストダウンで、達成値として7~10%の生産性向上が示されている。ただし目標との差が残り、実現可能性の評価は分かれる。

  • 事業を進める体制3

    群馬県立群馬産業技術センターとの協業や従業員数90人は書かれているが、補助事業の実施体制の詳細は記載されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    ワイパーアームの市場規模40億円や中国等から仕事を取り戻す狙いは書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    試作機の剛性や共振発生の課題を挙げ、設計見直しが必要と明記されており、課題と対応方針が具体的に読み取れる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    振動バレル研磨の同分野での高付加価値化を図る内容だが、普及度や認知度に関する数字は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    ワイパーアームの生産流出を食い止め、国内の仕事を取り戻すという雇用・産業面の理由が明確に示されている。

  • 費用対効果3

    20%のコストダウンや7~10%の生産性向上は示されているが、補助金額に対する費用対効果の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動選別装置や振動バレル装置の試作はあるが、先端的デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車部品や情報家電への展開が示されるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    群馬県の地域特性や地域経済への効果は直接書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

20%のコストダウン実現に向け、さらなる改良・高度化を続ける。

  • 目標:20%のコストダウンを目指す(達成は未了)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。