ものづくり補助金平成25年度製造業山口県

鋳鉄〔自社製品鋳田籠〕を応用したゲリラ豪雨対策 雨水貯留槽システムの開発

アボンコーポレーション株式会社

この事例のポイント

  • 従来のプラスチック製地下貯留槽は強度が弱く、空隙のスペースが小さくなる欠点がある。
  • 公益社団法人雨水貯留浸透技術協会から依頼を受け、自社製品「鋳田籠」の技術を活用した鋳鉄製の地下貯留槽を開発した。
  • 設備導入により、以前は外部委託していた鋳田籠製品パネルを自社工場で生産できるようになり、約1週間のリードタイム短縮と生産コストの削減につながった。

事業者のプロフィール

事業者名アボンコーポレーション株式会社
所在地山口県 防府市
業種鉄鋼業
技術分野接合・実装,立体造形
従業員数5人
資本金580万円
設立2007年

事業の背景

当社は文政4年(1821年)に防府市で創業した鋳造品メーカーで、平成19年に現社長が設立した。廃棄パソコンや廃鉄をリサイクルし、ほぼ100%のリサイクル率で自社の鋳鉄製品を製造している。近年は局地的豪雨による浸水害が多発し、都市部はアスファルトやコンクリートが多く雨水の吸収率が低いため、地下貯留槽の設置が求められている。小規模(200㎥程度)な貯留槽を多く設置する方法が取られている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来のプラスチック製地下貯留槽は強度が弱く、空隙のスペースが小さくなる欠点がある。
  • コスト・採算1年間に2回必要な土砂の撤去作業が困難で、多額のメンテナンス費用がかかっている。
  • その他プラスチックは人工生成物で、長期間地中に埋設すると環境負荷が高く、その低減が求められている。

やったこと

公益社団法人雨水貯留浸透技術協会から依頼を受け、自社製品「鋳田籠」の技術を活用した鋳鉄製の地下貯留槽を開発した。既存のプラスチック製地下貯留槽を分析し、自社製品の開発設計を行った。自社生産に対応するため、エアーコンプレッサー、F-1造型機、自硬性砂混錬ミキサー、サンドブラスト、専用取り鍋、造型機用金型を導入した。試作品を作製し、宇部工業高等専門学校で強度試験及び耐久性・耐食性等の実証試験を実施した。そのデータをもとに改良を加え、製品化に成功した。

その他エアーコンプレッサー
加工機F-1造型機
加工機自硬性砂混錬ミキサー
その他サンドブラスト
その他専用取り鍋
金型造型機用金型

新しい製品・サービス:鋳田籠技術を応用した鋳鉄製の雨水貯留槽(地下貯留槽)

事業の効果

設備導入により、以前は外部委託していた鋳田籠製品パネルを自社工場で生産できるようになり、約1週間のリードタイム短縮と生産コストの削減につながった。実証試験によって製品の安全性や耐久性に関する信頼性のあるデータを得られた。特許技術を活用したことで競合他社との差別化要因を構築できた。やまぐち発新製品に認定され、公共事業での活用も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の鋳鉄リサイクル理念を引き継ぎ、鋳田籠技術を地下貯留槽へ応用する点で一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特許構造体を活用して競合他社との差別化要因を構築したと記載され、自社の強みを活かした内容に読める。

  • 課題の認識と解決4

    プラスチック製は年2回の土砂撤去と維持費が課題とされ、鋳鉄製の地下貯留槽でその解決を図る構成になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標値の記載はなく、販売価格2倍・全体コスト1.5倍に抑えるとあるのみで、数値目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    従業員5人の企業で、宇部工業高等専門学校や公的機関と連携して試験を実施した記載があるが、体制の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    強度・耐食性・メンテナンスフリー・環境負荷低減など製品の強みが整理され、やまぐち発新製品にも認定されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後も構造を改良しコスト削減に取り組む予定とあるが、遂行スケジュールや期限は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    プラスチック製の2倍程度の価格で、同分野の中で高付加価値化を図る内容とうかがえる。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    国土交通省が年間1,000㎥の雨水貯留槽設置を計画しており、ゲリラ豪雨対策という公的な必要性がある。

  • 費用対効果3

    リードタイム1週間短縮や全体コスト1.5倍という数値はあるが、費用対効果の算出までは書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    鋳造排熱を使うバイオマス循環型キュポラや持続可能な社会システムの構築を掲げ、イノベーションにつながる方向性がある。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    雨水対策の市場への進出という記述はあるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及3

    山口県のやまぐち発新製品に認定され、地域の循環型社会構築に取り組む点で地域性がうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国土交通省が年間1,000㎥分の雨水貯留槽の設置を計画しており、当社は環境負荷の少ない鋳鉄製の雨水貯留槽を設置して雨水対策と持続可能な社会システム全体の構築を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。