ものづくり補助金平成25年度製造業宮城県

キノコ菌床栽培における除染剤の開発

株式会社キノックス

成果培地への添加濃度2.0%(ゼオライト1.9%+K2SO4 0.1%)の試験区で、キノコへの放射性核種の移行係数を0.03以下に抑制できることを確認した。

この事例のポイント

  • 原発事故の影響で放射性物質を吸収しやすいキノコの売上が減少している。
  • ナメコ用に開発した除染剤を、一般に市販されている8種類のキノコに使えるか、また50ベクレル/Kg以下の低濃度汚染原材料でも効果があるかを現地試験で確認した。
  • 培地への添加濃度2.0%(ゼオライト1.9%+K2SO4 0.1%)の試験区で、キノコへの放射性核種の移行係数を0.03以下に抑制できることを確認した。キノコの種類に関係なく、添加濃度2.0%の試験区で放射性核種の移行係数を0.03以下に抑えられることを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社キノックス
所在地宮城県 仙台市
業種食料品製造業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数31人
資本金1,500万円
設立1958年

事業の背景

原発事故の影響で、放射性物質を吸収しやすいキノコの売上が減少している。この現状を打開するため、先に開発していたナメコ用の除染剤を他のキノコにも流用できるかを調べる必要があった。安全性の高いゼオライトと硫酸カリウムを混合した、収量に悪影響が出ないナメコ用除染剤は既に開発済みだった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力原発事故の影響で放射性物質を吸収しやすいキノコの売上が減少している。
  • 品質・精度東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、放射能が検出されない安全なキノコ生産のための原材料確保が困難となっている。

やったこと

ナメコ用に開発した除染剤を、一般に市販されている8種類のキノコに使えるか、また50ベクレル/Kg以下の低濃度汚染原材料でも効果があるかを現地試験で確認した。除染剤の試作品を300袋(20kg)製造し、エノキタケ、ブナシメジ、シイタケ、マイタケ、エリンギ、ヒラタケ、アラゲキクラゲ、ハタケシメジの8種類を、14カ所の栽培者の実際の生産現場で使用している原材料により栽培した。放射性核種の測定には高純度ゲルマニウム半導体検出器を使い、1〜4日間かけて低濃度のセシウムも測定できるよう配慮した。キノコの培養と生育の温湿度コントロールのため恒温恒湿装置の改修も行った。

検査測定高純度ゲルマニウム半導体検出器
検査測定NaI-シンチレーション検出器
その他恒温恒湿装置

新しい製品・サービス:ナメコ用に開発した除染剤を他のキノコにも使える除染剤

事業の効果

  • 培地への添加濃度2.0%(ゼオライト1.9%+K2SO4 0.1%)の試験区で、キノコへの放射性核種の移行係数を0.03以下に抑制できることを確認した。

キノコの種類に関係なく、添加濃度2.0%の試験区で放射性核種の移行係数を0.03以下に抑えられることを確認した。シイタケは品種によって影響に差があるものの、除染剤の使用で収量や品質が低下する傾向があった。他の一般的な食用キノコでは移行係数の低下が幅広く認められ、「ゼロ」に近い数値が期待できる除染効果が得られた。今後は商品化に向けて取り組み、東北地方を中心に広く推進・販売していく。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    ナメコ用に先に開発した除染剤を他のキノコへ流用する流れが書かれ、過去の開発の延長にあるが、経営戦略上の位置付けは記載が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    原発事故で放射性物質を吸収しやすいキノコの売上が減ったという外部環境は書かれているが、自社の強みとの関係は明示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    売上減少という課題に対し除染剤の流用で打開する方針が書かれるが、高付加価値化や成長につながる計画の具体は薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値や賃上げの目標値は書かれておらず、移行係数0.03以下という技術的な数値のみが確認されている。

  • 事業を進める体制3

    14カ所の栽培者を対象に8種類で試験し、NaI-シンチレーション導入や恒温恒湿装置改修を行った体制が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    消費者の「ゼロ」を期待する心理に対応する価値と、東北地方を中心に販売する方針が書かれるが、顧客ターゲットの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    商品化に着手する方針と販売地域は書かれるが、スケジュールや課題解決方法の具体は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    キノコの除染剤という分野は一般に普及しておらず、シイタケ以外で幅広い除染効果を得た点は新規性がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    原発事故の被災地である東北地方の安全なキノコ生産の課題解決を目的とし、社会的な必要性が具体的に書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額の記載がなく、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    放射能測定や栽培環境の温湿度制御は記載があるが、デジタル技術やサプライチェーンのイノベーションの記述は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    東北地方の被災地を中心に販売する地域性は書かれるが、雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

シイタケを除く一般的な市販キノコ類に幅広い除染効果が確認されたことを受け、商品化に着手する。低濃度汚染原材料でも移行係数を「ゼロ」に近づける除染剤を商品化し、東北地方を中心に広く推進・販売していく。

事業者の声

今後も消費者の皆様に安全安心な菌床キノコを食べていただくためにも、除染剤の普及に力を注いでいきたいと考えています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。