ものづくり補助金平成25年度製造業秋田県

季節限定日本酒の増産および市場への適時対応のための設備計画

合名会社栗林酒造店

この事例のポイント

  • 季節限定酒は販売機会を逃さないために生産性を上げ、需要へ迅速に対応する必要がある。
  • 小容量の醸造タンクを導入し、少量の仕込みに対応できるようにした。
  • 振動式密度計の導入により、誰が測定しても誤差なくアルコールや糖度を計測できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名合名会社栗林酒造店
所在地秋田県 美郷町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1874年

事業の背景

栗林酒造店は明治7年創業で、仙北地域を代表する酒造メーカーである。主力ブランドは「春霞」で、12〜13年前から純米酒の製造を強化し、現在は売上の約8割を純米酒・純米吟醸酒が占めている。日本酒は季節性が強く、季節限定酒は飲食店でも顧客へのPR効果が大きく需要が高い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力季節限定酒は販売機会を逃さないために生産性を上げ、需要へ迅速に対応する必要がある。
  • 生産能力現行の醸造用タンクや温度制御装置、瓶詰め設備は中・大型向けで、少量多品種の醸造や瓶詰めに向いていない。

やったこと

小容量の醸造タンクを導入し、少量の仕込みに対応できるようにした。アルコールと糖度を正確かつ簡便に測定できる振動式密度計を導入し、測定者による誤差をなくした。酵素の働きや空気との接触による劣化を抑えるため、低温貯蔵が可能なサーマルタンクを導入した。さらにマルチキャッパーを導入し、少量多品種の瓶詰め作業の効率化を図った。また、搾り後に澱を取り除く設備を導入した。

事業の効果

振動式密度計の導入により、誰が測定しても誤差なくアルコールや糖度を計測できるようになった。マルチキャッパーの導入で瓶詰め作業が飛躍的に効率化され、季節限定品の適時供給に迅速に対応できるようになった。サーマルタンクの導入で澱の沈殿速度が速まり、瓶詰めまでの期間が短縮された。澱引き期間も不要になり、酒質がさらに向上している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    12〜13年前から純米酒の製造を強化し、現在は売上の約8割を純米酒・純米吟醸酒が占めるとあり、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    仙北平野の良質な米と地下水を活かし、美郷錦を全体の7割強に使うなど、地域の経営資源を生かした強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    季節限定酒の供給が遅れるという課題と、生産性向上による対応の必要性は書かれているが、数値目標は示されていない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の創出や賃上げを示す目標値は書かれておらず、継続取引が増えているという定性的な記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    従業員10名の体制は示されているが、補助金申請が初めてで苦労したとあるのみで、事務処理体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    季節限定酒は飲食店の顧客向けPR効果が大きく、春から取引が始まり夏以降も継続するなど、選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は美郷錦の栽培を強化し、世界と勝負できる酒造りを目指すという方向性は示されるが、スケジュールや方法の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    美郷錦を使い地域ごとに商品名を変えた醸造を行うなど個性を打ち出す点はあるが、普及度や高価格化の水準は書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    平成17年から酒米美郷錦の契約栽培を始め、農家が酒米の品質向上に関心を持つきっかけになっているという波及効果が書かれている。

  • 費用対効果2

    作業効率化や期間短縮は書かれているが、補助金額に対する付加価値額の増加などの費用対効果を示す数値は見当たらない。

  • イノベーションへの貢献2

    振動式密度計による測定の簡便化は書かれているが、先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルへの言及はほぼない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    市場の変化として地域色のある日本酒が好まれる流れに触れているが、日本経済の構造転換に資する具体的な記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    美郷町の仙北平野の米と地下水、蔵付酵母を活かした酒造りで蔵の個性を出す取組が書かれており、地域特性の活用が具体的である。

今後の展望

美郷錦の契約栽培を2005年から続けており、年々栽培量を増やして現在は商品全体の7割強に使用している。今後は美郷錦をより強化し、「世界と勝負できるお酒」を造りたいと考えている。

事業者の声

日本酒は時と場合によりタイプを選んで飲む傾向に変化している。季節限定酒は当蔵のブランド名に「春」が付いていることをきっかけとして、春から取引いただく飲食店がある。そのような先に商品の個性を気に入ってもらうことで、夏以降も継続取引いただくケースが増えている。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。