ものづくり補助金平成24年度静岡県

鍼灸針の部品(鍼管)の製造方式変更及び内製化

セイリン株式会社

成果ガイドチューブの月間処理能力 70万本→100万本

この事例のポイント

  • 国内では鍼のトップシェアを持つが、世界では廉価な中国製品のシェアが大きく、販路を広げ国際競争力を高める必要があった。
  • 製造方式を変更し、ガイドチューブを内製化するため、清水工場に射出成形機を導入した。
  • ガイドチューブの月間処理能力 70万本→100万本。内製化により月間の生産能力が大幅に増え、無人化によりオペレーターは1人で済むため人件費の削減につながる。

事業者のプロフィール

事業者名セイリン株式会社
所在地静岡県 静岡市清水区
業種業務用機械器具製造業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数132人
資本金8,000万円
設立1978年

事業の背景

セイリンは鍼業界で国内トップシェアを誇る鍼メーカーで、昭和53年に世界に先駆けて使い捨て鍼を製品化した。主軸製品はディスポーザブル鍼灸鍼で、そのガイドチューブは外部から購入した射出成形品に自社で面取り加工を加えていた。世界的には廉価な中国製品のシェアが大きい一方、オーストラリアやドイツをはじめとするヨーロッパで需要が伸びていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信国内では鍼のトップシェアを持つが、世界では廉価な中国製品のシェアが大きく、販路を広げ国際競争力を高める必要があった。
  • 生産能力ガイドチューブは外部から購入した射出成形品に自社で端面の面取り加工を追加しており、生産能力とコストの面で制約があった。
  • コスト・採算内製化に必要な射出成形機と金型は費用が高額で、資金の負担が大きかった。

やったこと

製造方式を変更し、ガイドチューブを内製化するため、清水工場に射出成形機を導入した。この成形機は試作から量産まで使える金型を備え、無人運転による省力化のための自動製品取出し機、樹脂を自動供給するホッパーローダー、ハイサイクル成形のための独自の金型冷却システムを取り付けた。ガイドチューブの樹脂は柔らかいものや硬いものなど多種類を試作し、色合いも含めて現場の部署に意見を求めて選定した。

新しい製品・サービス:先端をR加工して丸みを帯びさせた鍼(顔面などの敏感な部位への施術で患者の負担を軽減)

事業の効果

  • ガイドチューブの月間処理能力 70万本→100万本

内製化により月間の生産能力が大幅に増え、無人化によりオペレーターは1人で済むため人件費の削減につながる。新しい成形機では外側と内側の両方を曲面で面取りできるため、皮膚への当たりが優しく違和感が軽減され、製品の高付加価値化が図られた。これにより国際競争力が高まり、販路の拡大が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の購入品に依存していた追加工を内製化し、商品付加価値向上と販路拡大を図る方針が記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内シェアトップだが世界では中国製品が多い状況と、オーストラリア・ドイツなど欧州需要の伸びを踏まえた事業方針が書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    外部購入品の角を残す追加工の課題を認識し、射出成形機での内製化により内外曲面の面取りを実現した点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    処理能力が毎月70万本から100万~130万本に増え、月産約2倍とする数字が示されている。

  • 事業を進める体制2

    補助金応募の書類作成に時間を取られたとあるが、事業遂行体制や人材の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    皮膚への当たりが優しく違和感が軽減される製品価値は示されるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    老朽設備の計画的更新や鍼先R加工のグレードアップ試作など今後の方向は示されるが、スケジュールは不明確。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    使い捨て鍼の分野で先行しているが、ガイドチューブの面取り加工の高付加価値化という点は読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国際競争力向上と販路拡大が期待されると書かれるが、雇用や経済波及効果への言及は薄い。

  • 費用対効果3

    補助金で資金負担が軽減された点と生産能力が2倍近くになる点は読み取れるが、費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    無人運転やノンストップ成形による自動化は書かれるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記載がない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    静岡市の地域企業として補助金を活用した点はうかがえるが、地域の特性を活かした経済成長への言及は薄い。

今後の展望

一部の老朽化した設備について計画的に新しい機械を導入する必要があり、その際にはものづくり補助金の活用を考えている。また、鍼先のR加工をグレードアップし、さらに痛みを軽減する優しい製品の試作・開発に取り組んでいる。

事業者の声

正直言って、補助金応募の際の書類記入は時間を取られる上に面倒。しかし、採択されれは資金的なメリットは勿論、さまざまな媒体で取り上げられ、社の認知度も上がり、応募して良かった

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。