ものづくり補助金平成24年度福井県

モータースポーツ用高機能炭素繊維部材に供する高性能開繊織物の試作開発

丸八株式会社

成果横糸のロス率 20%→5%

この事例のポイント

  • 既存の開繊織機には技術的課題が多く、より軽量で高強度な炭素繊維複合素材を作るには不十分だった。
  • 機械メーカーと協同し、高機能の開繊専用織機を設計段階から試作開発した。
  • 横糸のロス率 20%→5%。原料ロスが大幅に減り、高品質の炭素繊維複合素材を低コストで製作できるようになり、競争力が大きく高まった。

事業者のプロフィール

事業者名丸八株式会社
所在地福井県 坂井市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数20人
資本金8,000万円
設立1968年

事業の背景

丸八は、スーツケースやゴルフシャフトなど幅広い分野に、金属に替わる部材であるCFRP(炭素繊維複合素材)を供給している。数年前からは自動車、バイクなどモータースポーツ用素材の開発に力を入れている。福井県が特許を持つ炭素繊維の束を薄いシート状に広げる「開繊」技術が効果的と考えられていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度既存の開繊織機には技術的課題が多く、より軽量で高強度な炭素繊維複合素材を作るには不十分だった。
  • 生産能力開繊糸を使った高強度なクロスを安定して製織する設備が不足していた。

やったこと

機械メーカーと協同し、高機能の開繊専用織機を設計段階から試作開発した。出来上がりのクロスはモータースポーツ用途に絞り、1,000ミリ幅での設計とした。新しい織機は、より強度の高い繊維に対応でき、製織時の横糸のロス率を20%から5%へ大幅に削減した。各工程の動作をプログラムで制御し、製織時間を短縮するとともに、原料に合わせた条件設定も可能にした。新規の目止め処理方法も取り入れ、開繊クロスの品質も向上させた。

新しい製品・サービス:モータースポーツ用高機能炭素繊維部材(開繊織クロス)

事業の効果

  • 横糸のロス率 20%→5%

原料ロスが大幅に減り、高品質の炭素繊維複合素材を低コストで製作できるようになり、競争力が大きく高まった。製織時間も制御プログラムによって短縮された。開繊クロスの品質も向上した。モータースポーツというニッチ市場でシェアを伸ばすことが期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1990年代後半から先端複合材料へ着手し、基本を大事にしつつ時代に応じ事業形態を転換してきたと書かれているが、経営戦略上の位置付けは具体的に読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存開繊織機の技術課題を踏まえ、モータースポーツ用途に絞って新規開発し、原料ロスを20%から5%へ削減したと具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    既存織機の課題を認識し、原料ロス20%から5%への削減と製織時間短縮を実現する計画と結果が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    原料ロス率の削減など数値はあるが、付加価値額や賃上げに関する目標値は書かれておらず、実現可能性の評価は限定的。

  • 事業を進める体制2

    従業員20人、機械メーカーと協同で試作したとあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的記述はわずか。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    軽量で高強度なクロスをモータースポーツ用途に絞ると書かれ、顧客ターゲットは示されるが、ニーズの裏付けは具体的でない。

  • 事業化までの道筋3

    試作開発の工程や制御プログラムによる時間短縮は書かれるが、中長期のスケジュールや課題解決の遂行方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    モータースポーツ分野はニッチ市場で、一般的な普及度が低い中で高機能・高品質の炭素繊維素材を開発していると読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    モータースポーツ分野の宣伝効果や横展開の可能性はうかがえるが、国が補助する波及効果や雇用創出の記述は明確でない。

  • 費用対効果4

    原料ロスを20%から5%へ大幅削減し、低コストで高品質な素材を製作できるようになったと費用対効果が具体的に示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    機械メーカーと協同で制御プログラムを採用した点はうかがえるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    福井県の特許技術を活かす点はうかがえるが、地域の雇用や経済成長を牽引する具体的な記述は見当たらない。

今後の展望

モータースポーツ分野での普及は宣伝効果も大きく、横展開を行うレプリカモデルの市場も期待される。ニッチ市場だが世界中に根強いファンがおり、軌道に乗れば一定の販売数が見込める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。