ものづくり補助金平成24年度東京都

引き抜き加工技術を駆使した高機能ばねの多品種、短納期化生産

株式会社多摩スプリング

成果納期 6ヶ月→2.5ヶ月

この事例のポイント

  • 異形線ばねの材料は外部の伸線メーカーに発注しており、納期が長期にわたるため製品納期に苦慮していた。
  • 引き抜き加工で材料を自社内で加工できるよう、品種ごとの引き抜き回数分のダイスを設計製作した。
  • 納期 6ヶ月→2.5ヶ月。引き抜き加工の品種を増やすことで、材料在庫を増やさずに従来より短い納期で異形線ばねを納入できるようになる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社多摩スプリング
所在地東京都 町田市
業種金属製品製造業
技術分野切削加工
従業員数37人
資本金8,000万円
設立1963年

事業の背景

創業以来、主力製品として「スーパーばね」の名称で異形線ばねを製造・販売してきた。異形線ばねは断面が長方形に近い特殊なばねで、金型用ばねとして使われ、国内・アジア中心のJIS規格市場は35億円、欧米・ヨーロッパ中心のISO規格市場も同規模の35億円と考えられている。断面形状が丸線と異なり製造が難しく、国内で作れるのは2、3社しかない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程異形線ばねの材料は外部の伸線メーカーに発注しており、納期が長期にわたるため製品納期に苦慮していた。
  • コスト・採算材料の納期が長いため材料在庫を多く持つ必要があり、在庫の削減が課題になっていた。
  • 生産能力欧米向けISO規格の金型異形線ばねは多品種で受注が伸びており、従来より短納期で多品種を納入する必要があった。

やったこと

引き抜き加工で材料を自社内で加工できるよう、品種ごとの引き抜き回数分のダイスを設計製作した。加工条件などのシミュレーションを東海大学に依頼し、その妥当性確認のため加工条件等のフィードバックを受けた。製作したダイスで引き抜き加工した材料でばねを加工し、そのばねの特性と耐久試験の評価を行った。材料を吊り上げて移動するため、必要荷重を満たす天井クレーンを導入した。外注していた焼入れ処理を焼入れ炉の導入により内製化し、納期の短縮とコストの削減を図った。

事業の効果

  • 納期 6ヶ月→2.5ヶ月

引き抜き加工の品種を増やすことで、材料在庫を増やさずに従来より短い納期で異形線ばねを納入できるようになる見込みである。材料の経年劣化による廃棄がなくなり、廃棄物の削減と資源の枯渇抑制、環境負荷低減にも貢献する。母材の丸線は現状の異形加工材料より安価に購入でき、原価低減も可能になる。欧米・ヨーロッパ向けのISO規格の引き合いも増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    社内で伸線機を導入し材料加工を内製化する方針は、過去の材料在庫・納期問題への対応として読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    欧米ISO規格の引き合い増加と多品種対応の必要性は読めるが、競合は国内2、3社との記述にとどまり、強みの定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    材料納期6ヶ月から2.5ヶ月、加工0.5ヶ月で合計3.0ヶ月とする課題と短納期化の具体的数値が示され、解決策との対応が読み取れる。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    市場の10%にあたる35億円の獲得目標と材料納期の半減が数字で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    ダイス設計や東海大学へのシミュレーション依頼は読めるが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    異形線ばねは円形断面に比べコンパクトで有効ストロークを大きく取れる点や、金型用途での使われ方が具体的に説明されている。

  • 事業化までの道筋4

    ダイス設計、引き抜き加工評価、天井クレーン・焼入れ炉の導入など工程と順序が示され、今後の課題として炉の導入も挙げられている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    異形線ばねはJIS市場35億円、ISO市場も同規模で、国内2、3社しか製造できないと書かれ、高付加価値品としての位置付けが読める。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    材料廃棄の削減や資源の枯渇抑制、環境負荷低減への貢献が書かれているが、雇用創出や波及効果の定量的な記述は少ない。

  • 費用対効果3

    原価低減や材料在庫削減の方向性はあるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ISO規格ばねの欧米市場への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとする記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    東京都町田市の企業であることは読めるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済成長への言及はわずかにうかがえる程度。

今後の展望

今後は丸線の母材を購入して引き抜き加工を行い、ISO規格の金型異形線ばねを欧米・ヨーロッパ市場で獲得することを目指す。目標は35億円の市場獲得である。また、ばねの熱処理の効率化としてコンベア式連続炉の導入と、引き抜き線の焼入れ炉導入を今後の課題としており、素材からばね完成品まで社内一貫で量産できるようにする。エンジンバルブスプリングなど他用途への応用も考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。