ものづくり補助金平成25年度卸売業、小売業宮城県

被災農地復興に寄与する国産飼料米を利用した6次産業化ビジネス

株式会社福田商会

この事例のポイント

  • 東日本大震災で浸水した被災農地は塩害により大豆などがうまく育たず、農地を活用した生産が難しい状況だった。
  • 補助金を活用し、飼料用米を高温蒸気で加熱して糊化させる小型貫流ボイラーと周辺設備を導入した。
  • 新設したボイラーは既存ボイラーに比べてエネルギー効率を10%以上向上させることができた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社福田商会
所在地宮城県 仙台市
業種各種商品卸売業
従業員数48人
資本金2,000万円
設立1886年

事業の背景

株式会社福田商会は明治19年に創業し、米と有機質肥料の卸・小売を事業の柱としてきた。その後、建設資材や不動産、ホテル経営などへ事業を広げている。震災では宮城県沿岸部の農地約1万4,300haが浸水し、被災農地の復興が地域の課題となった。同社は畜産生産者や配合飼料メーカーを取引先として事業を展開しようとしていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力東日本大震災で浸水した被災農地は塩害により大豆などがうまく育たず、農地を活用した生産が難しい状況だった。
  • コスト・採算供給先の畜産生産者は価格が乱高下する外国産飼料に依存しており、経営が不安定だった。
  • その他国産の飼料用米を加工するには、圧ぺんの前処理に必要な加熱設備への投資が必要だった。

やったこと

補助金を活用し、飼料用米を高温蒸気で加熱して糊化させる小型貫流ボイラーと周辺設備を導入した。このボイラーで飼料用米を加熱した後に圧ぺんする。平成29年には飼料用米の生産者と契約し、約500haの農地で収穫される約3,000tの飼料用米を仕入れる計画とした。加工は加熱圧ぺんに加えて、粉末状にするもみ付ばん砕も行い、肉牛、乳牛、豚、鶏への給餌を進める。宮城県畜産試験場と共同研究を行った。

その他小型貫流ボイラー
その他ボイラーの周辺設備

新しい製品・サービス:国産飼料用米を加熱圧ぺん、またはもみ付ばん砕した飼料

事業の効果

新設したボイラーは既存ボイラーに比べてエネルギー効率を10%以上向上させることができた。熱量も十分で、製品の品質も一定に確保できている。宮城県畜産試験場の調査では、飼料用米を与えた肉牛の肉質は変わらず、旨味成分であるオレイン酸の数値が上昇し、A5ランクの格付けが可能という結果が出た。被災農地の活用と生産者の収入増加、畜産生産者への価格安定、食料自給率の向上、輸送時の温室効果ガス削減にもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の卸・小売や飼料事業の延長として飼料用米加工を位置付けているが、経営戦略上の明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    外国産飼料は価格が乱高下し国産飼料米は価格安定のメリットがあると述べられているが、自社の強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    被災農地の塩害と飼料用米の生産、輸入飼料からの代替という課題認識と、加熱圧ぺん設備による解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    約3,000tの飼料用米を仕入れ加工する計画や、エネルギー効率10%以上向上という数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    土壌改良や肥料設計、流通まで協働できる体制が整ったとあるが、補助事業の遂行を担う人材や事務処理体制の記述はうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    肉質のオレイン酸数値上昇や肉牛・乳牛・豚・鶏への給餌、価格安定という顧客側のニーズと選ばれる理由が数値とともに示されている。

  • 事業化までの道筋2

    事業開始の経緯は書かれているが、中長期の課題検証や遂行スケジュールについての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    飼料用米の加熱圧ぺんによる肉牛飼料は一般的ではない分野だが、普及度や高付加価値化の水準を示す記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    食料自給率の向上、輸送段階の温室効果ガス削減、被災農地活用など地域と国全体への波及効果が具体的に書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値増加額の数値は示されず、費用対効果はわずかにうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献2

    飼料用米の加熱圧ぺんという設備を活用した地域連携はあるが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    農商工畜連携による食料自給率向上への言及はあるが、市場成長分野への進出や構造転換への具体的な記述は薄い。

  • 地域経済への波及5

    被災地の農地約500haで約3,000tの飼料用米を仕入れ、地域の生産者と畜産農家を結ぶ雇用と経済効果が数値つきで示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

福田氏は今後、本事業を他地域の同業他社と共有し、同じ思いで農商工畜連携に取り組みたいとしている。すでに北海道、関東、関西から視察に訪れた企業もある。

事業者の声

「各地域から同じ思いで国に提案すれば、政策を練る方により現実味を持っていただけるでしょう。この取組を仙台だけにとどめず、全国に発信していきたい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。