ものづくり補助金平成24年度石川県

フローティングシール量産化のための旋削加工用特殊装置の開発

コマツキカイ株式会社

この事例のポイント

  • フローティングシールは径に対して厚みが薄く、従来の工法では歪み等の品質上の問題が発生しやすかった。
  • 既存設備装置で他製品と同様の工法により試作加工を行い、加工工数と品質精度を検証したが、既存装置では要求品質を満足することが困難であった。
  • 導入した専用チャックを用いた試作では、フローティングシール20個分すべてで平面度、真円度、同芯度、平行度など重要な品質要求事項を満たし、総合評価で良品の判定を得た。

事業者のプロフィール

事業者名コマツキカイ株式会社
所在地石川県 小松市
業種一般機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数98人
資本金3,000万円
設立2006年

事業の背景

当社は建設機械向け部品の製造を主な事業とし、NC旋盤による旋削加工からマシニングセンタによる穴あけ加工、各種歯切設備によるギヤ加工までの一貫生産を得意としている。将来的な新規受注拡大が望める製品としてフローティングシールの受注獲得を営業面の重点項目としてきた。フローティングシールは建設機械の足廻りに使われる金属製のリング状部品である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度フローティングシールは径に対して厚みが薄く、従来の工法では歪み等の品質上の問題が発生しやすかった。
  • 生産能力熟練技術者が専任で手作業による微妙な調整を行い、通常より速度を抑えて加工しており、生産性を犠牲にしてようやく要求品質を確保していた。
  • 人手・技能量産化に向けては熟練技術者への依存を減らし、生産性を向上させる必要があった。

やったこと

既存設備装置で他製品と同様の工法により試作加工を行い、加工工数と品質精度を検証したが、既存装置では要求品質を満足することが困難であった。旋削加工で対象物を把握するチャックが従来型で、高い圧力と厳密な均等加圧が難しいことが原因と考え、チャック専門メーカーに依頼して専用特殊チャックを開発した。要求仕様は低い圧力で安定して把握できること、均一な把握力を実現する高い動作精度、圧力の自動調整機能の3つを併せ持つことである。導入したチャックを用いて試作加工を行い、テスト加工品の寸法を測定した結果、要求品質をクリアすることを確認した。熟練作業者以外が加工しても生産性の低下は見られず、段取りと本加工を合わせて工数の改善が見られた。

加工機専用特殊チャック(旋削加工用)

新しい製品・サービス:フローティングシール(建設機械の足廻り部品)の量産化

事業の効果

導入した専用チャックを用いた試作では、フローティングシール20個分すべてで平面度、真円度、同芯度、平行度など重要な品質要求事項を満たし、総合評価で良品の判定を得た。熟練作業者以外でも生産性の低下がなく、段取りと本加工を合わせて工数が改善した。本事業の成果として量産化体制を確立したフローティングシールの受注は確実に増加している。今後は類似形状の部品で市場開拓の余地があり、受注拡大に向けた営業活動を積極的に進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の旋盤加工の技術と建設機械部品の受注を重点に据えた経緯は読めるが、経営戦略上の位置付けを示す具体的記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    建機メーカーや機種を問わず類似形状の部品に使われ市場余地があると述べ、NC旋盤保有が強みとして示される。数字による裏付けは乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    従来チャックでは把握圧力が高く均等加圧が難しいという課題を特定し、専用チャック開発で解決する流れが具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性や工数の改善は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、数値目標はうかがえない。

  • 事業を進める体制3

    熟練作業者以外でも生産性が低下しなかったと記され、専門メーカーとの連携も示されるが、体制や人材の具体記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    フローティングシールの用途や類似部品の幅広い需要、受注が増加していることが書かれ、顧客ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    試作から装置導入、量産化までの段階と営業展開が書かれるが、中長期の検証やスケジュールの詳細は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来は歪みが出やすく熟練者が時間をかけていた薄肉リング部品を、専用チャックで高品質に量産できる点が特色として読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    建設機械部品の製造と受注増加は書かれるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は記載がない。

  • 費用対効果3

    試作20個分で品質要求を満たし、工数改善が見られたと記されるが、補助金投入額に対する費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    石川県小松市の所在地は書かれるが、地域特性を活かした雇用や成長への牽引効果までは読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

建機メーカーや機種を問わず類似形状の部品が使われており、マーケットとしては今後さらに開拓の余地があると考えている。受注拡大に向けた営業活動を積極的に展開している。

事業者の声

顧客の立場を理解し、事に当たっては変化に機敏に対応し、前向きに対処しよう

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。