ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

若桃甘露煮の海外市場進出に向けた製造環境の整備

あぶくま食品株式会社

この事例のポイント

  • 輸出には輸出諸経費・運賃・関税が発生し、最終売価が国内売価の2〜3倍に膨れ上がるため、輸出拡大が難しい状態だった。国際的に通用する価格で販売するには製造コストの削減が課題だった。
  • 既存の製造環境を整備し、若桃甘露煮の原料である摘果桃の「皮むき」工程を自動化する設備を導入した。
  • 作業時間を大幅に削減でき、仕上がりは予想以上で、今までより品質の良い原料に仕上がることも判明した。

事業者のプロフィール

事業者名あぶくま食品株式会社
所在地福島県 福島県伊達市
業種食料品製造業
従業員数41人
資本金4,800万円
設立1972年

事業の背景

昭和47年の創業以来、胡瓜・茄子の漬物と福島県産の果物を原料とした製品の製造販売を行っている。代表製品「旨さの極みきゅうり」は平成27年度優良ふるさと食品中央コンクール国産農林産品利用部門で農林水産省食料産業局長賞を受賞した。最近は輸出部門にも力を入れ、欧米・アジアで順調に売り上げを伸ばしている。一方、日本の人口減少により国内市場は縮小する傾向にあると考えられている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算輸出には輸出諸経費・運賃・関税が発生し、最終売価が国内売価の2〜3倍に膨れ上がるため、輸出拡大が難しい状態だった。国際的に通用する価格で販売するには製造コストの削減が課題だった。
  • 人手・技能本製品の製造は手作業が多く、コストの大部分を人件費が占めている。特に「皮むき」は手作業が中心だった。
  • 生産能力若桃(摘果桃)は皮と実が分離しておらず、表面を化学的に溶解させる浸漬工程と、溶けた表面部を洗い流す除去工程が必要だった。

やったこと

既存の製造環境を整備し、若桃甘露煮の原料である摘果桃の「皮むき」工程を自動化する設備を導入した。浸漬工程のボイル機は、もともと野菜の異物除去装置を摘果桃仕様に変更したもので、原料が浮かないようにするコンベアーと、浸漬時間を速度で調整する機能を備える。除去工程には連続式異物除去洗浄機を導入し、綺麗にむけた皮を廃棄用容器へ自動投入して原料への再付着を防ぐ。浸漬工程と除去工程を自動かつ連続的に処理できる設備として、試作・検証を行った。

加工機浸漬工程用ボイル機(原料が浮かないコンベア、浸漬時間を速度で調整する機能付き)
加工機連続式異物除去洗浄機

新しい製品・サービス:若桃甘露煮(摘果桃)

事業の効果

作業時間を大幅に削減でき、仕上がりは予想以上で、今までより品質の良い原料に仕上がることも判明した。製造コストは人的コストを含め大幅に圧縮できることを確認した。この結果、国際的に通用する価格での販売に向けた製造環境が整ったと判断している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    昭和47年創業以来の漬物・果物加工の事業と、海外市場進出という方向性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海外での売価が国内の2〜3倍になる課題と、欧米・アジアで売り上げを伸ばしている状況は読み取れるが、競争優位の根拠は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    海外売価を抑えるため製造コストの圧縮が必要と課題を明示し、皮むきの自動化で人件費を圧縮する具体的な解決策が示されている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    作業時間の大幅削減や人的コストの大幅な圧縮とあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    若桃甘露煮が海外の展示会でバイヤーの関心を集めた事実はあるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    欧米・アジアで現地代理店とタイアップし、企業訪問や展示会参加を行う予定と示されているが、スケジュールは具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    摘果桃は新規原料で専用機械が存在しないと書かれ、新規性はうかがえるが、高付加価値化の水準は数値で示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地方経済への影響や人口減少への対応に触れるが、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    人件費の大幅圧縮と品質向上が示されるが、補助金額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    設備の自動化は示されるが、先端的なデジタル技術やサプライチェーンへの貢献についての記述は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内市場縮小を見据えて海外市場へ進出する方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    福島県産の果物を原料とする地域性はうかがえるが、地域経済や雇用への波及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

欧米・アジアでの販路開拓を現地代理店とタイアップして強力に進め、個別企業訪問や同行販売を行うほか、現地展示会に積極的に参加する予定。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。