ものづくり補助金平成26年度製造業佐賀県

新加工技術の確立と輸出による販路開拓

株式会社瀬兵

この事例のポイント

  • 伊万里焼・有田焼の出荷額は1990年の年間144億円から現在18億円へ低迷しており、需要の回復が課題である。
  • 本事業では、ガス窯自動制御装置、振動バレル研磨機(SFC-3)、エアーガン(FM-10型)、サンドブラスト(F55-G05)を導入した。
  • ガス窯自動制御装置により窯内の温度が均一になり、不良品の発生が減少した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社瀬兵
所在地佐賀県 伊万里市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野製造環境
従業員数10人
資本金2,000万円
設立1963年

事業の背景

瀬兵は佐賀県伊万里市で陶磁器を製造している。伊万里焼・有田焼は1990年のピーク時に年間出荷額144億円だったが、消費者の生活様式や価値観の多様化により需要が減退し、現在は18億円と非常に低迷している。当社は有田焼創業400年祭の「2016/プロジェクト」に参画し、家庭食器とオフィス関連という従来の伊万里焼とは異なる分野の商品に挑戦することになった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信伊万里焼・有田焼の出荷額は1990年の年間144億円から現在18億円へ低迷しており、需要の回復が課題である。
  • 生産能力窯は手動で焚いており、1時間ごとに温度とガス圧を確認する必要があった。
  • コスト・採算新分野の製品は素焼き・再焼成・研磨などの工程が多く手間がかかり、コスト高となっていた。

やったこと

本事業では、ガス窯自動制御装置、振動バレル研磨機(SFC-3)、エアーガン(FM-10型)、サンドブラスト(F55-G05)を導入した。ガス窯自動制御装置により本焼き窯の温度を均一に制御できるようにした。振動バレル研磨機により生地を入荷後に直接本焼きし、釉薬を使わずに表面を研磨して光沢を出す工程を可能にした。エアーガンは4色の色分けに使用し、色が混ざらない完成度の高い商品の生産を可能にした。サンドブラストは釉薬の掛かった艶のある部分にブラストをかけてマット状にし、新たな商品開発を可能にした。

その他ガス窯自動制御装置
その他振動バレル研磨機(SFC-3)
その他エアーガン(FM-10型)
その他サンドブラスト(F55-G05)

新しい製品・サービス:オランダのデザイナーによる家庭食器関係の商品と、イギリスのデザイナーによるオフィス関連商品を開発した。

事業の効果

ガス窯自動制御装置により窯内の温度が均一になり、不良品の発生が減少した。燃費も良くなりコスト削減につながり、温度確認作業が以前の十分の一程度になったことで生産性が向上した。振動バレル研磨機とサンドブラストにより素焼きや釉薬かけなどの工程が省略でき、大幅なコストダウンと市場に見合った商品の開発が実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    有田焼の出荷額減少や過去の取組に触れるが、事業との一貫した位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    陶磁器需要の減退(1990年144億円から現在18億円)に触れ、海外デザイナー起用で新市場を狙うと読めるが、自社の強み分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    素焼き・釉薬工程が手間でコスト高だった課題を示し、新工程で工程省略とコストダウンを図る具体的な改善が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    燃料費20%削減や監視時間の解消、不良率低減の見込みが数値つきで示されている。ただし賃上げ目標はない。

  • 事業を進める体制2

    従業員10人の企業であることのみ読み取れ、補助事業を遂行する体制や人材の具体的な記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    オランダ・イギリスのデザイナー商品や大手商社・デパートなど販路の想定が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    大手商社との組み、海外販売など販路拡大の方向は示されるが、スケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    伊万里焼の出荷額が144億円から18億円に低迷する中、オフィス関連など新分野で釉薬・研磨の新工程を確立したと具体的に書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    伝統産業の需要減退と販路開拓の必要性が示されるが、波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果4

    燃料費20%削減、素焼き代やガス代の節約など、投資に対する費用削減効果が具体的に書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    ガス窯自動制御やバレル研磨機は導入されたが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    新分野への挑戦と海外販路拡大はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    伊万里・有田の伝統産業という地域特性を活かした事業であると読めるが、地域雇用や成長への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

窯の温度を自動制御することで燃料費を20%削減でき、監視時間がなくなったことで生産性も向上し、本焼き工程での不良率も大幅に低減すると見込まれる。今後は大手商社と組み、大手デパート、事務機メーカー、ネット販売、さらに海外販売へ販路を拡大していく考えである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。