ものづくり補助金平成24年度東京都

放送サービスの運用効率を画期的に向上させるノイズ検出ソフトウェア

株式会社K-WILL

成果ノイズ検出率 20%→80%

この事例のポイント

  • 従来の検査装置ではノイズの検出率が20%にとどまり、人の目や耳に頼らざるをえなかった。
  • デジタル画像に発生するブロックや乱れ、音声の途切れる「プチ」音などのノイズを検出するソフトウェアを試作開発した。
  • ノイズ検出率 20%→80%。ノイズ検出の検出率は従来の20%から80%以上に向上し、人の目や耳に頼っていた検査を機械で行える見通しが立った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社K-WILL
所在地東京都 東京都町田市
業種電気機械器具
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数3人
資本金3,000万円
設立1999年

事業の背景

当社は平成11年にKDD(現KDDI)の社内ベンチャー1号として創業した、主にテレビ放送局向けの映像関連計測器の専業メーカーである。デジタル圧縮で発生する品質劣化を計測する装置を実用化し、国内放送局や米ディレクTVに対して累計25億円の販売実績がある。テレビ放送は放送と通信の垣根を超えた競争時代に入り、高品質なサービスが求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の検査装置ではノイズの検出率が20%にとどまり、人の目や耳に頼らざるをえなかった。
  • 新製品・新技術映像コンテンツにはノイズか否かを判断する明確な基準がなく、音声の「プチ」音も機械に判断させるのが難しかった。

やったこと

デジタル画像に発生するブロックや乱れ、音声の途切れる「プチ」音などのノイズを検出するソフトウェアを試作開発した。映像ではノイズが発生する際に「加速度」に違和感があることに着目し、音声は周波数に変換してノイズに特徴的なパターンを分析する方法を採った。多数のパラメータを試作ソフトウェアに実装して評価を重ね、最適な組み合わせを確立した。特注ボードに組み込んで評価した結果、80%以上の検出率に成功した。これらのパラメータを基にアルゴリズムを設計し、平成29年10月に特許(特許第6222854号)を取得した。

その他特注ボード(試作用の基盤)
ソフトノイズ検出ソフトウェア(試作開発)

新しい製品・サービス:映像・音声検査システム「ProQ2000」(平成26年1月発売)

事業の効果

  • ノイズ検出率 20%→80%

ノイズ検出の検出率は従来の20%から80%以上に向上し、人の目や耳に頼っていた検査を機械で行える見通しが立った。試作を基に映像・音声検査システム「ProQ2000」を発売し、国内外の多くの放送事業者に採用された。4K・8K対応の「ProQ4000M」は韓国のテレビ局に採用され、平昌五輪で活用された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成11年創業の映像計測器専業メーカーで、デジタル圧縮品質計測の実用化やITU-T認定など過去の取組との一貫性はうかがえる。経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ノイズ検出は従来検出率20%に対し80%以上を達成し、国内外の放送事業者に採用された実績があり、自社の強みとの関係が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    現状の課題として検出率20%・人の目と耳への依存を挙げ、ソフトウェア開発で80%以上に改善、ProQ2000発売と展開計画まで示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    検出率80%以上という技術目標はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員3人の小規模体制であることはわかるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    放送局・STB製造工場への展開、韓国や中国での販売実績、アジアでは未確立の技術で引き合いが多い点が示され、顧客と選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    試作から製品化、ProQ2000発売、4K・8K対応機の展開という流れは示されているが、遂行スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ノイズ検出は映像コンテンツには明確な基準がないと説明され、アジアでは未確立の技術で、高水準の付加価値を図る内容と読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    放送事業者の品質向上という課題は示されるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    試作費用や補助金額に対する効果の数字は示されておらず、費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献3

    デジタル画像のノイズを音声と映像の両面で機械検出する技術で、放送サービスの品質向上に寄与すると読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    4K・8K放送や東京五輪需要を取り込む方向は示されるが、日本経済の構造転換に資する点は明記されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新4K・8K衛星放送の開始と東京五輪需要を取り込み、ハイエンドに加えてセットトップボックスの製造工場など民生用にも展開する予定である。アジアでは未確立の技術であるため引き合いが多く、韓国や中国での販売実績を基に今後も積極的に海外販売を進める。

事業者の声

カリフォルニア工科大学に留学していた時、宇宙からのノイズを測定して知的生命体を探るノイズ学を勉強していましたが、ノイズとは言ってみればゴミなので、日本では注目されていませんでした。帰国後、デジタル画像においてノイズが厄介な存在であることを知り、これだと思いました。下水やゴミ処理と同じで、誰もやりたがらないからこそ重要ですし、ビジネス的にもチャンスなのです。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。