ものづくり補助金平成25年度製造業岩手県

水平型鋳型造型機の導入による南部鉄器の歩留まり改善による収量効率化

株式会社岩鋳

成果約3%の歩留まりの向上が図られた

この事例のポイント

  • 海外からの南部鉄器の需要増加に対し、既存設備では増産要請に応えられなかった。
  • 歩留まりに優れた水平型鋳型造型機と、それに付随する鋳型製造ラインを新たに導入した。
  • 約3%の歩留まりの向上が図られた。水平型鋳型造型機の導入により、生産量と歩留まりの向上が確認された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社岩鋳
所在地岩手県 盛岡市
業種鉄鋼業
技術分野材料製造プロセス
従業員数99人
資本金9,320万円
設立1904年

事業の背景

当社は岩手の伝統工芸品である南部鉄器の製造・販売を行い、鉄瓶や急須、調理器具、小物まで幅広く生産している。近年、鉄瓶ブームにより国内外から注目を集め、欧米では急須、アジアでは中華鍋などが人気である。製品毎に5〜15%の増産要請を受けていたが、保有設備では対応できない状況であった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力海外からの南部鉄器の需要増加に対し、既存設備では増産要請に応えられなかった。
  • 品質・精度垂直型鋳型は湯道が長く、原料投入量に対する製品収量割合が低く歩留まりが悪かった。
  • 人手・技能水平型鋳型は人手で作るため、量産型の自動機である垂直型鋳型造型機に製作量で劣っていた。

やったこと

歩留まりに優れた水平型鋳型造型機と、それに付随する鋳型製造ラインを新たに導入した。鋳型製造から溶湯の注ぎ込み、冷却までを同ラインで行えるよう自社で整備した。導入後、輸出向けの需要が多い急須など量産物を優先して生産した。水平型鋳型造型機は1時間で50型を製造でき、従来の手込めによる1日70〜80型に比べ製作量が大きく向上した。製品表面は目の細かい美しい仕上がりになることも確認された。

加工機水平型鋳型造型機
加工機鋳型製造ライン

事業の効果

  • 約3%の歩留まりの向上が図られた
  • 鋳型製作数量 70型/時間→50型/時間
  • 製品の月あたり生産数で1,500個の増産が可能となる見込み
  • 年間売り上げ額で2,000〜3,000万円の増収が見込まれる

水平型鋳型造型機の導入により、生産量と歩留まりの向上が確認された。溶湯の損失が減り、コークスなどの副資材使用量も抑えられたため、エネルギー消費や環境負荷の低減にも効果が見られた。製品表面の仕上がりが向上し、経験の浅い人員でも造形作業が可能となり、工場内人員の効率的な配置も期待される。今後は増産要請や納期短縮の課題解決につながると見込まれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    海外需要増への対応として生産力向上を目指す経緯は読めるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    欧米で急須、アジアで中華鍋が人気で製品毎に5〜15%の増産要請があると具体的に示され、外部環境と設備の不足が対比されている。

  • 課題の認識と解決4

    垂直型は歩留まりが悪いという課題を示し、水平型で約3%の歩留まり向上と月1,500個増産を見込む具体的な計画が読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1日70〜80型の手込めに対し1時間50型の製造能力、年間2,000〜3,000万円の増収見込みと数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制2

    経験の浅い人員でも造形機の操作が可能と書かれるのみで、事務処理能力や補助事業の遂行体制は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    増産要請や海外需要という市場ニーズは示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は限定的である。

  • 事業化までの道筋3

    水平型造型機で対象製品を段階的に増やし全製品の15〜20%に拡大する計画と、導入後の調整作業が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    南部鉄器は国内外で注目される伝統工芸で、水平型鋳型による美しい仕上がりも確認されたとあるが、普及度の定量比較は乏しい。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    輸出品の供給不足解消や工場全体の作業効率向上への言及はあるが、経済波及や雇用創出の規模は書かれていない。

  • 費用対効果4

    投資額に対し年間2,000〜3,000万円の増収見込み、銑鉄の約3%歩留まり向上、コークス使用量削減が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    鋳型製造ラインの自社整備や造形機の操作性向上は触れられるが、デジタル技術や新ビジネスモデルの記述はない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    伝統的な南部鉄器を岩手の地域で製造し輸出需要に応える点は読み取れるが、地域経済成長への寄与は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

水平型鋳型造型機で製造する製品アイテムを増やし、全製品の約15〜20%を水平型で製造することを見込んでいる。増産要請と納期短縮の課題を解決し、欧米やアジア諸国へ輸出する南部鉄器の供給不足解消につなげたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。