ものづくり補助金平成25年度製造業宮城県

三陸産水産物の保存性向上技術とファストフィッシュ商品の開発

ワイケイ水産株式会社

この事例のポイント

  • 消費者の魚離れが進み、国内の水産物消費量は食肉に逆転されたままの状況が長く続いている。
  • 導入した高速斜め切りスライサーと電子スモーク装置を使い、銀鮭、サンマ、サバ、ヒラメを原材料とした商品開発を行った。
  • 細菌検査を行ったところ当初の目標をクリアし、新商品を常温品とすることが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名ワイケイ水産株式会社
所在地宮城県 女川町
業種食料品製造業
技術分野バイオ
従業員数47人
資本金3,000万円
設立1968年

事業の背景

東日本大震災では女川町の工場が流失し、町の大部分が被災したため復興の速度も遅く、基幹産業の水産業はいまだに回復していない。国内の水産物消費量は食肉に逆転されたままの状況が続いている。従来は市場などが主な顧客だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他消費者の魚離れが進み、国内の水産物消費量は食肉に逆転されたままの状況が長く続いている。
  • 新製品・新技術水産加工品の多くが、家庭での即食化や簡便化に十分対応できていない。
  • その他東日本大震災で工場が流失し、原発事故による風評被害もあって、女川町の水産関連業の復興が足踏み状態にある。

やったこと

導入した高速斜め切りスライサーと電子スモーク装置を使い、銀鮭、サンマ、サバ、ヒラメを原材料とした商品開発を行った。保存性は生商品と比べて賞味期限で3日、最大4日の延長を目標とした。開発当初は前処理を簡略化してコストを下げようとしたが、完成品の味に大きく影響することが分かったため、伝統的な前処理を施すこととした。スモークに使うチップは素材の良さを最大限に引き出せるものを繰り返しテストして選定した。完成した試作品は試食会などを開いて多くの意見を集約し、商品開発にフィードバックした。

加工機高速斜め切りスライサー
加工機電子スモーク装置

新しい製品・サービス:常温保存可能なファストフィッシュ商品(ホヤ玉薫など)

事業の効果

細菌検査を行ったところ当初の目標をクリアし、新商品を常温品とすることが可能になった。食材と薫製材の組み合わせをテストでデータ集積し商品の方向性を確定した。銀鮭とサンマは味、食感とも十分満足できる結果が得られ、商品化が実現した。新商品をネット販売やお土産店で販売することで新たな販路が開け、消費者の声を直接聞けるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    市場向け中心の事業から新たな販路を開く取組とあるが、既存事業との一貫性を裏付ける記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    地域ブランド力の高い牡蠣やホヤに優位性が見込まれると書かれ、強みの活用はうかがえるが、市場動向の分析は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    魚離れと震災後の水産業の停滞という課題を挙げ、即食化に対応した商品化で販路を広げる計画が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    保存期間を生商品より3日、最大4日延ばす目標が示されたが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    試食会や試作を繰り返した経緯はうかがえるが、実施体制や人材配置についての記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    即食・保存性の高さという商品価値、試食会での意見集約、ネット販売での消費者の声の収集など、狙う顧客像が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から商品化、次の水産物への展開まで段階が示されているが、スケジュールや課題解決の方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ファストフィッシュ商品は普及度が低い分野とみられるが、高価格化の具体的な記述はない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    女川町の基幹産業である水産業の復興と地域ブランドの発信に貢献する点が書かれているが、雇用や波及効果の数字はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    高速斜め切りスライサーや電子スモーク装置の導入はうかがえるが、デジタル技術の活用による地域やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    魚離れ対策として即食化の需要に応える点はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する記述は少ない。

  • 地域経済への波及4

    女川町の地域性を活かした郷土料理「ホヤ玉薫」や三陸産水産物のブランド化を通じて地域の復興を目指すと具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は消費者ニーズに応えた商品開発に力を入れ、さらなる売り上げ向上を目指す。今回の試作結果をもとに、牡蠣やホヤなど他の水産物での試作も開始した。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。