ものづくり補助金平成25年度製造業山形県

3Dプリンターを活用したオーダーメイド医療機器の製作

株式会社高研

この事例のポイント

  • 気管切開カニューレは気管孔および気管とカニューレの形状が一致しないことが多く、トラブルや事故の原因になっている。
  • 患者のX線CTデータを入手し、3DCADを用いて気管とその周辺の断面形状を図面化した。
  • 3Dプリンタで製作したオーダーメイド品が患者の気管に最適な形状であることを、気管断面モデルへの装着により確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社高研
所在地山形県 鶴岡市
業種その他の製造業
技術分野立体造形
従業員数271人
資本金1.5億円
設立1959年

事業の背景

気管切開カニューレは、気道確保、吸引、狭窄防止などの目的で気管内に挿入される医療機器で、用途や目的により多種多様なものが使われている。しかし、患者の気管孔・気管とカニューレの形状が合わないことによるトラブルや事故が少なくない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度気管切開カニューレは気管孔および気管とカニューレの形状が一致しないことが多く、トラブルや事故の原因になっている。
  • コスト・採算トラブルによる長期治療や入院期間の延長が患者・家族・医療従事者の負荷となり、医療費増大の要因になっている。

やったこと

患者のX線CTデータを入手し、3DCADを用いて気管とその周辺の断面形状を図面化した。新規導入した3Dプリンタで、カニューレを構成する15mm雄コネクタ、ネックプレート、本体チューブを製作し、接着・組立によりカニューレ機能を持つオーダーメイド品を製作した。カニューレはチューブ先端近くにカフを付けたタイプとカフ無しタイプに大別され、それぞれ内筒と発声バルブの有無を患者の病態・体型に合わせて選択できるようにした。形状確認のため、患者のX線CTデータを基に3Dプリンタで着色した気管断面モデルを製作し、そこにオーダーメイド品を装着して適合を確認した。

加工機3Dプリンタ
ソフト3DCAD

新しい製品・サービス:患者個々に最適な形状のオーダーメイド気管切開カニューレ

事業の効果

3Dプリンタで製作したオーダーメイド品が患者の気管に最適な形状であることを、気管断面モデルへの装着により確認した。患者のX線CTデータから3DCADと3Dプリンタを用いることで、形状に合わせた最適なオーダーメイド・カニューレを製作できた。これによりトラブルや事故の防止、患者のQOL向上、医療従事者の負荷軽減、無駄な医療費の抑制が見込まれ、社会貢献につながる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    医用シリコーン研究など医療分野への展開が書かれ、3Dプリンタ導入はその延長として読めるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    患者個々の形状に合わせる点はうかがえるが、市場動向や自社の強み・弱みへの言及は公開事例には書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    カニューレの形状不一致によるトラブルという課題が示され、患者別製作で解決する方向は読み取れるが、事業計画の数値は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    事業推進体制として社員数271名、鶴岡工場の所在が示されるが、補助事業の遂行体制は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    患者個々に最適な形状のカニューレを提供する価値、気管とカニューレの不一致がトラブルの原因という背景が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として臨床試用、薬事承認申請、製作種類数の拡大が示されるが、スケジュールや期間は書かれていない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金1億5,000万円と設立年は書かれているが、財務状況や金融機関からの資金調達については書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    患者個々に最適化した気管カニューレを3Dプリンタで製作する点は、一般的な製品分野と比べて新規性が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    医療費増大の抑制と患者のQOL向上に貢献すると書かれ、社会的な意義は読み取れるが、経済波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    無駄な医療費の抑制と長期入院の回避がうかがえるが、投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    X線CTデータから3DCADで図面化し3Dプリンタで製作する一連のデジタル技術活用が具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    医療分野や核酸医薬との組合せによる先端医療への展開がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在はカニューレの製作種類数を増やすとともに、異常な形状の気管にも適用できるかを確認するため、患者のX線CTデータの入手に努めている。今後は、化学的安全性、全体的な安定性・耐久性について十分な調査を行い、病院での臨床試用を経て医療機器として薬事承認申請を計画している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。