ものづくり補助金平成24年度山梨県

アルミダイカスト高真空鋳造技術の開発

株式会社エスワイ精機

成果歩留り 55%→90%

この事例のポイント

  • ダイカスト鋳造ではガス欠陥(鋳巣)が避けられず、機械的性質を低下させていた。
  • セラミックフィルターの採用による溶湯の清浄化、溶湯保持状態での脱ガス処理の改善、真空ダイカスト法の採用と改善を行った。
  • 歩留り 55%→90%。高真空鋳造技術の確立により、従来のダイカスト鋳造品に比べてガス欠陥である鋳巣が大幅に改善された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エスワイ精機
所在地山梨県 笛吹市
業種非鉄金属製造業
技術分野鋳造
従業員数25人
資本金4,000万円
設立1985年

事業の背景

エスワイ精機はアルミダイカスト鋳造と金型開発製作を手掛ける提案型の企業である。自動車部品などの精密機器部品を主に手掛けている。自動車メーカーから無段変速機の油圧制御部を鋳巣のない状態で作るよう課題を与えられ、それまで2年にわたり改善に取り組んでいた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ダイカスト鋳造ではガス欠陥(鋳巣)が避けられず、機械的性質を低下させていた。
  • 品質・精度自動車メーカーから与えられた鋳巣の大きさ0.1mm以上の欠陥がないという品質要求を満たせていなかった。
  • 品質・精度従来の真空鋳造では歩留りが55〜60%程度にとどまり、40%以上が不良となっていた。

やったこと

セラミックフィルターの採用による溶湯の清浄化、溶湯保持状態での脱ガス処理の改善、真空ダイカスト法の採用と改善を行った。さらに独自の高真空ダイカスト技術を開発し、高真空対応金型を製作して、金型・高真空用大容量通気チャンネルをパイプで真空ポンプと接続した。金型上部にシャットオフバルブを設け、キャビティ内で真空度到達後に溶湯カット用シャットオフピンを射出と完全同期させて作動させる機構を確立した。金型接合面には耐熱シールを施工し、キャビティ内の気密性を高めた。真空度は7〜13kpaの目標を達成し、加熱によるブリスター試験、X線観察、比重測定で内部巣の減少と組織の緻密化を確認した。

金型高真空対応金型
加工機真空ポンプ
加工機シャットオフバルブ・シャットオフピン機構

新しい製品・サービス:自動車部品(無段変速機の油圧制御部)向けの高真空ダイカスト技術による鋳造品

事業の効果

  • 歩留り 55%→90%
  • 金型内の真空度7〜13kpaという目標を達成した

高真空鋳造技術の確立により、従来のダイカスト鋳造品に比べてガス欠陥である鋳巣が大幅に改善された。鋳巣の大きさ0.1mm未満の良品率は60%程度から90%近くまで伸びた。内部巣が減り内部組織も緻密になり、量産可能レベルに到達した。社員の意識にも変化が生まれ、新たな技術開発への挑戦が根づきつつある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    2年にわたる改善取組の延長線上で高真空鋳造に挑んだと書かれているが、経営戦略上の位置づけまでは読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    自動車メーカーからの課題に応えた点はうかがえるが、市場動向や自社の強み弱みの分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    歩留まり55〜60%から鋳巣を0.1mm未満で90%近くまで伸ばしたと、課題と成果が数字で示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    真空度7〜13kPaの目標達成と良品率60%から90%近くへの改善が数字で示され、量産レベル到達も記載されている。

  • 事業を進める体制2

    技術部長と社長が開発に取り組んだと書かれるのみで、人員や事務体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け2

    自動車部品の鋳巣低減という顧客ニーズはうかがえるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は書かれていない。

  • 事業化までの道筋3

    試作、試験、評価を繰り返して調整したと書かれるが、スケジュールや中長期の検証計画は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ダイカストで鋳巣を最小限にする技術は業界の永遠のテーマとされ、ほぼ前例のない品質基準に挑んだと書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    自動車部品の精密部品に関わる技術とは書かれるが、国が補助する波及効果や雇用創出の記述は読み取れない。

  • 費用対効果3

    歩留まりが55〜60%から90%近くへ改善したと書かれるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    山梨県笛吹市の本社工場が舞台と書かれるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

事業者の声

ダイカスト鋳造でもここまで鋳巣を減らすことができるんだという、常識を覆すような成果を得ることができました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。