ものづくり補助金平成24年度静岡県

工場等に導入可能な工業用マイクロ小水力発電装置の開発

大日工業株式会社

この事例のポイント

  • 既存の水力発電システムは発電量が数十kWで大掛かりな工事を伴い、価格も数千万円と高い。
  • 配管に取り付けるため装置を筒状にし、回転体には特殊な形状「GTスパイラル」を応用して一定数値以上の回転数とトルク応力を得られるようにした。
  • 試作した2タイプの装置はいずれも工場排水で回転・発電することを社内試験で確認できた。

事業者のプロフィール

事業者名大日工業株式会社
所在地静岡県 静岡市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数78人
資本金1,000万円
設立1970年

事業の背景

大日工業は電気製品向けの各種プリント基板製造を手がけ、平成19年にエコアクション21の認証を取得して省エネ活動を展開していた。風力や太陽光発電向けのパワー基板も手がけ、発電機に必要なマグネットやコイルなどの部品も交流のある企業から調達できる状況にあった。平成22年ころ省エネ系セミナーで工場排水の活用という着想を得た。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の水力発電システムは発電量が数十kWで大掛かりな工事を伴い、価格も数千万円と高い。
  • コスト・採算工場排水の既設配管に簡単に取り付けられ、価格を数百万円に抑えた小水力発電装置が必要だった。

やったこと

配管に取り付けるため装置を筒状にし、回転体には特殊な形状「GTスパイラル」を応用して一定数値以上の回転数とトルク応力を得られるようにした。回転部分と発電部分を一体化するため二重構造の回転体とし、内筒に強力タイプのマグネット、外筒にコイルを取り付けた。コイルはプリント基板製造で培った技術を生かし、筒の表面に配置できるパターンコイルを採用した。専用パワーコントローラーを開発し、「かご型水力発電装置」と「アウタータイプ」を試作して社内試験を行い、両タイプとも工場排水で回転・発電することを確認した。

新しい製品・サービス:工場排水に特化し、既設の配管に比較的簡単に取り付けられる価格を抑えたマイクロ小水力発電装置。

事業の効果

試作した2タイプの装置はいずれも工場排水で回転・発電することを社内試験で確認できた。想定する80Wの発電量に対し、必要な排水量が1日数百リットル、水流の速度が毎秒3.75メートルと多く速いため、回転数の向上やコンパクト化を課題として残している。平成28年中の発売を目指しており、補助金を機に得た技術やネットワークを生かして事業化を進める計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性87%
  • これまでの取組との一貫性4

    エコアクション21認証を平成19年に取得し、省エネや環境負荷低減に役立つ製品開発に力を入れている点が事例に書かれており、事業方針との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性5

    既存の水力発電は数十kWで数千万円だが、同社は数十Wで数百万円に抑え、プリント基板製造で培ったパターンコイル技術を生かす点が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    課題として必要排水量が1日数百リットル、流速毎秒3.75メートル前後と数値で示され、回転数向上やコンパクト化など改良の方向性も明記されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、平成28年中に発売したいという時期の目安のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制4

    専任者を配置して約1年間開発に専念した体制が事例に具体的に書かれており、遂行体制の一端が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    工場排水に特化し、既設配管に比較的簡単に取り付けられ、価格も数百万円とする顧客像と選ばれる理由が明確に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    発売に向けた課題として回転数向上やコンパクト化を挙げ、平成28年中の発売目標を示しており、今後の進め方がおおむね読み取れる。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の大規模水力発電とは異なり、工場排水向けに数十Wレベルの小型装置へ特化している点が示され、新たな分野での差別化がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    開発資金の負担が重く開発に踏み切れない企業が多いという認識が示されており、補助を必要とする理由が一定程度読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献2

    地域の交流組織や静岡県・中央会との連携による情報提供や関連企業との橋渡しが書かれているが、先端デジタル技術の活用は読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    省エネや環境負荷低減への取り組みはうかがえるが、市場成長分野への進出や日本経済の構造転換に関する記述は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    メードイン地元にこだわり、地域の交流組織や静岡県の支援と連携して開発を進めている点が事例に具体的に書かれている。

今後の展望

今後は回転数を上げたり、コンパクト化して一つの配管内に数個の装置を設置できるようにしたりして改良を進め、平成28年中の発売を目指す。

事業者の声

中小企業にとって開発資金のウエートは重い。開発に踏み切れない企業が多いなか、ものづくり補助金は貴重だ

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。