ものづくり補助金平成25年度製造業宮城県

鋳造アルミ合金用結晶粒微細化剤の事業化に向けた試作開発

株式会社真壁技研

成果微細化剤5kg/日相当以上の生産が可能となった

この事例のポイント

  • 純アルミ用微細化剤は従来Al5CuTi2で主に作られていたが、アーク溶解法よりガスアトマイズ法の方が性能が高く、性能の向上が必要だった。
  • ガスアトマイズ法とアーク溶解法の2方法で微細化剤を製造し性能を比較した。
  • 微細化剤5kg/日相当以上の生産が可能となった。鋳造アルミ合金用微細化剤を開発し、初晶アルミ相と共晶組織の両方に微細化効果を持つ製品を作れるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社真壁技研
所在地宮城県 仙台市
業種生産用機械器具製造業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数17人
資本金1,000万円
設立1954年

事業の背景

当社は各種素材開発研究用装置やプロトタイプ装置の設計製作などを主な事業としてきた。東日本大震災の直後、被災地の中小企業支援を目的に他地域から仕事を受注する動きがあり、名古屋工業大学から装置製作の依頼を受けた。これをきっかけに同大学の渡辺義見教授と知り合い、純アルミ鋳造用微細化剤の開発に至った。国内で使われるアルミ鋳造用微細化剤は海外製が中心だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度純アルミ用微細化剤は従来Al5CuTi2で主に作られていたが、アーク溶解法よりガスアトマイズ法の方が性能が高く、性能の向上が必要だった。
  • 新製品・新技術純アルミ鋳造用微細化剤の性能を上げるだけでなく、自動車部品などに多用される鋳造アルミ合金用の微細化剤を開発する必要があった。
  • 生産能力微細化剤の生産能力を日産5kgに高めるため、新たな装置の導入が必要だった。

やったこと

ガスアトマイズ法とアーク溶解法の2方法で微細化剤を製造し性能を比較した。ガスアトマイズ法で製造したものの方が優れた微細化効果を得られ、目標を達成した。鋳造アルミ合金に適した微細化剤として、異質核粒子の不整合度3%以下を目標に材料設計・試作を行った。Al3Tiに改良材のNaを添加して焼結・複合化した微細化剤を作製し、初晶アルミ相と共晶組織の両方に微細化効果を持たせることに成功した。ガスアトマイズ装置の溶解チャンバーを大きくし、微細化剤5kg/日相当以上の生産を可能にした。さらに新たな装置を導入して日産5kgの生産能力を目指した。

加工機ガスアトマイズ装置(溶解チャンバー拡大)
その他微細化剤製造用の新たな装置

新しい製品・サービス:鋳造アルミ合金用結晶粒微細化剤

事業の効果

  • 微細化剤5kg/日相当以上の生産が可能となった
  • 強度を2倍に向上させるといった性能を発揮させることも可能
  • 異質核粒子の不整合度3%以下を目標値とした

鋳造アルミ合金用微細化剤を開発し、初晶アルミ相と共晶組織の両方に微細化効果を持つ製品を作れるようになった。AC4Aではビッカース硬さ、引張強度、伸びが向上し機械的性質が改善された。生産能力は日産5kg以上に増え、中国に合弁会社を設立して2017年末までに月産200kgを目指す。国内では量産例のない高性能微細化剤の量産化が進められている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成25年に名古屋工業大学と純アルミ微細化剤の一貫製造に成功したことが書かれ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    装置販売が主事業だったが材料分野に力を入れるとあり、中国合弁会社設立や日本市場への販売想定に触れている。強み・弱みの分析までは書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    量産体制確立と性能均質化が課題として挙がり、月産200kgの目標も示されている。ただし課題認識の詳細な分析は書かれていない。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    日産5kgの生産能力目標や2017年末までに月産200kgの製造を目標に掲げるとあり、数値目標が具体的に示されている。付加価値額や賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    名古屋工業大学との共同研究体制や産学連携の実績が書かれているが、人材や事務処理能力の具体的な体制は記載が薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    AC4Aのビッカース硬さ・引張強度・伸びの向上や、強度を2倍に向上させる性能など数値で顧客価値が示されている。販売先は中国や国内の鋳造メーカーと想定されている。

  • 事業化までの道筋3

    目標値3%以下や日産5kgの生産能力を掲げ、事業終了後の高品質化・量産化への進展も書かれている。ただしスケジュールの詳細は限定的である。

  • 財務と資金の調達2

    中国に合弁会社を設立したとあるが、財務状況や資金調達の見込みについての記述はない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内で使われるアルミ鋳造用微細化剤は海外製で、量産化に成功すれば国内初の事例になると書かれている。新市場性の根拠として具体的である。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    自動車部品や金型材料に多用される鋳造アルミ合金の材料開発とあり、国内の海外依存解消につながる点は読み取れるが、波及効果や雇用創出の数値はない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値額の増加や費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    産学連携によるものづくりを得意とし、材料設計の高度化を進めるとあるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は限定的である。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    装置販売から材料分野へ事業を広げるとあり、構造転換にわずかにつながるが、成長分野としての位置付けは明示されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業で自動車の部品や金型材料等に多用される鋳造アルミ合金用微細化剤の開発に成功した。事業終了後は高品質化と量産化を目指し、中国に合弁会社を設立した。販売は中国をはじめ日本国内の鋳造メーカーを想定している。今後は装置販売に加え材料等の新たな分野にも力を入れていく。

  • 目標:2017年末までには、月産200kgの製造を目標に掲げている

事業者の声

名古屋工業大学の渡辺教授が設計した微細化剤は、さまざまな合金種に対してオンデマンドに材料設計をすることができ、強度を2倍に向上させるといった性能を発揮させることもできます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。