ものづくり補助金平成25年度製造業滋賀県

高品質な和菓子の海外展開に向けた生産体制の確立と技術の向上

有限会社とも栄菓舗

成果ANA国際線機内食の採用路線数 1路線→5路線

この事例のポイント

  • 海外取引の引合いが増えたが、旧型設備と手作業中心の製造環境では生産量の増加に対応できないという限界があった。
  • 海外展開による生産量増加への対応と品質管理を主眼に、菓子製造のための装置8品目を導入し、試作品について試食アンケートを実施した。
  • ANA国際線機内食の採用路線数 1路線→5路線。生産量増加に対応できる生産体制が整い、生産性と品質が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社とも栄菓舗
所在地滋賀県 高島市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数15人
資本金1,400万円
設立1953年

事業の背景

地域密着の老舗和・洋菓子店として、どら焼き、焼き菓子、蒸し菓子など幅広い和菓子を大部分の工程を手作業で製造してきた。冷凍保存技術を早くから導入し、作りたての味を保ったまま長期保存できるため海外輸出が可能になっていた。滋賀県とアメリカミシガン州の文化交流事業をきっかけに、シカゴの日系商社Yamasho, Inc.のネットワークで北米日本食レストラン向けの和菓子を受注し、国際線機内食デザートに採用された。これに伴い、原料や温度管理、品質の均一性についてアメリカ輸入食品管理機関FDAの基準を満たす必要が生じた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力海外取引の引合いが増えたが、旧型設備と手作業中心の製造環境では生産量の増加に対応できないという限界があった。
  • 品質・精度手作り中心の生産体制では、焼成時の中心温度や時間をFDA基準どおりに証明することが難しかった。
  • 人手・技能製造品質が熟練の職人の勘に頼っており、品質のばらつきを抑えて安定供給する体制が十分でなかった。

やったこと

海外展開による生産量増加への対応と品質管理を主眼に、菓子製造のための装置8品目を導入し、試作品について試食アンケートを実施した。焼き菓子の芯温計測機能付きオーブンは芯温を3点で測定でき、熟練の勘に頼らず適温調節が可能になり、FDA基準に求められる焼き時間や芯温の証明も手軽かつ正確に行えるようになった。団子・餅菓子用蒸練機と半自動どら焼機は温度や蒸気の状態を均一に管理でき、熟練職人でなくてもムラなく高品質の菓子を効率よく製造できるようになった。ボイラー一体型高性能蒸し器は庫内を柔らかい蒸気で一気に包み込み、まんじゅうや蒸し団子をつや良く仕上げられる。角折包装機で個包装作業の効率を上げ、金属探知機で異物混入リスクを低減するとともにHACCP取得も可能にした。フードプリンターでは機内食のメッセージやイラストをパソコンで設定するだけで自在にプリントできるようになった。

加工機芯温計測機能付きオーブン
加工機団子・餅菓子用蒸練機
加工機半自動どら焼機
加工機ボイラー一体型高性能蒸し器
加工機角折包装機
検査測定金属探知機
加工機フードプリンター
加工機超音波スライサー

事業の効果

  • ANA国際線機内食の採用路線数 1路線→5路線

生産量増加に対応できる生産体制が整い、生産性と品質が向上した。団子・餅菓子用蒸練機などにより製造工程のムラやロスが減り、人手の作業工程が減ったことで異物混入リスクも低減した。FDA基準の焼成温度や時間の証明が容易になり、海外輸出に必要な品質管理が行えるようになった。その結果、ANA国際線機内食での採用が1路線から5路線に拡大することが決まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    冷凍保存技術を早くから導入し海外輸出が可能になっていたとの記述はあるが、経営戦略上の明確な位置付けは読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外引合いの増加や北米日本食レストラン向け受注、国際線機内食採用など、外部環境と自社の強みの関係が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    手作り中心の生産体制が海外基準の証明に限界があるという課題認識が示されるが、事業計画の数値や実効性の詳細は薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    ANA機内食採用が1路線から5路線に拡大することは書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数15人との記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    北米日本食レストラン向け受注、国際線機内食採用、FDA基準対応などニーズの裏付けと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作品の試食アンケート実施や設備導入後の成果見込みは書かれるが、スケジュールや課題解決の方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    芯温計測付きオーブンや高性能蒸し器などで品質の均一化を図るが、分野の認知度や高価格化の具体的根拠は薄い。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    シカゴ新報掲載や文化交流事業、和食の無形文化遺産登録を背景に海外需要が高まる点が書かれるが、波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果3

    ロス発生率の低下や生産性向上が述べられるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    温度履歴のデジタル表示やフードプリンターの活用が書かれるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は具体的でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    滋賀県高島市の老舗として地域密着で営業してきたことは書かれるが、地域経済成長への牽引は具体的に示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

和食の世界無形文化遺産登録を機に海外での和菓子へのニーズがさらに高まると見込まれる。本事業で海外展開による生産量増加に対応する体制が整い、生産性・品質の向上、ロス低減、異物混入リスク低減が図られ、生産管理によりFDA基準のクリアを容易に証明できるようになった。今後は顧客・エリアごとのオリジナル菓子提案も見込まれる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。