ものづくり補助金平成25年度製造業岩手県

トレッドミル(ランニングマシン)同期型リハビリ用免荷(体重減免)装置の開発

株式会社大武・ルート工業

成果タッチパネルカバーと非常停止ボタンカバーの加工を社内で行えるようになり、短納期化とコスト削減が実現した。

この事例のポイント

  • 既存の免荷装置は患者の安全面に重点を置いた機構が多く、歩行が困難な患者の姿勢保持が不充分で、一人に数人の理学療法士等の補助を必要とするものがほとんどであった。
  • トレッドミル同期型リハビリ用免荷装置を試作・開発した。
  • タッチパネルカバーと非常停止ボタンカバーの加工を社内で行えるようになり、短納期化とコスト削減が実現した。従来は数人の手を要していた歩行困難者のリハビリを、人的負担を少なくして行えるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大武・ルート工業
所在地岩手県 一関市
業種電気機械器具製造業
技術分野機械制御,測定計測,立体造形
従業員数44人
資本金4,000万円
設立1968年

事業の背景

当社は「世の中に存在しないものをつくる」を合言葉に技術開発に力を入れている。主力製品は昭和50年から製造しているトレッドミルで、40年以上の開発・製造経験があり、大学や研究機関、医療施設などから特注品を受注するほか、大手医療機器メーカー2社にOEM供給している。平成8年から製造販売している自動ネジ供給機は国内シェア60%で第1位、世界30カ国以上に販売している。近年はリハビリ用途のトレッドミルの引き合いが増え、医療機器メーカーから安全で使いやすい免荷装置付きトレッドミルについて問い合わせを受けていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の免荷装置は患者の安全面に重点を置いた機構が多く、歩行が困難な患者の姿勢保持が不充分で、一人に数人の理学療法士等の補助を必要とするものがほとんどであった。
  • 新製品・新技術空気圧で体を浮かせる免荷装置は下半身をトレッドミルごと厚い布で覆うため装着が面倒であった。
  • 生産能力タッチパネルカバーと非常停止ボタンカバーの角の丸み加工を外注しており、短納期化とコスト削減が課題であった。

やったこと

トレッドミル同期型リハビリ用免荷装置を試作・開発した。上半身は体を支えるハーネスで吊り下げ、下半身は上下・左右・前後に移動するサドルで免荷する構成とし、サドルの高さや位置は患者に応じて調整できる。手すりは可動式で電動により前後左右に調整できる。トレッドミルは走行ベルトを左右分離させ、左右のベルトを同期・異速・前後動作させることができ、軽いすりあし程度のリハビリも可能とした。走行面の床からの高さは3.5cmの低床設計で、これは特許技術である。操作盤はタッチパネル式で、サドルや手すりの位置を記憶し、患者ごとの暗証番号入力で2回目以降は自動で再生する。複合切削加工機を導入し、タッチパネルカバーと非常停止ボタンカバーを社内で加工できるようにした。

加工機複合切削加工機

新しい製品・サービス:トレッドミル同期型リハビリ用免荷装置(上部吊り下げ式と下部サドル式を組み合わせた免荷装置付きトレッドミル)

事業の効果

  • タッチパネルカバーと非常停止ボタンカバーの加工を社内で行えるようになり、短納期化とコスト削減が実現した。

従来は数人の手を要していた歩行困難者のリハビリを、人的負担を少なくして行えるようになった。リハビリ回数が増えることで歩行能力改善に要する日数の短縮にも貢献できると考えている。タッチパネルカバーと非常停止ボタンカバーを社内で加工できるようになり、短納期化とコスト削減が実現した。車いす利用者にも乗り降りしやすい低床トレッドミルとして活用の幅が広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来のトレッドミル製造と自動ネジ供給機の実績を踏まえ、「世の中に存在しないもの」を目指す技術開発路線に免荷装置を位置づけている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内唯一の専門開発メーカーとの評価、低床3.5cmの特許、医療機器メーカー2社へのOEM供給という強みを、医療機器メーカーからの問い合わせに結び付けている。

  • 課題の認識と解決3

    既存免荷装置の課題(姿勢保持の不十分さ、装着の面倒さ、多数の人手が必要)を挙げるが、事業計画としての売上や利益の目標は書かれていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    リハビリ回数の増加や歩行能力改善日数の短縮に貢献とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    開発に宮澤部長・浦川工場長・佐藤課長・橘さんら部門担当者が挙げられているが、人材や事務処理体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医療機器メーカーからの問い合わせや、車いす利用者も使える低床設計など、ターゲットとニーズの裏付けが記載されている。

  • 事業化までの道筋4

    試作機を医療機器メーカーやリハビリ専門家に公開して改良し、市場実機テストを経て投入し、後付けオプションとして販売する段取りが示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の免荷装置と異なる上部吊り下げと下部サドルの組み合わせで、従来にない新機構を持つ点が示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    リハビリ現場の省力化や患者の負担軽減に触れているが、地域経済や雇用などの波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果2

    複合切削加工機の導入で外注加工を社内化し短納期化とコスト削減が実現したとあるが、補助金額に対する費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    複合切削加工機による社内加工やタッチパネル操作はあるが、サプライチェーンのイノベーションへの貢献は示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    リハビリ分野でのロボット化の進行に触れているが、日本経済の構造転換に資するという記述は少ない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県一関市に立地する企業だが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

開発した試作機を医療機器メーカーやリハビリ専門家に公開して意見を反映し、市場実機テストと評価を経て市場に投入する予定である。既存のトレッドミル納入先には免荷装置を後付けオプションとして販売する計画である。自社ブランド製品として、自動ネジ供給機に続き世界へ販路を広げたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。