ものづくり補助金平成25年度製造業岩手県

素材丸抱え&オールアイテム縫製におけるモアレ(接着不良)防止機能の確立

株式会社二戸ファッションセンター

成果電熱式ヒーターでは10℃前後あった温度差が、スチームチャンバーヒーター方式によりほとんどなくなった

この事例のポイント

  • 新素材の接着時に布地の表面の織り目が縮んで歪む「モアレ不良」が発生し、布地のロスやコスト増加、受注機会の損失を招いていた。
  • 熱源に電熱式ヒーターを使う従来機に代えて、スチームチャンバーヒーター方式(密閉容器に加圧蒸気を注入し、ヒーター全面に温度差を生じさせない仕組み)と、従来の1.8倍の加圧力を持つ上…
  • 電熱式ヒーターでは10℃前後あった温度差が、スチームチャンバーヒーター方式によりほとんどなくなった。接着時の温度差と加圧ムラが解消され、モアレ不良の発生はほとんどなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社二戸ファッションセンター
所在地岩手県 二戸市
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数62人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

昭和48年創業の当社は、40年以上培った縫製技術をもとに婦人服全般の縫製を手がけ、中でもジャケットやコート、ダウンなどの重衣料の縫製割合が高く、日本を代表するDCブランドや海外の有名ブランドと取引している。同一の服地で様々な服種を一つの工場で作る「素材丸抱え&オールアイテム縫製」が強みで、消費者の同一素材による組み合わせ購入の増加により、アパレルメーカーからの発注機会が増えている。一方、国内縫製業界は取り扱うアイテムや素材の限定化が進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度新素材の接着時に布地の表面の織り目が縮んで歪む「モアレ不良」が発生し、布地のロスやコスト増加、受注機会の損失を招いていた。
  • 生産能力従来の電熱式ヒーターの接着機では、設定温度と実際の接着温度に10℃前後の差が部分的に生じていた。
  • 人手・技能接着機の加圧ローラーが細く、加圧力と通過時間にバラつきがあり、接着パーツの積み重ねに2名の作業が必要だった。

やったこと

熱源に電熱式ヒーターを使う従来機に代えて、スチームチャンバーヒーター方式(密閉容器に加圧蒸気を注入し、ヒーター全面に温度差を生じさせない仕組み)と、従来の1.8倍の加圧力を持つ上下2本の極太加圧ローラーを備えた新型低温接着機を導入した。あわせて接着パーツを自動で積み重ねるクイックスタッカーを2セット購入し、2つの生産ラインに投入した。クイックスタッカーは接着機と横幅が同じで、接着パーツが落下すると受け取って積み重ね、作業者の足元に戻す仕組みである。これにより接着作業は1名で可能となった。

加工機低温接着機(スチームチャンバーヒーター方式、極太加圧ローラー)
加工機クイックスタッカー

事業の効果

  • 電熱式ヒーターでは10℃前後あった温度差が、スチームチャンバーヒーター方式によりほとんどなくなった
  • 加圧ローラーの加圧力 1倍→1.8倍

接着時の温度差と加圧ムラが解消され、モアレ不良の発生はほとんどなくなった。これによりどの布地でもモアレを防げるようになり、受注機会が拡大方向にある。低温接着機の導入で最低圧力で潰れていた毛足の長い難素材(レーヨンベルベット、高級カシミヤなど)にも対応でき、クイックスタッカーにより1名での作業が可能になって生産効率が向上した。今後は受注率アップによる増益、雇用の拡大や地域活性化への波及も期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来40年以上培った縫製技術を前面に打ち出す方針が明記され、過去の技術蓄積と事業の方向性が一貫している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    同一生地で多品目を一工場で縫う『素材丸抱え&オールアイテム縫製』が強みとして示され、消費者の組み合わせ購入増という外部環境と結びつけている。

  • 課題の認識と解決4

    モアレ不良による布地ロスとコスト増、受注機会損失という課題を明示し、低温接着機導入で発生ゼロ化を図る具体的解決策を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    受注率アップによる増益や雇用拡大が見込まれると書かれているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    10代から60代の社員が働き、2年先輩がOJTトレーナーを務める段階的な技能継承の仕組みが具体的に記載されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    難素材への対応、セレクトショップ等の取引先像、JFWや商談会への参加など顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の取り組みとして商談会参加や人材育成は述べられているが、補助事業の遂行スケジュールや課題解決の時期までは明確ではない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高密度ナイロンや高級ベロア等の新素材・難素材に対応し、レーヨンベルベットや高級カシミヤなど高水準の素材を扱える点が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    雇用の場が少ない二戸地域での雇用拡大や地域活性化への貢献が述べられているが、波及効果の定量的根拠は乏しい。

  • 費用対効果3

    ロス削減や不良ゼロ化、1名作業への省人化が示される一方、補助金投入額に対する費用対効果の数値は記載がない。

  • イノベーションへの貢献2

    スチームチャンバーヒーターや自動積み重ねを導入したが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は乏しい。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    新素材対応や難素材の受注拡大は示されるが、日本経済の構造転換に資する分野進出とまでは読み取れない。

  • 地域経済への波及4

    岩手県北の縫製工場集積地で、地域の雇用創出と地域活性化に貢献すると明記されており、地域特性を活かす事業である。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存取引アパレルメーカーとの信頼関係を深めるとともに新規発注先を開拓し、JFWジャパン・クリエーションやいわてアパレル企業ビジネスマッチングフォーラムなどに参加して販路開拓に努める。人材育成も継続し、雇用の拡大や地域活性化、メードインジャパンの拠点として岩手県北地域の縫製工場と連携する。

事業者の声

「セレクトショップ(独自の視点で選んだ複数ブランドを取り扱う店)をメインの取引先として、生き残りをかけていきたい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。