ものづくり補助金平成24年度岐阜県

熱可塑性PEEK樹脂の超流動性を活用した高速・高性能プレス成形装置の開発

株式会社ビー・アイ・テック

成果成形1個あたりの時間 360分→30分

この事例のポイント

  • 熱可塑性複合材の成形は主にオートクレーブ法で行われ、素材投入から成形品を取り出して次の作業に移れる状態になるまでに、ケースにもよるが約6時間かかっていた。
  • PEEK樹脂の超流動性(チキソトロピー)を活用し、炭素繊維強化PEEK樹脂複合材用の高速・高性能プレス成形装置を開発した。
  • 成形1個あたりの時間 360分→30分。開発した高速プレス装置では、オートクレーブ法で約6時間かかっていた成形工程を約30分に1個の生産まで短縮でき、冷却装置…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ビー・アイ・テック
所在地岐阜県 岐阜県各務原市
業種技術サービス業
技術分野プラスチック成形加工
設立2003年

事業の背景

2003年の創業以来、航空宇宙の開発技術を応用した炭素繊維強化PEEK樹脂複合材による人工股関節ステムの研究開発に取り組み、設計・研究試作や特許出願、成型ノウハウの蓄積を進めてきた。国内産業界の複合材製品の設計力向上を目指して設計法の教育や訓練、コンサルティングや個別案件の設計請負も行っている。熱可塑性複合材の成形は主にオートクレーブ法が採用されており、ヨーロッパでは PEEK樹脂の超流動性を活用した製品が現れていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力熱可塑性複合材の成形は主にオートクレーブ法で行われ、素材投入から成形品を取り出して次の作業に移れる状態になるまでに、ケースにもよるが約6時間かかっていた。
  • 生産能力生産性を上げるには成形速度の向上が必須だった。
  • コスト・採算オートクレーブの運転経費も生産性向上における重要な検討項目だった。

やったこと

PEEK樹脂の超流動性(チキソトロピー)を活用し、炭素繊維強化PEEK樹脂複合材用の高速・高性能プレス成形装置を開発した。加圧ボールネジとサーボモータによる加圧機構、プリヒーターと加圧成形ヒーターを備えた装置を試作し、試験したところ約30分に1個の生産が可能だった。金型の冷却が時間の大部分を占めるため、空冷・水冷の冷却装置を組み合わせれば成形時間を大幅に短縮できると判断された。同形状の供試体をオートクレーブ法と比較したところ、破壊靭性値GIIcはオートクレーブ法が1.396kJ/m2、高速プレス法が1.370kJ/m2で同等の強度が得られた。X線による内部検査では気泡(ボイド)がなく、高品質の熱可塑性複合材製品が得られることを確認した。

  • 加工機高速・高性能プレス成形装置

新しい製品・サービス:炭素繊維強化PEEK樹脂複合材用の高速・高性能プレス成形装置

事業の効果

  • 成形1個あたりの時間 360分→30分

開発した高速プレス装置では、オートクレーブ法で約6時間かかっていた成形工程を約30分に1個の生産まで短縮でき、冷却装置の追加により数分内での成形を目指している。破壊靭性はオートクレーブ法と同等で、内部検査でも気泡がなく高品質の製品が得られた。医療用の骨固定具(先端部補強用プレート)の試作では製品品質が非常に良好で、大量生産時のばらつきも少ないと予想され、量産に適した装置であることが確認された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    オートクレーブ法の長時間成形が課題で、高速プレス装置の開発が生産性向上の取組として位置付けられている。経営戦略との関係は明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    PEEK樹脂の超流動性を活用する技術的特徴はうかがえるが、市場動向や自社の強み・弱みに関する記述は読み取れない。

  • 課題の認識と解決4

    オートクレーブで素材投入から取出しまで約6時間を要するという課題を示し、30分に1個の成形速度へ改善、数分への短縮を計画している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    成形時間の短縮や運転経費の削減を目指す記述はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    骨固定具の試作で品質が良好と予想され、大量生産に適するとしているが、顧客ターゲットや選ばれる理由は整理されていない。

  • 事業化までの道筋3

    今後の課題として全自動化、数分成形、大型装置への対応を挙げているが、スケジュールや解決方法は具体化されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    超流動性を持つPEEK樹脂の高速成形は近年報告された特性で、ヨーロッパの事例を除き普及は限定的と読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    骨固定具や人工股関節への適用という医療分野の用途はうかがえるが、波及効果や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果3

    成形時間の短縮とオートクレーブ運転経費の削減が目的とされるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高速プレスという新しい成形手法はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    高性能樹脂複合材の高速成形という成長分野への関わりはうかがえるが、構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

今後は装置の諸改良により30分に1個の状況から数分内での成形を実現し、量産を想定して装置運転を含む成形工程の全自動化を図る。現状は100×100mm程度以内の成形を対象としているため、大型の高速プレス成形装置の開発も進める予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。