ものづくり補助金平成24年度山梨県

抵抗溶接機用トランスの革新的小型・軽量化

北富士オリジン株式会社

成果重量 45kg→10.5kg

この事例のポイント

  • 自動車の溶接ロボットに搭載するため、変圧電源(トランス)を小型・軽量化し、大出力を保つ必要があった。
  • 周波数を高めるとSN値が下がりトランスを小型化できるため、インバータで1800Hzまで対応する高周波化を進めた。
  • 重量 45kg→10.5kg。トランスの小型化と軽量化により、ロボットへの直接搭載が可能になり、ロボットの動作速度向上や小型化につながる見込みである。

事業者のプロフィール

事業者名北富士オリジン株式会社
所在地山梨県 富士吉田市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野切削加工
従業員数84人
資本金4,600万円
設立1968年

事業の背景

創業当初は電源関係の組立配線を行っていたが、その後トランスの製造に特化した。トランス専門の小規模メーカーは東京都内でのワニス処理が難しくなったことなどから次々と廃業していった。一方で自動車の溶接ロボット化は世界的に進み、溶接機メーカーはロボットメーカーから溶接装置の小型・軽量化・大出力化を強く求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術自動車の溶接ロボットに搭載するため、変圧電源(トランス)を小型・軽量化し、大出力を保つ必要があった。
  • コスト・採算旧型は50Hz用トランスを別置きにしていたため、装置スペースや電源ケーブルでのロスが生じ、コストも高くなっていた。
  • 生産能力トランスは全体重量の40%を占めており、ロボットの動作速度を上げて加工サイクル時間を縮めるには搭載部の軽量化が必要だった。

やったこと

周波数を高めるとSN値が下がりトランスを小型化できるため、インバータで1800Hzまで対応する高周波化を進めた。1次側巻線径、巻線方法、コア材質、コア構造、絶縁材質、封止剤材質、水冷経路、放熱形状の8項目を変えて実験を積み重ねた。巻線は複数巻きにして導体の表面積を稼ぎ、薄いケイ素鋼板を使って鉄損を減らした。絶縁材と熱伝導の良い封止剤(樹脂)を使い、真空脱泡乾燥設備で放熱性と絶縁性を高めるとともに脱気乾燥時間も短縮した。その結果、従来型の縦寸法155mmが131mmになり、45kgのトランスは10.5kgとなった。さらに80kVAを基に90kVAのトランスも試作し、温度上昇を155℃以下に抑えてJIS絶縁クラスF種を満たし、耐久試験にも合格した。

新しい製品・サービス:スポット溶接機用インバータトランス(80kVA、90kVA)

事業の効果

  • 重量 45kg→10.5kg
  • 大きさ 1倍→0.25倍
  • 縦寸法 155mm→131mm

トランスの小型化と軽量化により、ロボットへの直接搭載が可能になり、ロボットの動作速度向上や小型化につながる見込みである。別置きのトランスが不要になることで装置スペースとケーブルのロス、コストが減る。封止剤や絶縁材、ケース材の見直しで温度上昇を抑え、耐久試験にも合格したため品質面でも実用に耐える。乾燥時間の短縮により生産性も向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業当時の変圧器特化の経緯や、トランス一筋の歩みが書かれ、事業の一貫性はうかがえるが経営戦略としての明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ロボット溶接の市場拡大と小型軽量化要請を踏まえ、45kgから10.5kg、体積1/4と具体的な強みを示している。

  • 課題の認識と解決4

    ロボット搭載時の重量比率40%や発熱課題を明示し、冷却構造や絶縁材の改良で解決を図る道筋が書かれている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    量産化に向けた試算中とあり、軽量化の数値は示されるが、付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    技術部の4名が実験に携わったと書かれ、体制の一端は読み取れるが、事務処理能力などの詳細は不明。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    溶接機メーカーからの小型軽量化要望と、ロボット高速化・省エネという顧客ニーズへの対応が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    80kVAから90kVAへの展開や上限値の余裕確保など次段階の課題は書かれるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    溶接機用トランスの小型化は同分野で高水準を目指す取組として読めるが、普及度や高価格化の具体的根拠は薄い。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    自動車生産や溶接ロボット市場の拡大に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    サイズ1/4、重量4割減などの効果は書かれるが、補助金額に対する費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高周波化による小型化という技術革新はうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ロボット溶接の成長市場への対応はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとは明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    富士吉田市の企業である点は示されるが、地域特性を活かした経済成長への言及は書かれていない。

今後の展望

90kVAトランスは量産化に向けた試算を進めており、上限値に対する余裕を確保するため温度上昇のさらなる抑制に取り組む。今後はさらなる軽量化・小型化により世界最高をめざす。

事業者の声

僕はマシン屋ですね。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。