ものづくり補助金平成25年度製造業宮城県

ナノファイバー不織布を使用した、小ロット、多品種、高機能マスクの開発

東和化成株式会社

成果補集効率(従来の簡易マスク比) 100%→130%

この事例のポイント

  • ナノファイバーは医療・研究分野等に市場が限られており、新たな需要を開拓する必要があった。
  • 自社でエレクトロスピニング装置を開発・導入し、ナノファイバー処理を施した新型マスクのサンプルを試作した。
  • 補集効率(従来の簡易マスク比) 100%→130%。新型マスクの補集効率は従来品より30%向上することが信州大学での検証で確認された。

事業者のプロフィール

事業者名東和化成株式会社
所在地宮城県 名取市
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数25人
資本金5,000万円
設立1987年

事業の背景

同社は不織布製品の製造販売を行い、繊維を8μm以下に組成したマイクロファイバーの製造を手がけてきた。ナノファイバーは高性能である一方、医療・研究分野等に市場が限られていた。新たな需要を探るため、ナノファイバー製品の開発に取り組むこととなった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信ナノファイバーは医療・研究分野等に市場が限られており、新たな需要を開拓する必要があった。
  • 生産能力ナノファイバー不織布のマスクを作るには加工装置の導入が必要だったが、その資金が十分ではなかった。

やったこと

自社でエレクトロスピニング装置を開発・導入し、ナノファイバー処理を施した新型マスクのサンプルを試作した。信州大学で補集効率を検証し、従来の簡易マスクと比べた結果を確認した。衣料分野では、ゴルフウェアや登山用カッパ等に用いる透湿性フィルターを数種類試作した。車両用燃料フィルターも試作し、さらに同装置を一部改良して人工皮膚・細胞培養の培地の製造可否を検討した。

加工機エレクトロスピニング装置

新しい製品・サービス:ナノファイバー不織布を塗布した小ロット・多品種の高機能マスク

事業の効果

  • 補集効率(従来の簡易マスク比) 100%→130%

新型マスクの補集効率は従来品より30%向上することが信州大学での検証で確認された。通気度や性能維持時間でも高い品質が確認された。衣料用透湿性フィルターや車両用燃料フィルターでも高い補集効率や製造の可能性が示され、フィルターメーカーとの共同試作を受注した。医療分野では人工皮膚・培地としての製造が可能であることが実証され、他社との共同商品化に向けた取り組みを始めた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    取引のなかった分野へ参入する方向が示され、過去の不織布製造や信州大学との協力関係に触れているが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ナノファイバーの撥水性・透湿性や高い補集効率など自社技術の強みは示されるが、市場動向との関係は十分に説明されていない。

  • 課題の認識と解決2

    医療・研究分野に市場が限られるという課題認識はあるが、高付加価値化につながる事業計画の数値や具体策は読み取れない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    自社開発した装置を用い、信州大学と連携して試作・検証を行ってきた体制が書かれているが、人材や事務処理体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    補集効率が従来簡易マスクより30%向上したことや、スポーツメーカーが採用を検討中である点など、顧客ニーズと製品価値が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    マスク、透湿性フィルター、燃料フィルターなど段階的な試作と事業化の方向性は書かれるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ナノファイバー不織布は医療・研究分野に限られ普及度が低い分野とされ、ハイエンド向けのニッチ市場を狙う方針が書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    新たな需要の創出や工業用から医療用まで幅広い分野への展開が書かれるが、地域経済や雇用への波及は具体的に述べられていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は書かれておらず、わずかに導入効果がうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献4

    自社開発のエレクトロスピニング装置による新素材活用で、医療や自動車など複数分野への展開が具体的に述べられている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    ナノファイバーを航空宇宙や自動車など新たな成長分野へ展開する構想が書かれ、構造転換への貢献がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    宮城県の拠点で事業を行うことは書かれているが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用効果の記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

大手スポーツメーカーがスポーツマスクとしての採用を検討している。衣料用透湿性フィルターは価格競争が懸念されるため、ハイエンド向けのニッチな市場を狙う方針である。車両燃料用フィルターは自動車・船舶・航空機向けの事業化に向けて試作を続けている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。