ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

1時間でオーダー・インソールを提供する製販一貫型3Dシステムを構築

楠岡義肢製作所株式会社

成果製造コストが従来方法の約2/3以下になった

この事例のポイント

  • 義肢・装具に求められる課題が高度化し、利用者の品質・ニーズの多様化に対応する必要があった。
  • 従来の一品一品の職人製作に代えて、足形スキャンで歩行分析を行い、陰性モデルを3次元シャーム計測器で読み込み、コンピューター上で足型陽性モデルを再現してCAD上でインソールに変換す…
  • 製造コストが従来方法の約2/3以下になった。足底圧センサーの活用により他社との差別化が図れた。

事業者のプロフィール

事業者名楠岡義肢製作所株式会社
所在地京都府 宇治市
業種その他の製造業
技術分野デザイン,情報処理,測定計測,立体造形
従業員数11人
資本金3,000万円
設立1975年

事業の背景

当社は1975年に先代社長が宇治市木幡で義肢・装具製作販売の個人事業として創業し、現代表が事業を承継した。主力は義肢・装具で、整形外科など医療機関の処方に基づき患者に製作販売してきた。医療・健康保険向けの市場は厚労省の基準価格や高齢化により安定して推移しているが、利用者の品質・ニーズの多様化により、求められる課題は高度化していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力義肢・装具に求められる課題が高度化し、利用者の品質・ニーズの多様化に対応する必要があった。
  • 人手・技能職人の勘と経験による一品一品の製作に依存しており、技能を客観的データに反映させる必要があった。
  • 生産能力欧米で普及するIT等を使った製作方法に対し、生産性の向上と先端的な製作方法の導入が求められていた。

やったこと

従来の一品一品の職人製作に代えて、足形スキャンで歩行分析を行い、陰性モデルを3次元シャーム計測器で読み込み、コンピューター上で足型陽性モデルを再現してCAD上でインソールに変換する製作方法を構築した。利用者が好む感覚や足底圧センサーのデータを加えて編集し、専用の切削機でインソールを自動製作した後、手作業で細部を微調整して最終製品とした。最短1時間で製作可能で、仕上げの35分だけを待ち時間とする運用もできる。石膏を用いないため廃棄物と時間・コストを減らし、製造難度と労務リスクも大幅に軽減した。

ソフトCADシステム
加工機自動切削機(インソール専用切削機)
検査測定足底圧センサー
検査測定3次元シャーム計測器
検査測定3Dスキャナ

新しい製品・サービス:製販一貫型の3Dシステムによる1時間で提供するオーダーメイド・インソール

事業の効果

  • 製造コストが従来方法の約2/3以下になった

足底圧センサーの活用により他社との差別化が図れた。顧客データをCADデータとして蓄積でき、リピート需要に迅速かつリーズナブルに応えられるようになった。製造コストは従来方法の約2/3以下になった。一方で売上・収益の成果はまだこれからで、インソールの売上比率は目標20%に対し現状10%程度にとどまる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    先代の職人的製作を客観データ化し、CADと切削機の新製法を導入する流れが事業の変遷と一貫して記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    足トラブル向けオーダーメイドの強みは読み取れるが、市場動向との比較や競争優位の定量的な裏付けは乏しい。

  • 課題の認識と解決5

    製造コストが従来の約2/3以下、目標20%に対し現状10%程度と課題と数値が明示され、解決策も具体的に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    製造コスト削減や売上比率目標は示されるが、高付加価値化や賃上げに関する目標値は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    社員への説明力訓練や採用2名の計画は示されるが、補助事業の遂行体制の詳細は限定的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    最短1時間で製作可能、足底圧データによる差別化、リピート需要への対応など選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の人材育成や店舗施策は記載があるが、遂行スケジュールや課題解決の時期が明確に示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    オーダーメイド・インソールの高価格帯製品で、既製品より高価だと書かれるが、分野の普及度に関する数値は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    医療・健康保険向け市場や欧米のIT活用動向に触れるが、国が補助する波及効果や雇用創出は記載がない。

  • 費用対効果4

    製造コストが従来方法の約2/3以下になり、石膏不使用で廃棄物と時間・コストを削減したと数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    足底圧センサーや3次元計測とCADを組み合わせた製販一貫の仕組みは読み取れるが、地域やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    宇治市の地域密着型の店舗やギャラリーを拠点とする地域繁盛店の方針が書かれ、地域特性との関連が読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

社員全員の説明力とホスピタリティの訓練、地域住民が立ち寄れる店舗づくり、京都品質の和柄インソールの開発、学生アスリート向けの情報発信に取り組み、利用者1日一人以上を当面の目標とする。

  • 目標:インソール全体の売上比率は目標20%に対し現状10%程度にとどまっている

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。