ものづくり補助金平成26年度製造業愛媛県

捺染加工における後処理技術の確立

株式会社伊予捺染

成果後工程の不良率を装置導入前の10分の1以下に達成

この事例のポイント

  • 顧客から高品質化と短納期化を求められているが、外注先の後工程(蒸し・洗い・乾燥)では色ムラなどの品質不良や納期遅れが常態化していた。
  • 外注していた後工程(蒸し・洗い・乾燥)を内製化するため、新加工場に蒸気ボイラ、全自動洗濯脱水機、蒸気式タンブラー乾燥機、タオル用スチーミング機等を導入した。
  • 後工程の不良率を装置導入前の10分の1以下に達成。後工程を内製化したことで、捺染の前工程から後工程までの一貫加工事業が確立された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社伊予捺染
所在地愛媛県 今治市
業種繊維工業
技術分野製造環境
従業員数43人
資本金1,000万円
設立1963年

事業の背景

当社はタオル、和手ぬぐい、コットンマフラーなどの捺染(プリント)を手掛けている。近年、顧客から高品質化と短納期化を要求されており、社内作業の改善には取り組んできた。しかし後工程は外注に頼っていたため、改善が難しい状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度顧客から高品質化と短納期化を求められているが、外注先の後工程(蒸し・洗い・乾燥)では色ムラなどの品質不良や納期遅れが常態化していた。
  • 人手・技能外注先の染工場では職人の高齢化と人手不足により、後工程の改善が難しい状況だった。
  • 人手・技能後工程は職人が勘と経験で行っており、作業条件が数値化されていなかった。

やったこと

外注していた後工程(蒸し・洗い・乾燥)を内製化するため、新加工場に蒸気ボイラ、全自動洗濯脱水機、蒸気式タンブラー乾燥機、タオル用スチーミング機等を導入した。設備導入と並行して、後工程における管理項目と管理方法を検討した。導入した設備でデータを蓄積し、最適条件を決定した。

その他蒸気ボイラ
その他全自動洗濯脱水機
加工機蒸気式タンブラー乾燥機
加工機タオル用スチーミング機

事業の効果

  • 後工程の不良率を装置導入前の10分の1以下に達成
  • 後工程の生産期間を半減

後工程を内製化したことで、捺染の前工程から後工程までの一貫加工事業が確立された。後工程の不良率は装置導入前の10分の1以下となり、生産期間は半減した。不良率低減によりコスト削減も可能になった。機械に多くのセンサーを取り付けたことで各種データを正確に把握でき、最適化とデータ蓄積を早期に終えることができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    顧客からの高品質化・短納期要求に対し、これまで社内作業改善に取り組んできたとの経緯が書かれており、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    地域に後工程を一貫加工する事業者がなく、既存取引先数社へのヒアリングで大幅改善が期待できるとの結果が示され、優位性が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    外注後工程の色ムラ・納期遅れという課題を認識し、内製化で後工程の不良率を10分の1以下、生産期間を半減したと具体的に示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    不良率の10分の1以下、生産期間半減という成果は示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員43名の規模は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高品質化・短納期化を顧客ニーズとして整理し、ヒアリングでタオル製造企業からの発注増加が見込まれると具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    データ蓄積により最適条件を決定し、その後追加設備を購入したという流れは書かれているが、中長期の検証や詳細スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    タオルの後工程を前工程と一貫加工する事業は地域に存在しないと明記され、同分野で高水準の差別化が図られている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    今治・西条・松山などタオル製造企業の集積地域での一貫加工の意義が書かれ、地域産業への貢献がうかがえるが、経済波及の数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    不良率を10分の1以下、生産期間半減という効果が示される一方、補助金投入額に対する付加価値増加額は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    機械に多数のセンサーを取り付けてデータを正確に把握し、科学的管理で最適条件を導いた点が具体的に書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    成長分野への進出や日本経済の構造転換についての記述はわずかにうかがえる程度で、明示はされていない。

  • 地域経済への波及4

    今治市など地域のタオル産業集積を活かし、一貫加工で発注増加と売上拡大を目指すと具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

タオル製造企業が集積する今治市・西条市・松山市等では、捺染の前工程と後工程を一貫加工する事業者は存在しない。既存取引先へのヒアリングでは、一貫加工により品質と納期の大幅な改善が期待でき、タオル製造企業からの発注増加が見込まれる。今後は売上高の拡大を目標に事業化に取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。