ものづくり補助金平成24年度広島県

手芸・医療用等の極細針の量産技術開発

萬国製針株式会社

この事例のポイント

  • 手芸・裁縫用の極細ビーズ針は国内外のメーカーが製造・販売しているが、製品価格が高い。
  • 極細線材の矯直に対応した直線切断機、針先研削精度を向上した先頭研磨機、極細線材の生産性を改善したプレス加工機を新規開発した。
  • 極細針の量産に成功し、直線切断加工時の線材の捩れや先頭研磨加工の精度の課題を解決した。

事業者のプロフィール

事業者名萬国製針株式会社
所在地広島県 広島市
業種金属製品製造業
技術分野溶射・蒸着
従業員数40人
資本金3,000万円
設立1918年

事業の背景

創業以来100年にわたり手縫い針を製造してきた会社である。手芸・裁縫用針市場では極細ビーズ針の需要が顕在化しているが、既存品は価格が高く品質も十分でなかった。医療系針市場では人工心臓弁や血管縫合用の極細針のニーズがあるものの、供給できるメーカーは限られていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算手芸・裁縫用の極細ビーズ針は国内外のメーカーが製造・販売しているが、製品価格が高い。
  • 品質・精度既存の手芸・裁縫用極細ビーズ針は品質が十分でない。
  • 新製品・新技術医療用の極細針は人工心臓弁の組立や血管の縫合に必要とされるが、手芸・裁縫用より高い品質要求を満たせるメーカーは限られている。
  • 生産能力極細針の量産化のネックとなっていた直線切断加工時の線材の捩れと、先頭研磨加工の精度が課題だった。

やったこと

極細線材の矯直に対応した直線切断機、針先研削精度を向上した先頭研磨機、極細線材の生産性を改善したプレス加工機を新規開発した。極細針に対応した微細形状のプレス金型設計のために3次元CADを導入し、高効率な機械加工での金型製作を可能にした。針先形状の測定・評価のために画像寸法測定検査器を導入し、検査品質を改善した。試作品製造で蓄積した加工条件データをもとに直線切断と先頭研磨の最適条件を設定し、φ0.2mm以下の硬質ステンレス鋼線やチタン合金などの特殊合金線の量産加工、15mmと短い線材の両端研削加工を可能にした。

加工機直線切断機
加工機先頭研磨機
加工機プレス加工機
ソフト3次元CAD
検査測定画像寸法測定検査器

新しい製品・サービス:手芸・医療用等の極細針

事業の効果

極細針の量産に成功し、直線切断加工時の線材の捩れや先頭研磨加工の精度の課題を解決した。針先加工精度は15μm以内に向上した。医療用心臓弁組立用極細針は品質レベルの高い評価を得た。産業用のコロナ放電針の針先加工精度も向上し、大手家電・産業機器メーカーに採用されたほか、矯直ノウハウを生かした線材の矯直機械の受注にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    手縫い針製造で100年培った技を基に、極細針の量産技術開発を新規市場進出の柱と位置づけ、事業目的に明記している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    手芸・医療用の極細針市場で価格や品質の課題が示され、高品質と手ごろな価格の両立を目指すとあるが、競争上の優位性の数値的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    直線切断・先頭研磨・プレス成形の課題を特定し、新型機械と条件データで解決する実効性のある取組として整理されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    針先加工精度15μm以内や成果は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    創業100年の技術蓄積や熟練職人の技の記録・継承に触れるが、従業員40名の中での補助事業の体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    手芸・裁縫用の価格や品質課題、医療用の高品質ニーズを挙げ、φ0.2mm以下の線材加工など顧客と価値が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として新たな課題や産学官連携による穴形状の模索が示されるが、スケジュールや遂行方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    医療用の極細針は高い品質要求を満たせるメーカーが限られるとされ、高水準の品質で高価格化を図る分野に当たる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    大手家電・産業機器メーカーの採用や医療用線材矯直機械の受注など、新たな雇用や需要への波及がうかがえるが、国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加の数値は示されず、受注や採用の実績があるのみで費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献2

    3次元CADや画像寸法測定器の導入はあるが、地域やサプライチェーン全体のイノベーションとの関係はうかがえる程度である。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療・産業分野への進出は読み取れるが、成長分野への進出を通じた日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    広島市の企業である点は示されるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出については具体的な記述がない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

極細針の量産加工技術の開発を続け、手芸・裁縫用に限らず工業分野の針製品の受注につなげる。線材加工機械の外販事業を育成し、新たな市場への参入機会を探る。作業者にやさしい針製品の開発にも挑戦し、産学官ネットワークを活用して最適な穴形状の模索と新規製造機械の開発を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。