ものづくり補助金平成24年度岐阜県

画像処理技術による罹災被害者捜索装置の試作

株式会社アルプスサイン

この事例のポイント

  • 海難事故の初動捜索は航空機からの目視が主流だが、上空からの目視確認は容易ではなく、遭難者の早期発見に至らないケースが多い。
  • 道路調査の空撮飛行の経験から、ハイパースペクトルカメラを用いた海上遭難者探索装置を発案した。
  • 海上遭難者探索装置「Beam Eye」は2014年12月に製品と技術内容について特許を取得し、本体セット価格は2,000万円(税別)で発売された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アルプスサイン
所在地岐阜県 高山市
業種総合工事業
技術分野部材の締結

事業の背景

株式会社アルプスサインは、道路区画線や道路標識、ガードレールなど交通安全施設の工事を手がける建設会社として創業した。ライン幅に溝を切り塗料を流し込む「LL(ロング・ライフ)ライン」で特許を有している。屋外広告サイン事業や太陽光発電を利用したLED街路灯事業など、「社会の安全」を共通テーマとした新事業にも積極的に取り組んでいる。海難事故の捜索では目視が主流で、新しい探索手段の開発は進んでいなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度海難事故の初動捜索は航空機からの目視が主流だが、上空からの目視確認は容易ではなく、遭難者の早期発見に至らないケースが多い。
  • 新製品・新技術人命救助を支援するハイパースペクトルカメラの研究開発は手つかずの分野で、海上遭難者を検出する技術が存在しなかった。

やったこと

道路調査の空撮飛行の経験から、ハイパースペクトルカメラを用いた海上遭難者探索装置を発案した。スペクトル研究に詳しい北海道科学大学の教授と共同で試作開発に取り組んだ。装置に搭載する対象物探索プログラムの開発は東京大学先端科学技術センターに委託した。約1年の試行錯誤の後に試作品が完成し、教師データとして人の皮膚、衣類、ウェットスーツ、ライフジャケット、ブイ、板の分光情報を登録した。装置は撮影画像の分光情報を リアルタイムで解析し、該当する分光情報を検出するとアラームとともに検出箇所をモニター上に示す。神奈川県の湘南海岸上空の実証実験では、上空約150メートルから撮影した画像で、海上に浮遊する人の皮膚、ライフジャケット、ロープの情報を検出することに成功した。

新しい製品・サービス:海上遭難者探索装置「Beam Eye(ビーム・アイ)」

事業の効果

海上遭難者探索装置「Beam Eye」は2014年12月に製品と技術内容について特許を取得し、本体セット価格は2,000万円(税別)で発売された。2015年9月時点では販売実績はまだないが、大手商社から技術協力の依頼を受けるなど明るい材料も出始めている。海難事故発生時の人命救助に寄与する新技術として、普及には多くの人に興味を持ってもらうことが鍵になっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    道路区画線など建設業から、交通安全・社会の安全を共通テーマに新事業へ展開したとあり、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ハイパースペクトルカメラの海難探索分野は世界初で手つかずだったとあり、競争優位の源泉は読めるが、市場規模や自社の経営資源の強み・弱みの記載は薄い。

  • 課題の認識と解決2

    初動捜索が目視中心で遭難者の早期発見に至らないケースが多いという課題認識はうかがえるが、事業計画による高付加価値化や成長の道筋は書かれていない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売実績は2015年9月時点でまだなく苦戦とあり、付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    佐島教授との共同開発や東京大学への委託など外部連携体制は書かれているが、社内の人材や事務処理体制の記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    本体セット価格2,000万円、教師データの対象(人の皮膚・ライフジャケット等)、上空約150mでの検出成功など、製品価値と用途が具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    約1年の試行錯誤後に試作完成、2014年12月に特許取得、今後は山岳遭難への応用とあり、段階的な進め方は読み取れるが具体的な期限や課題解決策は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    海難探索へのハイパースペクトルカメラ応用は世界初で研究が手つかずの分野と明記され、新市場性が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    海難事故の遭難者の早期発見・救助という公共性は読めるが、波及効果や雇用創出などの国が補助する理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額と付加価値増加や生産性向上の関係を示す数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献4

    ハイパースペクトルカメラによるリアルタイム分光解析で遭難者を検出する先端技術の活用と、海上救助への貢献が具体的に読み取れる。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    防災・救助分野への進出とされるが、日本経済の構造転換への言及はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

画像解析情報の高精度化に取り組むとともに、関係機関への営業活動を積極的に行い、早期の社会導入をめざす。今後は山岳遭難などへの応用を進め、交通分野など広く地道な営業・広報活動を続ける。

事業者の声

海難事故発生時の人命救助に寄与する新しい技術として、いかに多くの人に興味を持ってもらえるかが普及の鍵。今後は山岳遭難などに応用し、交通分野など広く地道な営業・広報活動を続けていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

岩手県平成24年度

カラフル全面ホーロー処理厨房用南部鉄器の試作開発

厨房用鉄器を高周波電気炉で溶製し、片状黒鉛鋳鉄の炭素量を3.5%から4.0%に、ケイ素量を2.4%から3.3%に変更して黒鉛形状がA型、C…

効果:ショットブラスト処理により鋳肌表面の黒鉛開口が閉塞し、泡欠陥の発生が低下した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。