ものづくり補助金平成26年度製造業愛媛県

大型厚肉構造物の溶接自動化システムの構築による生産性改善

株式会社愛新鉄工所

成果溶接工程作業時間 140hr→106hr

この事例のポイント

  • クレーン部品の短納期化と低コスト化の需要が高まる中、全工程の58.3%を占める溶接工程の生産性を向上させる必要があった。
  • 大型厚肉構造物を搬送するため、2tの特注仕様の可搬なポジショナーを導入した。
  • 溶接工程作業時間 140hr→106hr。溶接工程をロボットシステムで自動化し省人化した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社愛新鉄工所
所在地愛媛県 新居浜市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数30人
資本金1,000万円
設立1940年

事業の背景

当社は1940年創業で、クレーン関連装置やプラント機器を製造している。大型クレーンの走行装置や吊装置、安全装置を得意とし、国内トップメーカーから信頼を得ている。国内の産業用クレーンの市場規模は約3000億円である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力クレーン部品の短納期化と低コスト化の需要が高まる中、全工程の58.3%を占める溶接工程の生産性を向上させる必要があった。
  • 品質・精度以前から溶接時間短縮に取り組んできたが、溶接品質が悪化して再溶接や手入れ作業が発生し、生産性の改善につながっていなかった。
  • 品質・精度メーカーの加工精度向上の要望に応える必要があった。

やったこと

大型厚肉構造物を搬送するため、2tの特注仕様の可搬なポジショナーを導入した。溶接ロボットを可動式コンベアに搭載し、ロボットのリーチを増やして稼働率と生産性を最大化するシステムを構築した。センサー設備を導入し、溶接箇所のずれを3次元的に補正できるようにした。

その他可搬式ポジショナー(容量2t特注仕様)
ロボット溶接ロボット(可動式コンベア搭載)
検査測定センサー設備

事業の効果

  • 溶接工程作業時間 140hr→106hr
  • 製作時間全体では24.3%(目標15%)の短納期化を達成した。
  • 製作コストは10%(目標5%)削減できた。
  • 被溶接物1台当たり溶接線総延長10.88mのうちロボット溶接可能長さは8.84mで、ロボット溶接率は81.25%(目標80%)となった。
  • 製缶溶接品の製作台数キャパシティー 1倍→1.5倍

溶接工程をロボットシステムで自動化し省人化した。操作条件の最適化により作業時間が軽減され、品質も安定した。製作時間全体で24.3%の短納期化、製作コスト10%削減を達成し、ロボット溶接率は81.25%となった。製缶溶接品の製作キャパシティーは1.5倍になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    従来は溶接品質悪化で改善が進まなかったが、溶接自動化に継続して取り組んできた経緯が書かれ、一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内クレーンメーカーの短納期・低コスト要求と国内トップメーカーとの取引が書かれるが、自社の競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決5

    溶接工程が全工程の58.3%を占めると課題を数字で示し、溶接時間140hrのうち34hr削減と製作時間24.3%短縮を達成した。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    短納期化24.3%(目標15%)、製作コスト10%削減(目標5%)、ロボット溶接率81.25%(目標80%)と数値目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員30人、製造の一貫体制、工場新設の記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型クレーン部品の製作を得意とし、国内トップメーカーとの取引があるが、顧客ターゲットと選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    溶接ロボットとポジショナーの導入内容や今後の用途開発の方針は書かれるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    大型厚肉溶接の自動化は同分野で一般的とは言えないが、高水準の高付加価値化を示す具体的記述は少ない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    国内産業用クレーン市場約3000億円や国内回帰への言及があるが、波及効果や雇用創出の記述は少ない。

  • 費用対効果4

    補助事業で省人化により製作コストを10%削減し、キャパシティーが1.5倍に増えたと費用対効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    ロボット溶接とセンサーによる3次元補正を導入したが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    建機など他分野への進出や製造業の国内回帰に触れるが、構造転換への言及は限定的である。

  • 地域経済への波及2

    新居浜市の企業で港湾クレーン部品を製作するが、地域特性を活かした雇用や成長への言及は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内の産業用クレーン市場は円安による日本製クレーンの需要伸長や国内回帰で追い風があったが、新型コロナウイルス感染拡大で物流関連需要が大幅に減少し、今後の見通しは不透明になっている。今後は肉盛り等の用途開発を行い、建機など他分野の部品製造に進出したい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。