ものづくり補助金平成25年度製造業青森県

電解法による海藻類アルギン酸の効率的な抽出・精製技術の試作開発

株式会社KOWA

この事例のポイント

  • コンブの加工残渣(収穫量の約50%)が産業廃棄物として発生し、適正処理が必要で産地漁業者の負担が大きい。
  • 食塩水を電気分解して生成する酸性水(pH3.0以下)とアルカリ水(pH11.0以上)を使い、化学薬品を使わずにコンブからアルギン酸を抽出する方法を開発した。
  • 試作装置を使ったコンブからの実証試験を繰り返した結果、食塩のみでアルギン酸を抽出できることを確認し、目標としていた電気分解法による抽出・製造方法を確立できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社KOWA
所在地青森県 十和田市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野製造環境

事業の背景

日本では収穫されたコンブのほとんどが食用目的で、産地では食品としての1次加工が行われ、その際に大量の加工残渣が発生している。一方、中国はコンブを原料としたアルギン酸製造の中心地となっており、養殖・生産規模は世界最大である。アルギン酸は食品・製薬・医療・染色・製紙などの産業分野で広く利用されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他コンブの加工残渣(収穫量の約50%)が産業廃棄物として発生し、適正処理が必要で産地漁業者の負担が大きい。
  • その他アルギン酸の製造では酸・アルカリなどの化学薬品を使うため作業が危険を伴い、中国では劣悪な作業環境と環境汚染が社会問題になりつつある。

やったこと

食塩水を電気分解して生成する酸性水(pH3.0以下)とアルカリ水(pH11.0以上)を使い、化学薬品を使わずにコンブからアルギン酸を抽出する方法を開発した。電解槽の中で電解水の生成とコンブの化学的処理を同時に行う1室式電解化学リアクターを開発し、グラファイト板の電極2個のうち1個はヤシ殻活性炭を挟み込んだ複合体とした。酸処理後のコンブと酸廃液、アルカリ溶解後のアルギン酸と溶解残渣、析出したアルギン酸ゲルの分離条件を3回検証した。漂白は陽極で生成する次亜塩素酸で行う条件をコンブで検証した。析出したアルギン酸ゲルは手絞りと加圧による脱水、および電熱強制乾燥で検証した。

新しい製品・サービス:コンブを原料とした電気分解法によるアルギン酸の抽出・製造方法

事業の効果

試作装置を使ったコンブからの実証試験を繰り返した結果、食塩のみでアルギン酸を抽出できることを確認し、目標としていた電気分解法による抽出・製造方法を確立できた。評価活用試験では、建設分野での凝集剤や左官材料としての利用が期待できることも分かった。加工残渣を原料にすることで、安価なアルギン酸の提供と地域経済の活性化、廃棄物発生量の低減や環境保全につながると見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    企業概要に建設資材の製造・研究開発とあるが、本事業との過去の取組のつながりや経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    中国がコンブ養殖・生産規模世界最大と外部環境に触れているが、自社の強み・弱みと競争優位性の関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    加工残渣が収穫量の約50%発生し産業廃棄物処理の負担が大きいと課題を数字で示し、電気分解法で薬品を使わない解決策を示している。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    企業概要と試作検証の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記載は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    安価なアルギン酸の提供、建設分野の凝集剤や左官材料としての利用可能性など想定用途は示されているが、顧客ターゲットや選ばれる理由は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    試作装置を基に実用プラントを製作し本格稼働を目指すこと、基礎物性評価を続けることが示されているが、スケジュールや課題解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    アルギン酸は食品・製薬等で広く使われており、化学薬品を使わない電気分解抽出という方式の差別化がうかがえる程度である。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    地域経済の活性化、廃棄物発生量の低減、環境保全に寄与すると述べ、中国での劣悪な作業環境や環境汚染にも触れている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は書かれておらず、廃棄物削減の効果にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    電解槽で抽出とコンブの化学処理を同時に行う新しい装置方式がうかがえるが、先端デジタル技術や業界への波及は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    廃棄物由来の資源を活用する新たな製造方式がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及3

    コンブの水揚げ臨海加工施設に設置できる装置とし、加工残渣を地域で活用して地域経済の活性化に寄与すると述べている。

今後の展望

開発した装置はコンブが水揚げされる沿岸の加工施設に設置でき、安全でシンプルである。今後は実用プラントを製作して処理施設を拡充し、アルギン酸の製造・販売を目指す。また建設材料として活用するため、基礎物性などの評価試験を続ける。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。