ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

クリーン度の高い環境で通年の生酒の無菌充填ができる瓶詰設備の導入

新政酒造株式会社

この事例のポイント

  • 夏場の瓶詰め工程は衛生面に課題があり、需要が増える夏に搾りたての生酒を提供できていなかった。
  • 生酒の瓶詰め作業を通年で行える環境として、クリーンルームを設営し、殺菌性の高い洗瓶機と無菌充填が可能な充填機を導入した。
  • 衛生的な瓶詰め環境が整い、夏場にできなかった搾りたての生酒の生産が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名新政酒造株式会社
所在地秋田県 秋田市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
従業員数35人
資本金1,500万円
設立1953年

事業の背景

当蔵は1852年創業の酒造メーカーで、市販清酒酵母では最古となる「きょうかい6号酵母」の発祥蔵として知られている。生酛による酒造り、全量純米酒化、杉の木桶による酒造りなど伝統的な製法への回帰に取り組んできた。日本酒は寒冷期に仕込み冷温で貯蔵し通年出荷するのがほとんどで、当蔵は通年醸造できる設備を保有していたが、夏場の瓶詰め工程に衛生面の課題があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力夏場の瓶詰め工程は衛生面に課題があり、需要が増える夏に搾りたての生酒を提供できていなかった。
  • 品質・精度定番生酒「№6」は4月までに醸造・瓶詰めを行い出荷しており、夏の出荷数量が多くなかった。
  • 新製品・新技術発泡させた生酒「天蛙」は夏に適した商品だが、造りたてを提供するための夏場の瓶詰め環境が不十分だった。

やったこと

生酒の瓶詰め作業を通年で行える環境として、クリーンルームを設営し、殺菌性の高い洗瓶機と無菌充填が可能な充填機を導入した。クリーンルームは外気を遮断し一定の室温で作業できる環境とした。充填機は窒素充填により酸化を防止する仕組みである。醸造部分は伝統製法を維持し、搾り以降の工程に新たな設備を導入した。

その他クリーンルーム
その他洗瓶機(殺菌性の高いもの)
加工機無菌充填が可能な充填機(窒素充填機能付き)

新しい製品・サービス:発泡させた生酒「天蛙」などの、造りたての生酒を夏場に提供する商品。

事業の効果

衛生的な瓶詰め環境が整い、夏場にできなかった搾りたての生酒の生産が可能になった。酒質全体が向上し、様々な商品の企画が可能になった。付加価値の高い商品を市場に提供でき、製造数量が減っても売上を伸ばせる体制になった。従業員も増加し、県外の若者が就職するなど秋田県への移住・就業にも貢献している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    伝統製法への回帰という取組みの継続性は読み取れるが、夏場の瓶詰め課題を経営戦略に位置付ける記述は限定的である。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    夏場に生酒を提供できなかった課題と、付加価値の高い商品提供の方針は読み取れるが、市場動向との比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    夏場の瓶詰め環境の課題を特定し、無菌充填設備で解決して付加価値商品を企画できるようになったと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上は述べられるが、賃上げを含む数値目標や達成見込みは示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員が17名から35名に増えたことは書かれているが、補助事業を遂行する体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    夏に飲む生酒「天蛙」の需要と、搾りたて提供の必要性が商品の価値として具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    木桶化や工房建設などの中長期計画はあるが、本補助事業の遂行スケジュールや解決方法は限定的である。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    杉の木桶による酒造りや全量純米酒化など、同分野で高付加価値化を図る取組みが具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    秋田県への移住・就業への貢献や伝統文化の継承に触れているが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    売上を伸ばせる体制になったとあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    無菌充填や窒素充填の導入は書かれているが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は限定的である。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    伝統製法への回帰は述べられるが、成長分野への進出や日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    秋田県の酒蔵として地域の特性を生かし、県外若者の就業や移住への貢献が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

伝統的な製法への回帰を進めるため、今後は自社田での無農薬栽培へのこだわりなども含めて情報発信を行う。現在38本の杉の木桶を15本以上増やし、将来的には全量を杉の木桶に換える予定である。木桶を製作する職人が減少しているため、木桶を製造できる工房の建設も計画している。

  • 目標:従業員数 17人→35人

事業者の声

本来の日本酒の魅力を甦らせるため、伝統に新しい息吹を注ぎ込むべく、革新的な酒造りを続けていきたいと考えています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。