ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

自動車点火用イグニッションコイルの素材開発と生産性向上による価格競争力強化

山口電機工業株式会社

成果原価 200円/個→122円/個

この事例のポイント

  • 近年は中国製の低価格なイグニッションコイルが主流となり、自社製品の売上が伸び悩んでいた。
  • イグニッションコイルの耐熱性と絶縁性を高めるため、ガラス繊維の添加量とPPS樹脂材の比率を変えて評価し、最適なガラス繊維強化プラスチックを選定した。
  • 原価 200円/個→122円/個。素材変更を行うことで従来比157円/個までコストダウンできることが判明し、200円/個の目標額をクリアした。

事業者のプロフィール

事業者名山口電機工業株式会社
所在地秋田県 鹿角市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野立体造形
従業員数136人
資本金3,900万円
設立1946年

事業の背景

山口電機工業はバスやトラック、建設機械用の後退警報機を世界で初めて開発した実績を持つ企業である。脱下請け化の一環として自社ブランドの自動車点火用イグニッションコイルを開発し経営の安定化を進めてきた。しかし近年はローコストを武器にした中国製品が主流となり売上が伸び悩んでいた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算近年は中国製の低価格なイグニッションコイルが主流となり、自社製品の売上が伸び悩んでいた。
  • 生産能力海外メーカーに打ち勝つための価格競争力を実現する必要があった。

やったこと

イグニッションコイルの耐熱性と絶縁性を高めるため、ガラス繊維の添加量とPPS樹脂材の比率を変えて評価し、最適なガラス繊維強化プラスチックを選定した。従来の射出成形の不良要因を整理・分析し、成形機メーカーや公設試の技術指導を受けながらガラス繊維入りPPS樹脂材に適した電動射出成形機を導入した。成形圧力、射出速度、射出温度、金型温度、材料供給等の条件を試験・評価し、スクリュやシリンダなどの摩耗が低減し安定成形が可能な条件を導き出した。

新しい製品・サービス:小型・軽量、絶縁耐久性の高いイグニッションコイル

事業の効果

  • 原価 200円/個→122円/個
  • 原価 200円/個→157円/個

素材変更を行うことで従来比157円/個までコストダウンできることが判明し、200円/個の目標額をクリアした。社内の改善提案活動では年間1,200万円の改善目標を9ヵ月程度で達成する見込みとなった。イグニッションコイルは好調で受注に生産が追いつかず、鹿角市に秋田第二工場を増設し採用も増やして増産に対応している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    脱下請け化の一環として自社ブランドのイグニッションコイルを開発し経営安定化を進めた経緯が書かれ、一貫性はうかがえるが戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国製品が主流となり売上が伸び悩んだ外部環境と、バックアラーム開発の実績という強みが書かれ、海外メーカーに対抗する競争力強化の狙いが明確。

  • 課題の認識と解決4

    中国製品との価格競争で売上が伸び悩んだ課題を認識し、素材開発と設備導入で原価を下げる取組が書かれている。

事業の実現可能性72%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標は従来比200円/個の原価低減で、素材変更まで行うと157円/個まで下がり、現在は目標をクリアしたと数字で示されている。

  • 事業を進める体制3

    成形機メーカーや公設試の技術指導を受けながら試験を進めたと書かれるが、社内の体制や人材についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    受注に生産が追いつかない状況や、アメリカでのシェアの高さ、アフターマーケット需要の伸びが書かれ、顧客と選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    設計段階の見直しによるコスト削減の検討や、秋田第二工場の増設などの今後の予定が書かれているが、スケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    中国製品が主流の分野で、同分野の中で高付加価値化を図るという記述は薄く、差別化の水準は読み取りにくい。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    増産による採用増加や秋田第二工場の増設が書かれ、雇用創出はうかがえるが国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    投入額に対する効果は書かれていないが、原価低減が200円/個目標に対し157円/個まで進み、生産性向上の具体的成果が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    立体造形技術の活用や素材開発が書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    秋田県鹿角市に工場を増設し雇用を増やしたことはうかがえるが、地域の特性を活かした付加価値の記述は薄い。

今後の展望

東南アジアは中国メーカーのシェアが高く、アメリカでのシェアが高い。日本のような車検制度がない海外ではアフターマーケット需要がまだ伸びると見込んでいる。コストダウンで価格優位性を高めシェアを拡大したい。

事業者の声

年間1,200万円の改善を目標とした活動だが、9ヵ月程度で目標は達成する

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。