ものづくり補助金平成25年度製造業愛媛県

特殊繊維加工技術の事業化による新分野開拓

越智源株式会社

成果麻繊維の1回あたり加工能力 2キログラム→600キログラム

この事例のポイント

  • タオル用綿糸の染色加工について、大型釜での量産に対応できておらず、大型釜で加工する場合の最適な加工条件の確立が必要であった。
  • 小型釜での試作開発により、麻繊維に弾力を持たせ柔らかくする加工法を確立し、小型釜での生産を可能にした。
  • 麻繊維の1回あたり加工能力 2キログラム→600キログラム。麻繊維の加工能力が大幅に向上し、小型釜の2〜5キログラムから1回600キログラムまで加工できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名越智源株式会社
所在地愛媛県 今治市
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数70人
資本金1,500万円
設立1963年

事業の背景

大正14年創業の同社は、タオル及びタオル用綿糸の染色加工を主力業務としている。今治地域のタオル生産量は平成3年の50,456トンをピークに減少し、平成21年には9,381トンとなった。その後「今治タオル」のブランド化により、平成25年には11,146トンに回復している。綿以外の素材を使うタオルの商品化も増え、タオルメーカー以外からも綿以外の素材の加工依頼が増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力タオル用綿糸の染色加工について、大型釜での量産に対応できておらず、大型釜で加工する場合の最適な加工条件の確立が必要であった。
  • 生産能力タオルメーカーから綿糸の染色加工受注が高水準で推移する中、染色加工能力の拡大が求められていた。
  • 新製品・新技術麻(リネン)への量産加工依頼に十分応じられず、加工能力の拡大が喫緊の課題となっていた。
  • 品質・精度麻は弾力性に乏しく織機や編み機にかけづらいため、繊維に弾力を持たせて柔らかくする加工方法の確立が必要であった。

やったこと

小型釜での試作開発により、麻繊維に弾力を持たせ柔らかくする加工法を確立し、小型釜での生産を可能にした。その後、大型の高温高圧チーズ染色機(大容量釜)を導入し、大ロットの顧客ニーズに対応した。大型釜への移行では、加工する麻の量の比率から加工水量を割り出し、小型釜と同じ温度上昇時間となるよう蒸気量を決定した。助剤の使用量も小型釜の使用量を基に算出し、投入タイミングも小型釜と同一とした。温度・水量・時間・圧力・助剤使用量を変えながら試験を重ね、小型釜と同品質の製品を生産できる加工条件を確立した。

加工機高温高圧チーズ染色機
加工機チーズ乾燥機
加工機ワインダー
加工機テンター
加工機スリッター
加工機オーバーマイヤー
加工機液流染色機
加工機シャーリング機

新しい製品・サービス:綿以外の異素材(麻・リネン、シルクなど)への特殊加工技術を事業化し、衣服や寝装具用繊維加工などの新分野に進出する。

事業の効果

  • 麻繊維の1回あたり加工能力 2キログラム→600キログラム
  • 綿以外の麻特殊加工の加工量 1倍→10倍

麻繊維の加工能力が大幅に向上し、小型釜の2〜5キログラムから1回600キログラムまで加工できるようになった。麻は弾力性に富み柔らかくなり、綿と同じように水洗いが可能となった。綿以外の麻特殊加工の加工量は10倍余に増え、収益にも貢献する規模に成長している。今後は高温高圧チーズ染色機の導入により、タオル以外の繊維製品への進出と業績向上、賃上げや新規雇用の増加も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    綿糸・タオルの染色加工を主力とし、特殊加工技術を事業化して衣服・寝装具分野へ進出する方向性が示されている。過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    今治タオルブランドの浸透や夏用寝装品への引き合い増加、綿糸染色の受注が高水準という外部環境と、加工技術の強みが書かれている。ただし強み・弱みを整理した記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    小型釜で1回2〜5kgだった加工能力を600kgまで拡大する課題認識と、大型釜での加工条件確立という解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    収益性の強化や賃上げへの期待は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標数値は示されていない。加工量が10倍余となったとの実績はある。

  • 事業を進める体制3

    従業員70名、設立年や主要設備が示されており、総務部部長が担当者として記載されている。体制の具体性は限定的である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    麻の弾力性不足や水洗い弱点を解決した加工技術の価値、タオル以外の寝装品・アパレル向け需要など、顧客ニーズと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    大型釜の導入、水量・温度・蒸気量の決定、テストを経た加工法確立など遂行手順は書かれているが、中長期スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    麻の特殊加工で弾力性を持たせ、綿と同様に水洗いできる高付加価値化を実現しており、加工量も10倍余に増えたと具体的に示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    今治地域のタオル生産量の減少と回復、産地サプライチェーン全体のブランド化への言及があるが、国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    加工能力が2〜5kgから600kgへ拡大し、加工量が10倍余となった生産効率化の成果が示されている。投入額との費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新素材の特殊加工技術の確立や地域産業との連携はうかがえるが、先端的デジタル技術やビジネスモデルの記述はない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    タオル生産の減少を受けて衣服・寝装具などの新分野へ進出する方向性がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    今治地域の産地・サプライチェーンを背景に、タオル産地で高付加価値の染色加工を行う地域的な取組として読み取れる。雇用創出の数値は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

高水準の受注が続くタオル及びタオル製品の染色加工に対応しつつ、タオル以外の繊維製品へ進出して業績向上を目指す。寝装具メーカーやアパレルメーカーへの販路開拓を行い、シルクなどの新素材の加工技術を確立して消費者ニーズに即応した商品開発を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。