ものづくり補助金平成24年度静岡県

高発熱密度の熱源冷却用冷凍サイクル式コールドプレートの開発

オーム電機株式会社

成果冷却能力 1倍(空冷比)→1.8倍(空冷比)

この事例のポイント

  • 電子基板の小型化・集積化で熱が狭い範囲に集中し、空冷では冷やしきれなくなっていた。
  • 水冷より冷却効果の高い潜熱冷却方式の実用化を目指し、熱流体シミュレーションソフトで冷凍サイクルを設計した。
  • 冷却能力 1倍(空冷比)→1.8倍(空冷比)。潜熱冷却方式のハイブリッドクーラーは冷却効率が高く、水漏れや結露を防いで安全性も高めた。

事業者のプロフィール

事業者名オーム電機株式会社
所在地静岡県 浜松市
業種電気機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数148人
資本金9,800万円
設立1961年

事業の背景

オーム電機は配線用パーツが主要事業で、そのシェアは業界トップである。主力製品は盤用クーラー「クールキャビ」である。電子基板の小型化・集積化が進み、熱が狭い範囲に凝縮して冷えにくくなっており、空冷では対応が難しくなっていた。そのため冷却効果の高い水冷方式のチラーが主流になりつつあったが、水漏れや結露による電気トラブルのリスクを抱えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力電子基板の小型化・集積化で熱が狭い範囲に集中し、空冷では冷やしきれなくなっていた。
  • 品質・精度水冷(チラー)は冷媒に水を使うため、施工不良や経年劣化による水漏れや配管部の結露が起こり、漏電やショートで電子基板が破壊され生産ラインが止まるおそれがあった。
  • コスト・採算水漏れの問題を解決しつつ消費電力を抑えた冷却装置が生産現場で求められていた。

やったこと

水冷より冷却効果の高い潜熱冷却方式の実用化を目指し、熱流体シミュレーションソフトで冷凍サイクルを設計した。発熱源に置いたプレート内で冷媒ガスが液体から気体に変わり、配管を上昇してラジエーターで冷やされて液体に戻る仕組みを作り、動力を使わず冷媒が循環する冷媒自然循環サイクルを完成させた。実証機ではラジエーターへのファンによる強制空冷やコンプレッサーによる強制冷却との組み合わせを試し、結露を発生させずに冷却効率を上げ消費電力を抑える条件を探った。その結果、冷却能力が空冷の1.8倍となり消費電力も削減できるハイブリッドクーラーが完成した。さらに、コンプレッサーのモーターを高精度に制御するため、静岡理工科大学と共同でエンコーダーを使わないセンサーレス・インバーターを開発し、コンプレッサーに搭載した。

  • その他センサーレス・インバーター

新しい製品・サービス:ハイブリッドクーラー(潜熱冷却方式)

事業の効果

  • 冷却能力 1倍(空冷比)→1.8倍(空冷比)

潜熱冷却方式のハイブリッドクーラーは冷却効率が高く、水漏れや結露を防いで安全性も高めた。冷却能力は従来の空冷の1.8倍となり、消費電力も削減できる。センサーレス・インバーターを搭載したコンプレッサーではトルク変換効率が従来品より向上し、省エネ効果が期待できる。被冷却物を一気に冷やせるため、冷却ラインの短縮にもつながる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    主力は配線用パーツで業界トップのシェアとあり、盤用クーラー「クールキャビ」など既存事業との関連は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    電子基板の集積度向上で冷えにくくなり、水冷は水漏れによる漏電や生産ライン停止のリスクがあるという外部環境と課題が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    空冷比1.8倍の冷却能力や、チラーの水漏れ・結露の問題を解決する実効的な技術開発の方向性が記載されている。事業計画としての数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    冷却能力1.8倍やコンプレッサーのトルク変換効率が従来比で向上したとあるが、付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    静岡理工科大学との共同開発や開発部の宮田部長による研究経緯は書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    電子基板を多く組み込んだ制御盤や電源機器、鋳造品、冷凍食品ライン、LED照明など顧客ターゲットと用途が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋2

    7年前からの研究や冷却効果テストを経て完成したという経緯はあるが、今後のスケジュールや課題解決の方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    潜熱冷却方式は大手電機メーカーも製品化しており一般的ではないが、同分野で高水準の冷却効率を示す技術と読み取れる。普及度の数値データは書かれていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    省エネ効果として工場の電気料金を9%安くできる点や、冷凍食品ラインやLED照明への展開が書かれ、波及効果はうかがえるが国の補助の必要性は直接記載されていない。

  • 費用対効果3

    消費電力の削減や電気料金9%安くなる効果が示されるが、補助金投入額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    センサーレス・インバーターの共同開発など新技術の活用はあるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    冷凍食品の生産ラインやLED照明など成長分野への展開がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

鋳造品や熱処理した部品の冷却、冷凍食品の生産ラインへの提案を進める方針である。また、冷媒自然循環サイクルをLED照明システムの冷却向けに開発し、電力消費を抑え漏電の心配がない照明の提供を目指す。

事業者の声

潜熱冷却方式は長年、研究を続けてきた技術

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。