ものづくり補助金平成25年度製造業岩手県

高純度鉛フリーガラス製超多数ナノホールガスフィルターの開発

株式会社中原光電子研究所

成果多芯キャピラリの穴径 10μm→0.2μm

この事例のポイント

  • 半導体メーカーから次世代EUV露光装置のガス浄化に使うナノホールガスフィルターの要望があったが、既存の多穴ガラスフィルターは耐熱性能が低く不純物の多い鉛ガラス製だった。
  • 石英ガラスの熱延伸技術を用い、単芯石英ガラス管を複数本束ねて熱延伸する多段階熱延伸加工を行った。
  • 多芯キャピラリの穴径 10μm→0.2μm。ナノメートルオーダの穴径を持つ多芯キャピラリと、数ミクロンオーダの均一性に優れた穴径の多芯キャピラリの製作が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社中原光電子研究所
所在地岩手県 花巻市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野精密加工,接合・実装
従業員数11人
資本金800万円
設立2003年

事業の背景

当社は透光性や耐熱性に優れたガラスキャピラリの開発・製造・販売を行い、石英ガラスの高精度加工技術を持っている。半導体製造では不純物の除去が大きな課題となっており、メーカーから高純度で鉛フリーのフィルターを求める強い要望があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術半導体メーカーから次世代EUV露光装置のガス浄化に使うナノホールガスフィルターの要望があったが、既存の多穴ガラスフィルターは耐熱性能が低く不純物の多い鉛ガラス製だった。

やったこと

石英ガラスの熱延伸技術を用い、単芯石英ガラス管を複数本束ねて熱延伸する多段階熱延伸加工を行った。第二段階では石英ガラス管37本を束ねた多芯管をさらに37本束ねた37本37芯(1,369芯)の六方配列で熱延伸実験を行い、外径最大約1mm(穴径10μm)から外径最小約0.15mm(穴径200nm)までの複数サイズの多芯キャピラリを実現した。キャピラリの隙間は丸型配列による隙間計算とスペーサの設計・実装で埋め、研磨機を新たに導入して隙間を減らした。試作品は光学顕微鏡と岩手大学の協力を得た走査型電子顕微鏡で測定・評価した。

加工機研磨機

新しい製品・サービス:高純度鉛フリー石英ガラス製のナノホールガスフィルター(直径500nm以下の穴が100万個以上の多芯キャピラリ)

事業の効果

  • 多芯キャピラリの穴径 10μm→0.2μm

ナノメートルオーダの穴径を持つ多芯キャピラリと、数ミクロンオーダの均一性に優れた穴径の多芯キャピラリの製作が実現した。ナノホールガスフィルターの製造に必要なサブミクロン穴径の多芯キャピラリの試作に成功し、多段階熱延伸法の有効性と隙間消滅技術を確立した。ナノホールガスフィルターの開発の見通しを得て、関連する特許を出願している。光源開発の加速や医療・分析機器など多くの分野への応用が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    石英ガラスの熱延伸技術の活用と過去の委託研究採択が書かれ、既存技術の延長にあることはうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    半導体メーカーからの強い要望や鉛ガラス製の従来品との比較が書かれ、競合に対する強みは読めるが、市場規模などの定量的記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    従来の鉛ガラス品は耐熱性が低く不純物が多いという課題を示し、多段階熱延伸で解決する方針と成果を具体的に記述している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    ナノホールフィルターの開発見通しは書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    開発技術顧問や岩手大学の対馬特任教授の協力、代表の関与が書かれ、体制の一端は読めるが、従業員11名での人員配置の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    100万個以上の穴、直径500nm以下、2cm四方といった数値で製品仕様と顧客ニーズ(EUV光源ガス浄化)を明確に示している。

  • 事業化までの道筋3

    試作の段階と今後の光源開発への寄与は書かれるが、遂行スケジュールや課題解決の時間軸は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    鉛フリーの高純度石英ナノホールフィルターは従来の鉛ガラス多穴フィルターにない分野で、特許出願中と書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    半導体の高機能化・集積化や医療、分析など多産業への波及効果が書かれ、国が支援する理由はうかがえるが、雇用や地域経済への言及は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金額や投資額、付加価値増加の数値は書かれておらず、費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献3

    多段階熱延伸と隙間消滅技術という新技術で半導体サプライチェーンに貢献し得ることが書かれるが、デジタル技術やビジネスモデルの記述はない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    次世代半導体露光用EUV光源という成長分野への進出が書かれ、構造転換との関係はうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    岩手県花巻市の企業であることはわかるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

EUV光源開発の加速により半導体の高機能化・集積化に寄与し、情報、エネルギー、医療など多くの産業の活性化に資すると期待される。石英ガラスキャピラリの穴径や穴数の改良により医療用や分析機器など多くの分野への応用が期待される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。