ものづくり補助金平成25年度製造業宮城県

携帯型の簡易真空補聴器乾燥機の開発

アクト・サイエンス株式会社

この事例のポイント

  • 従来の真空式乾燥機はシリンジなどを用いて構成部品が多く、使い方が煩雑で、部品の紛失や故障が起きやすく、見えにくい小さな部品を扱う必要があった。
  • 昭和大学富士吉田教育部の稲垣昌博教授から指導を受け、乾燥機の構造、サイズ、開閉性、耐久性、気密性を研究し、高齢者でも使いやすくアレンジした試作機70台を製作した。
  • 試作機は電気を必要とせず手のひらサイズで携帯でき、高齢者でも簡単に操作できる。

事業者のプロフィール

事業者名アクト・サイエンス株式会社
所在地宮城県 仙台市若林区
業種業務用機械器具製造業
従業員数2人
資本金1,000万円
設立2002年

事業の背景

補聴器は1台20~40万円と高価だが耐用年数は一般に約5年とされる。補聴器の故障原因の45%は湿気によるもので、湿気は機器のさびやチューニングのずれを招く。補聴器は2カ月に1回の販売店でのメンテナンスが推奨されているが、高齢者にとって販売店への来店は容易ではない。当社は医療分野の基礎研究を支える分析機器の商社であり、以前から自社製品を作りたいという思いがあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術従来の真空式乾燥機はシリンジなどを用いて構成部品が多く、使い方が煩雑で、部品の紛失や故障が起きやすく、見えにくい小さな部品を扱う必要があった。
  • コスト・採算販売価格を抑えるためには部品数を減らす必要があった。
  • その他高齢者は補聴器販売店へ足を運ぶことが容易でなく、補聴器販売店や眼鏡販売店も減少しているため、家庭で除湿メンテナンスを行える手段が求められていた。

やったこと

昭和大学富士吉田教育部の稲垣昌博教授から指導を受け、乾燥機の構造、サイズ、開閉性、耐久性、気密性を研究し、高齢者でも使いやすくアレンジした試作機70台を製作した。試作機の本体は手のひらに乗るサイズで、中ケースはゴム製、上下開閉式とし、パッキンで機密性を保ち、ふたの上部にポンピングで空気を抜くユニットを取り付けた。外側カバーはABS樹脂製で、大きさは縦9.5cm×横6cm、高さ3.5cmである。ポンピングユニットのストロークは2.5cmだが、ストロークを除いた高さは計画より低くすることに成功した。ポンピング部分は外側カバーに収納した状態でロックがかかるようにし、ポンピング後はボタンを押すと空気が戻り、磁石の反発力で上ふたが少し跳ね上がる仕組みとした。

新しい製品・サービス:携帯型の簡易真空補聴器乾燥機

事業の効果

試作機は電気を必要とせず手のひらサイズで携帯でき、高齢者でも簡単に操作できる。旅行や災害時にも使え、就寝時や保管時に補聴器の湿気を効率よく除去できるため、補聴器の寿命を延ばし好チューニング条件を維持できる。これにより聴覚障害者のQOLと社会適合性が向上し、高齢化社会への貢献につながる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    医療機器販売代理店として補聴器関連の取組を進めてきたことはうかがえるが、過去の事業活動との一貫性を示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    補聴器1台20~40万円、故障原因の45%が湿気、補聴器所有者468万人など市場数値はあるが、自社の強み・弱みとの関係が書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    補聴器の湿気による故障や販売店減少という課題は示されているが、事業計画としての高付加価値化・成長の道筋は具体的でない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    小売価格9,000~1万円、年間12万台、年間約7億円、5年で業界シェア10%という数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員数2人で、昭和大学との共同研究や試作機70台の製作に触れているが、補助事業を遂行する体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高齢者でも簡便に扱える、電気不要、携帯性といった価値と、補聴器所有者339万人の常時使用者想定が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    実証検証に2年ほどかかる見込みや今後の試作・改良が示されるが、課題解決方法の詳細や中長期スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    補聴器乾燥機は普及が限定的な分野で、手のひらサイズ・電気不要という差別化と高級感のある外装が示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    高齢化社会への貢献や聴覚障害者のQOL向上に触れるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は具体的でない。

  • 費用対効果2

    補助金額や投入額に対する付加価値額の増加、費用対効果を示す数値は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    高齢化の進展による補聴器使用人口増加に触れているが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は昭和大学医学部耳鼻咽喉科学講座の小林教授との共同研究で実証検証を進め、想定通りの結果が得られるかの判断に2年ほどかかる見込みである。製品化に向けて試作・改良を続ける。国内の難聴者は1944万人、補聴器所有者は468万人と推計され、製品化では小売価格9,000~1万円、年間約7億円(年間12万台)の売り上げ、5年間で業界シェア10%の達成を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。