ものづくり補助金平成24年度東京都

黒色無電解ニッケルめっきの安定化

株式会社梅田製作所

この事例のポイント

  • 黒色無電解ニッケルめっきは新技術のため仕上がりにばらつきが生じており、製品の品質を安定させる必要があった。
  • 顧客の要望で始めた黒色無電解ニッケルめっきのノウハウを確立するため、約1年間、薬品メーカーの担当者も常駐して共同で開発を行った。
  • 補助事業では、黒色無電解ニッケルめっきの皮膜を観察・数値化して膜厚や外観を測定できる体制を整え、品質の安定化を図った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社梅田製作所
所在地東京都 武蔵村山市
業種金属製品製造業
技術分野めっき
従業員数48人
資本金1,000万円
設立1974年

事業の背景

昭和49年創業の同社は、アルマイト加工から始まり、電気亜鉛めっき、電気ニッケルめっき、無電解ニッケルめっきなど幅広い技術を持つ。黒色亜鉛めっきや黒色クロムめっきでは角が厚くなるなど膜厚が均一でないことが問題視されていた。黒色無電解ニッケルめっきは膜厚を均一にでき精度を出せる利点があるが、顧客の要望で始めた新技術のため品質が安定しなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度黒色無電解ニッケルめっきは新技術のため仕上がりにばらつきが生じており、製品の品質を安定させる必要があった。
  • 品質・精度製品の品質安定のために、皮膜の状態を観察して数値化し、めっき液のバランスを調整するための分析管理が重要な課題となっていた。

やったこと

顧客の要望で始めた黒色無電解ニッケルめっきのノウハウを確立するため、約1年間、薬品メーカーの担当者も常駐して共同で開発を行った。工場内に研究ラボを作り、端材を用いて試作を繰り返し、素材や形状に合わせた効率的な加工方法を探った。測定のために、キーエンス製マイクロスコープ(表面状態の観察)、フィッシャインストルメンツ製蛍光X線膜厚測定機(膜厚管理)、コニカミノルタ製色差計(外観判定基準)を導入した。

検査測定キーエンス製マイクロスコープ
検査測定フィッシャインストルメンツ製蛍光X線膜厚測定機
検査測定コニカミノルタ製色差計

新しい製品・サービス:黒色無電解ニッケルめっき加工

事業の効果

補助事業では、黒色無電解ニッケルめっきの皮膜を観察・数値化して膜厚や外観を測定できる体制を整え、品質の安定化を図った。これにより顧客満足度の向上と黒色無電解ニッケルめっきの市場拡大を目指した。黒色無電解ニッケルめっきは内側へのめっきや1μm単位の均一な厚さ調整もできる技術として位置づけられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に後発ながら幅広いめっき加工を展開し、黒色無電解ニッケルめっきを顧客要望で始めたとあり、一貫性は読み取れるが経営戦略上の位置づけの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    都内で黒色無電解ニッケルめっきを行える企業は限られ同業他社に比べ優位性があると明記され、1日約1,000件対応や当日仕上げの強みも示されている。

  • 課題の認識と解決4

    ばらつきによる品質不安定という課題を、測定設備3種の導入とめっき液の数値化・調整で解決する方針が具体的に示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は記載がなく、顧客満足度向上と市場拡大を図るという定性的な目的のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    約1年間の薬品メーカー担当者との共同開発や工場内研究ラボでの試作繰り返しから、技術体制はうかがえるが人員や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    膜厚を均一にでき内側にもめっきできること、1μm単位で調整できることなど製品価値と利点が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として利用拡大と技術普及の課題が示されているが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は記載が少ない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    黒色無電解ニッケルめっきは都内で実施できる企業が限られ、同業他社より優位性があり、一般的な普及度も低いと記載されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    日本の国際優位性が保てる分野であるとの記述はあるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえない。

  • イノベーションへの貢献2

    マイクロスコープや蛍光X線膜厚測定機などの測定機器導入はあるが、サプライチェーン全体へのイノベーション貢献は記載がない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    環境負荷の少ない六価クロム不使用の亜鉛めっき採用やRoHS対応はあるが、市場成長分野への進出や構造転換との関連は薄い。

  • 地域経済への波及3

    三多摩地域で六価クロム不使用の亜鉛めっきを初めて採用したとあり地域での取組は読み取れるが、雇用や地域成長への言及は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

電気めっきでは不可能な内側へのめっきや、切削精度が求められる部品の1μm単位の厚さ調整が可能な点が利点である。この技術はメーカーの設計者にまだ知られておらず、広めることが課題である。製品への利用が進むにつれ、多くの人が利点に気づき利用が広がると期待されている。

事業者の声

当社はめっき屋としては後発です。そのため特定分野の部品に特化せず、顧客の要望にはどんなことであっても対応できるように励んできました。いまは、めっき加工全般を網羅しているのが強みになっていると思います。1個から量産まで、1日に約1,000件のオーダーに対応する柔軟性で、今後も新しい技術に挑戦していきたいと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

山梨県平成24年度

アルミダイカスト高真空鋳造技術の開発

セラミックフィルターの採用による溶湯の清浄化、溶湯保持状態での脱ガス処理の改善、真空ダイカスト法の採用と改善を行った。

効果:歩留り 55%→90%

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。