ものづくり補助金平成24年度三重県

輸出用常温流通ビールの開発及び商品化

有限会社二軒茶屋餅角屋本店

成果生産能力 600本/時間→2,000本/時間

この事例のポイント

  • 現在の瓶詰めラインは500ml瓶専用で、海外から要望の強い330mlや360mlでの出荷ができない。
  • 新型の高性能瓶詰め機を導入した。
  • 生産能力 600本/時間→2,000本/時間。試作開発品は新型瓶詰め機により鮮度を損なわずに充填され、酸化による劣化が既存製品に比べて著しく抑えられた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社二軒茶屋餅角屋本店
所在地三重県 伊勢市
業種食料品製造業
技術分野発酵
従業員数80人
資本金5,800万円
設立1575年

事業の背景

創業は天正3年(1575年)で、味噌・醤油・溜りの醸造を経て、1997年より伊勢志摩地区で初めての地ビールを製造している。主力はビールで、国内では冷蔵流通の高級クラフトビールとして販売している。国際的な品評会で多くの受賞があり、ここ数年海外からの輸出の要望が多い。アメリカ、カナダ、シンガポール、オーストラリアでは既に試験販売を行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力現在の瓶詰めラインは500ml瓶専用で、海外から要望の強い330mlや360mlでの出荷ができない。
  • 品質・精度現状の瓶詰め機は酸素を抜く能力が弱く、常温流通に完全に耐えうる安定性に乏しい。
  • 生産能力瓶詰め機は1時間に600本程度しか詰められず、一度に大量発注が入る海外需要に応えられない。

やったこと

新型の高性能瓶詰め機を導入した。機種はIMEC社の瓶詰め機で、2回に渡って空気を抜き不活性ガス(二酸化炭素)に置換する「ダブル・プリエバキュエーションシステム」を備え、生産能力は1時間あたり2,000本である。並行して伊勢市の椎の木樹液から採取した「KADOYA1株」と鳥羽市のヤマトタチバナ花から採取した「TB24株」の野生酵母を用い、同一条件でビールを醸造して香気成分をGC-マススペクトロメトリーで分析した。試作開発品は新型瓶詰め機で330ml瓶に充填し、既存製品(500ml瓶)と比較して25℃で7日間インキュベーターで定温管理した後、ジャッジ資格を持つ2名と訓練を受けた者で劣化度合いを比較した。専門家による官能検査と市場アンケートも実施した。

加工機高性能瓶詰め機(IMEC社製、ダブル・プリエバキュエーションシステム搭載)
検査測定ヘッドスペース測定機器(液面から王冠までの空間の測定)

新しい製品・サービス:330ml瓶で常温流通が可能な輸出用ビール(試作開発品)。

事業の効果

  • 生産能力 600本/時間→2,000本/時間
  • ヘッドスペース(液面から王冠までの空間)のばらつき 13.3mm→6.9mm

試作開発品は新型瓶詰め機により鮮度を損なわずに充填され、酸化による劣化が既存製品に比べて著しく抑えられた。ヘッドスペースのばらつきは改善し、変動係数は既存製品に比べて0.035ポイント低減した。味わいでは、鮮度の高い印象が強く感じられ、「コク」「軽快」「爽快」などの項目で既存製品より高い評価を得た。生産能力も向上し、330ml瓶での出荷が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    海外展開を主力商品ビールの取引先展開として位置づけているが、過去の取組との一貫性を示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外のメジャー大会での受賞や、米国・カナダ等での試験販売・海外からの要望が多いことを、強みとして具体的に記述している。

  • 課題の認識と解決4

    瓶詰め機の330ml非対応・酸素遮断能力の弱さ・1時間600本の能力不足という課題を具体的に挙げ、解決策を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    瓶詰め能力1時間2,000本以上、ヘッドスペース変動係数0.164→0.129など数値目標と成果の数値が示されている。ただし付加価値額や賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    酵母研究や技術者の確保に触れるが、補助事業を遂行する人員体制や事務処理能力の記述はうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    海外での受賞実績や、台湾・ブラジル等からの取扱い要望など、顧客ニーズの裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    事業終了後も酵母研究を高度化する方針や、先方要望のある取引先への順次輸出という流れが示されているが、スケジュールは具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    クラフトビールは国内で高級流通の分野であり、高付加価値化の方向性は示されるが、高水準の価格や普及度の数値は書かれていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    海外展開による地域の名前を冠した商品の展開がうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    瓶詰め機導入による能力向上や劣化の抑制は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    野生酵母や地域資源の活用による地域イノベーションの可能性がうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの言及はない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    伊勢・鳥羽の地域資源(椎の木樹液、ヤマトタチバナ花由来の酵母)を活用し、地域の名前を冠した商品を海外展開する点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

アメリカ、カナダ、シンガポール、オーストラリアで試験流通を進めており、台湾、ブラジル、スウェーデン、香港、中国、ベトナムからも330ml瓶で常温流通が可能なら取り扱いたいという提案が来ている。まず実績のある取引先から販売し、次に新規の取引先へ輸出を拡大していく。事業終了後も酵母の研究を高度化していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。