ものづくり補助金平成24年度愛知県

日本伝統色の継承と高度な色彩管理技術を用いたデジタル捺染綿製品の試作開発

合資会社マルスギ

成果オートスクリーンの納期 14日→1日

この事例のポイント

  • 国内繊維産業の縮小が続く中、従来のスクリーンプリント中心の事業だけでは今後の生き残りが課題となっていた。
  • インクジェットプリンターで色の質を改善するため、前処理ののり剤を生地の薄手用と厚手用に分けて開発し、発色条件を整えた。
  • オートスクリーンの納期 14日→1日。補助事業により、色彩管理技術と生産体制が確立し、一貫生産の体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名合資会社マルスギ
所在地愛知県 名古屋市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
資本金180万円
設立1954年

事業の背景

合資会社マルスギは昭和29年以来、繊維プリント業を営んできた。工場の主力はオートスクリーン機で、綿を中心に法被や巾着、布教材、風呂敷などをプリントしている。国内繊維産業の縮小と同業者の廃業が続き、名古屋市内には同業者がいなくなったという。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力国内繊維産業の縮小が続く中、従来のスクリーンプリント中心の事業だけでは今後の生き残りが課題となっていた。
  • 人手・技能少量多品種・短納期の需要に応えるため、インクジェットプリンターを導入して色の質を高める必要があった。
  • 品質・精度インクジェットプリンターでは黒がグレーになるなど色の質が劣り、色彩管理の確立が求められていた。

やったこと

インクジェットプリンターで色の質を改善するため、前処理ののり剤を生地の薄手用と厚手用に分けて開発し、発色条件を整えた。インクの噴射部分の横線を際のぼかしで消し、滑らかさを出した。蒸し工程ではスチーム機を導入して蒸気量を管理し、洗濯機は高温で使えるものを選定した。乾燥には有松絞に倣って転写機を導入し、蒸し・洗濯・乾燥までの一貫生産体制を整えた。

加工機インクジェットプリンター
加工機スチーム機
加工機乾燥機(転写機)
加工機ミシン

新しい製品・サービス:日本伝統色の継承と高度な色彩管理技術を用いたデジタル捺染綿製品

事業の効果

  • オートスクリーンの納期 14日→1日

補助事業により、色彩管理技術と生産体制が確立し、一貫生産の体制が整った。納期は2週間から1~2日へと大幅に短縮された。インターネットを通じた東京地区などからの問い合わせが増え、直取引が拡大した。今後は縫製工程の整備も進める計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    中小企業の成長記録として、家業を継ぎ、スクリーンプリントからインクジェット導入へ進んだ過去の取組の流れは読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内繊維業界の縮小と同業者の不在を示し、インターネット経由で東京地区から直取引が拡大した点など、外部環境と強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    課題として国内需要の衰退と工程ごとの技術課題が示され、一貫生産体制で短納期化したと書かれているが、今後の事業計画の数値は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    平成29年度5月期決算で1.8倍の売上達成とあるが、今回の計画の付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社長自らが染料や工程を開発し、工場内に設備を整えて一貫生産を構築した経緯から体制の一端はうかがえるが、人材や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    日本伝統色の継承と高度な色彩管理という製品の価値、型を用いた手捺染の見本承認からの製造流れ、顧客ニーズへの対応が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    工程ごとの見直し、スチーム機導入、縫製への次の目標など段階的な進め方が示されているが、スケジュールの数値は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    同業者がいないと書かれ、インクジェットによる綿の少量多品種短納期生産という、一般に普及していない分野への取組が具体的に示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    伝統産業の名古屋市の有松絞を活用した点はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出についての記述は少ない。

  • 費用対効果3

    2週間かかっていた工程が1〜2日に短縮されたと書かれ、費用対効果の一端は読み取れるが、補助金額と付加価値額の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    インクジェットや転写機の活用で一貫生産体制を築き、東京との結びつきを強める点は示されているが、サプライチェーン全体への貢献の記述は薄い。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    国内繊維産業の縮小に対し新しい分野へ進出する姿勢はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    名古屋市の伝統産業や有松絞を活かし、地域の特性を取り入れた事業であることが読み取れるが、雇用や地域成長の数値は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

リニア中央新幹線の開通で首都圏との結びつきが強くなるため、このチャンスを生かし、新しい形のネット時代の製品づくりに挑戦していく。

  • 目標:売上 1倍→1.8倍

事業者の声

国内繊維産業は、すでに終わった存在だ

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。