ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

大都市及び海外市場の販路拡大に向けた清酒製造プロセス強化と新商品開発

国権酒造株式会社

この事例のポイント

  • ビン詰めを手作業で一つずつ行っていたため、雑菌や不純物が混入しやすく、酒質の劣化やばらつきが生じやすかった。
  • 不純物や雑菌の混入を防ぎ安全性と生産性を高めるため、ビン詰め工程を見直して自動ビン詰めライン一式を導入した。
  • 充填から打栓までを囲われた自動ラインで行うようになり、異物混入のリスクが軽減された。

事業者のプロフィール

事業者名国権酒造株式会社
所在地福島県 南会津町
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ,製造環境
設立1877年

事業の背景

明治10年の創立以来、全商品特定名称酒のみを製造しており、平均精米歩合は55%である。看板商品の大吟醸「国権」は全国新酒鑑評会で多数金賞を受賞している。平成27酒造年度の全国新酒鑑評会では福島県の蔵元から26銘柄が入賞し、うち18銘柄が金賞に選ばれ、金賞受賞数は4年連続日本一となった。平成25年の和食のユネスコ無形文化遺産登録を機に、高品質な日本酒の需要が高まっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ビン詰めを手作業で一つずつ行っていたため、雑菌や不純物が混入しやすく、酒質の劣化やばらつきが生じやすかった。
  • 品質・精度手詰めでは充填口が囲われていないため異物混入のリスクが高く、打栓時の締め付けに漏れが生じることもあり、そのためカビの発生にもつながりやすかった。
  • 人手・技能注入量や打栓の締め付けが作業者の経験や力加減に左右され、最適化するには長年培った経験や技が必要だった。
  • 生産能力ビン詰め工程は雑菌混入や多品種少量生産のボトルネックになっていた。

やったこと

不純物や雑菌の混入を防ぎ安全性と生産性を高めるため、ビン詰め工程を見直して自動ビン詰めライン一式を導入した。導入後、1.8L瓶、720ml瓶、300ml瓶、180ml瓶の各種瓶による充填・打栓の試験を実施し、速度、入身の均一化、打栓の締め具合を調査した。種類による変化の有無も測定した。また、福島県ハイテクプラザと共同で新商品の開発も進めた。

加工機自動ビン詰めライン一式

新しい製品・サービス:純米吟醸「儚淡」(福島県の酒造好適米「夢の香」を使用した低アルコールの日本酒。福島県ハイテクプラザと共同開発)

事業の効果

充填から打栓までを囲われた自動ラインで行うようになり、異物混入のリスクが軽減された。打栓の締め付けも機械化され、人の経験や力加減に頼らず漏れを抑えられるようになった。その結果、不良品発生本数は70%以上減少し、ビン詰め本数は60%向上した。1時間あたりのビン詰めは平均800本近く生産できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    全国新酒鑑評会の金賞4年連続日本一など事業実績は読み取れるが、経営戦略上の位置付けや過去取組との一貫性までは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大都市・海外市場への販路拡大と品質・ネームバリューに触れるが、市場動向と自社の強み弱みを関連づけた分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    手詰め作業の雑菌混入やボトルネック工程という課題を示し、自動ビン詰め導入で不良品発生本数70%以上減少と記されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1時間あたり800本近く生産可能、ビン詰め本数60%向上、不良品70%以上減少と数値目標に近い実績が記載されている。

  • 事業を進める体制2

    共同開発や試験実施の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記載は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    低アルコール「純米吟醸 儚淡」や夏の生酒など商品特徴は書かれるが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    1.8L〜180mlの瓶による充填・打栓試験を実施したとあり検証の流れは見えるが、スケジュールや今後の課題解決方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    低アルコール日本酒や夏の生酒など新商品の取組はあるが、同分野での高価格化の水準は具体的に示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    和食の世界文化遺産登録や海外需要の高まりに触れるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    不良品減少率や生産本数向上など効果は数値で示されるが、補助金投入額との費用対効果は記載がない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    日本酒の海外需要拡大に触れるが、日本経済の構造転換に資する分野進出とまでは読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    福島県の酒造好適米「夢の香」や奥会津の水を使う地域資源活用が書かれ、地域特性の活用はうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新商品の開発により売上を強化し、夏の生酒の商品化も進める予定である。2020年の東京オリンピックに向けて首都圏や海外での商談会やイベントにも積極的に参加し、将来的には輸出も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。