ものづくり補助金平成25年度製造業広島県

広島杜氏の伝統技術を生かした高付加価値清酒の試作開発・商品化と顧客ニーズに応えるための生産性強化による地域経済への貢献

西條鶴醸造株式会社

成果ビン詰め能力(1.8Lビン) 500本/時間→1,200本/時間

この事例のポイント

  • 生産数量が規模に見合わなくなったボイラー・火入れ設備により、ビン詰め生産効率と火入れ温度の安定による酒質向上が課題となっていた。
  • 既存の木甑を新調し大型化した。
  • ビン詰め能力(1.8Lビン) 500本/時間→1,200本/時間。ビン詰め能力と火入れ温度の安定により生産効率と酒質が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名西條鶴醸造株式会社
所在地広島県 東広島市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数13人
資本金1,000万円
設立1904年

事業の背景

日本酒業界はこの10年間で多くの蔵元が廃業などで苦戦する一方、地酒蔵のブランド構築に成功した一部の蔵元は、和食の世界文化遺産認定やクールジャパン効果もあって売り上げを大きく伸ばしている。女性や高齢者をはじめ低アルコール酒類に慣れた消費者には、食事と一緒に楽しめ米の旨味を味わえる13度程度の純米酒が望まれている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力生産数量が規模に見合わなくなったボイラー・火入れ設備により、ビン詰め生産効率と火入れ温度の安定による酒質向上が課題となっていた。
  • 品質・精度低度数製品の開発製造に必要な、製品成分のきめ細かい調整が求められていた。
  • 人手・技能目視で数時間を要していた酒質測定作業の時間短縮と測定精度の向上が課題となっていた。
  • 新製品・新技術アルコール度数の低い純米原酒は米の旨味が薄いと評されやすく、醸造の技術的難易度も高いため、高付加価値の新製品開発が課題となっていた。

やったこと

既存の木甑を新調し大型化した。木甑は製造後40年を経て老朽化しており、全国で1社のみとなった木甑業者の数年後の廃業に備えた対応である。ボイラー・火入れ設備を新規更新し、ビン詰め温度65℃で生産効率を向上させ、火入れ温度を安定させて酒質を向上させた。酒類用振動式密度計を導入し、目視で数時間を要していた酒質測定を短縮し測定精度を高めた。冷蔵貯蔵設備を新設し、アルコール度数13度の純米原酒の酒質を維持するための貯蔵キャパシティを拡大した。

その他木甑
その他ボイラー・火入れ設備
検査測定酒類用振動式密度計
その他冷蔵貯蔵設備(新規冷蔵庫)

新しい製品・サービス:広島杜氏の伝統技術を生かした、アルコール度数13度の純米原酒

事業の効果

  • ビン詰め能力(1.8Lビン) 500本/時間→1,200本/時間
  • 蒸きょう工程の処理量(1回) 500kg→700kg
  • 1仕込み最大量 700kg→900kg
  • 測定器の導入により作業時間が1/4~1/8に短縮。
  • 新規冷蔵庫での保管本数が1.8Lビンで6,000本増加⇒冷蔵貯蔵庫の保管本数が合計8,000本に向上。

ビン詰め能力と火入れ温度の安定により生産効率と酒質が向上した。木甑の新調で蒸きょう能力と1仕込みの最大量が増え、酒質測定は作業時間が短縮され測定精度も向上した。冷蔵貯蔵設備により13度の純米原酒の貯蔵能力が拡大した。アルコール度数13度の新製品を完成させ、卸を経由しない限定販路で市場投入したところ、競合2社の最後発ながら女性・高齢者から高い評価を得た。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    木甑の新調や酒蔵の伝統を生かす方針は読み取れるが、過去の取組との一貫した経営戦略としての位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    他社では難しい13度の純米原酒を開発し、女性・高齢者の低アルコール需要に応える点で競争優位性が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    ビン詰め生産効率や火入れ温度安定、測定作業の課題を挙げ、それぞれ設備更新で対応すると具体的に示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    ビン詰めが500本から1,200本/時間に向上、測定作業時間が1/4~1/8に短縮と数値で成果が示されている。売上目標の数値は限定的。

  • 事業を進める体制2

    蔵元や支配人の名前、従業員13人といった体制情報はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    女性・高齢者の低アルコール需要や、13度の純米原酒が食事に合うという価値が具体的に書かれ、顧客ターゲットが明確。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として地元食材に合う酒造りや地酒酒販店との取引拡大が示されるが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    低アルコール日本酒は米の旨味が薄いと評されやすく技術的難易度も高いと示し、他社が難しい13度純米原酒を同分野で高水準の商品として開発している。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地域経済への貢献や地元の活性化への波及効果が目的として挙げられているが、経済波及や雇用創出の具体的な数字は示されていない。

  • 費用対効果3

    ビン詰め能力や仕込み量、保管本数などの改善数値はあるが、補助金投入額に対する費用対効果の記述は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    西条の地元の酒米や水を活かし、地元料理に合う味わいと西条酒まつりなど地域貢献活動を通じた地域への貢献が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

開発した低アルコール新製品だけでなく既存ラインナップを成熟・発展させ、地元の食文化を踏まえた酒造りを進める。地酒酒販店との取引を現時点の3倍レベルまで引き上げたい。西条酒まつりへの出展や地域貢献活動を通じ、地元とのつながりを大切にしていく。

事業者の声

口当たりがやさしい中にもキレがある

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。