ものづくり補助金平成24年度愛知県

六軸ロボットとレーザー加工機を組み合わせた機械設備の開発

日研工業株式会社

成果3Dラミネート事業が売上げの60%を占めるまでに成長した。

この事例のポイント

  • 家電製品向けの部品製造が主力だったが、リーマンショック以後は家電業界の生産が海外へ移り、経営環境が厳しくなった。
  • 補助金を活用して、六軸ロボットとレーザー加工機を組み合わせた機械設備の開発に取り組んだ。
  • 3Dラミネート事業が売上げの60%を占めるまでに成長した。無駄肉除去の機械化により、安全性の問題が解決され、作業者による品質のばらつきもなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名日研工業株式会社
所在地愛知県 名古屋市
業種general machinery
技術分野真空
資本金1,000万円
設立1974年

事業の背景

日研工業は自動車内装部品の3次元加飾(3Dラミネート)事業を手がける。かつては家電製品に装着されるパネルやスイッチ部品の製造が主力で、大手家電メーカーのサプライヤーとして経営が成り立っていた。平成21年のリーマンショック後に家電業界の仕事が海外へ移転し、経営は厳しくなった。そこで自動車部品大手サプライヤーの開発部門とも関係を持てる営業部門を設置し、自動車部品のニッチな分野に絞って3Dラミネート事業を開拓した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力家電製品向けの部品製造が主力だったが、リーマンショック以後は家電業界の生産が海外へ移り、経営環境が厳しくなった。
  • コスト・採算年々経営が厳しくなり、運転資金の手当てにも苦労するようになった。
  • 新製品・新技術自動車内装部品の表面に張り付けた加飾用フィルムの余り(無駄肉)を、刃物による手作業で除去しており、安全性と品質面に問題があった。
  • 人手・技能手作業での無駄肉除去は作業者による品質のばらつきがあり、機械化が求められていた。

やったこと

補助金を活用して、六軸ロボットとレーザー加工機を組み合わせた機械設備の開発に取り組んだ。レーザーで切り落とす部分のフィルムにうねりなどがあると切断できなかったり、材質によってガスが発生するなどの問題が明らかになったため、トリミングの前処理工程を入れたり、フィルムを変更するなどで解決した。ロボットが繰り返し同じ動作をする中で安定して部品をセットできる専用治具も製作した。実際の稼働を想定したテストを繰り返して完成度を向上させた。完成した設備を自社工場に設置し、手作業で処理していた無駄肉を機械処理した。超音波での除去技術も確立し、レーザーと合わせて加工できる素材の幅も広がった。

加工機六軸ロボットとレーザー加工機を組み合わせた機械設備
その他ロボット用の専用治具
加工機超音波でのフィルム除去装置

新しい製品・サービス:六軸ロボットとレーザー加工機を組み合わせた無駄肉除去用の機械設備

事業の効果

  • 3Dラミネート事業が売上げの60%を占めるまでに成長した。

無駄肉除去の機械化により、安全性の問題が解決され、作業者による品質のばらつきもなくなった。レーザーと超音波の組み合わせで加工できる素材の幅が広がり、3Dラミネート事業が売上げの60%を占めるまでに成長した。機械化により自動車部品サプライヤーに品質の安定が認められ、受注につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    家電部品のサプライヤーから自動車内装の3Dラミネートへ転換し、事業の柱に育てた経緯が具体的に書かれ、3Dラミネートが売上の60%を占めるまでに成長したとある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大手が敬遠した無駄肉除去を機械化し、ニッチ部品に絞ったことが記載されている。売上の60%を占めた点も示される一方、競争上の数値的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    リーマンショック後の運転資金難を課題として認識し、機械化で品質を安定させ受注につなげたと書かれている。実効性の具体的な計画数値は示されていない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加や賃上げの目標値は記載されておらず、わずかに受注増の効果がうかがえる程度である。

  • 事業を進める体制3

    5カ年の経営革新計画を作成し、機械メーカーへの開発依頼やテスト繰り返しを行ったと書かれるが、人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車部品サプライヤーの要望に応じ、無駄肉除去の機械化で品質の安定を実現し受注に結びついたと具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    開発期間の制約を踏まえて機械メーカーに仕様を決めて依頼し、テストを重ねて完成度を上げ、次期モデルへの組み込みまで書かれている。

  • 財務と資金の調達2

    運転資金の手当てに苦労したと書かれるが、補助事業を遂行できる財務状況や資金調達の見込みは記載されていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    自動車内装の3Dラミネートはニッチ分野で、真空フィルム成型機の導入企業が少なかったと書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    自動車産業の変革期に加飾技術を付加する将来像にふれるが、波及効果や雇用創出などの国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果はうかがえない。

  • イノベーションへの貢献3

    ロボットとレーザー加工を組み合わせた機械化が、サプライヤーの品質と安全性の課題を解決したと書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    家電から自動車部品への転換が書かれ、市場変化への対応がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    名古屋市の企業で3Dラミネートに取り組んだことは書かれるが、地域の特性を活かした雇用や経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

社長は次に部品に加飾と機能を持たせたいと先を見据えている。加飾した部分にスイッチパネル機能などを付加できれば、自動車産業の変革期にも対応できると考えている。

事業者の声

品質の安定が大きかった

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。