ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

バイオ技術を用いた廃菌床の堆肥化・製品化事業

有限会社木紅木(きくもく)

この事例のポイント

  • 腐葉土の大半は外国産で、国産の落ち葉を調達していたが、原子力発電所事故後は仕入先の在庫が切れると繁忙期の約2カ月間、腐葉土を供給できなかった。
  • なめこ生産工場から廃菌床(おがくず)を運び込み、乾燥防止シートを被せて保管・養生した。
  • 廃菌床を堆肥化して腐葉土の代替品を製品化したことで、落ち葉の仕入れが途絶える繁忙期にも供給を続けられるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社木紅木(きくもく)
所在地福島県 いわき市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ,製造環境

事業の背景

当社は木酢液「キクノール」や木炭・キトサン液を扱い、化学農薬に頼らない有機減農薬農業を支える企業である。園芸分野では腐葉土が国内で販売・利用されているが、その大半は外国産である。当社は品質を重視して国産の落ち葉を調達していたが、仕入れの途絶により繁忙期に供給が止まることがあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力腐葉土の大半は外国産で、国産の落ち葉を調達していたが、原子力発電所事故後は仕入先の在庫が切れると繁忙期の約2カ月間、腐葉土を供給できなかった。
  • 生産能力お客様を待たせてしまい、販売機会を失うという問題が生じていた。

やったこと

なめこ生産工場から廃菌床(おがくず)を運び込み、乾燥防止シートを被せて保管・養生した。土壌酸度計、堆肥水分計、電気伝導計測機器、堆肥温度計、堆肥腐熟判定キットを揃え、pH・水分・温度・湿度を管理しながら試験データを収集・分析した。発酵を促進する微生物資材2種類と当社オリジナルの木酢液を菌床に投入し、4パターンの比較実験と発芽試験を行った。その結果、いずれの検体でも良好な発芽と生育が確認され、完熟した堆肥が得られたと推定された。堆肥に含まれる放射性セシウム値は使用限界400ベクレルに対して43.6ベクレルであった。堆肥を均一な粒状に揃える振るい機と、撹拌機・コンベア・充填機の連結機械装置を導入し、大容量の堆肥化と通年製造のフルライン体制を整えた。

加工機振るい機
加工機撹拌機
加工機コンベア
加工機充填機
検査測定土壌酸度計
検査測定堆肥水分計
検査測定電気伝導計測機器
検査測定堆肥温度計
検査測定堆肥腐熟判定キット

新しい製品・サービス:廃菌床を用いたおがくず堆肥『樹木土』

事業の効果

廃菌床を堆肥化して腐葉土の代替品を製品化したことで、落ち葉の仕入れが途絶える繁忙期にも供給を続けられるようになった。専門機関の分析では、いずれの場合も腐葉土と比べて肥料成分や取り扱い方に大きな違いは見られず、使いやすいとの評価を得た。放射性セシウム値も大幅に下がり、通年製造フルライン体制により作業効率と生産量が高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の木酢液「キクノール」や園芸資材づくりの延長として廃菌床の堆肥化に取り組んでいる点は読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国産落ち葉の供給途絶で2ヵ月腐葉土を供給できない課題があり、約15,000件の顧客層と木酢液の品質を強みとして挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    腐葉土供給の課題を認識し、堆肥化期間3~4カ月、藁の4~5年に対する短縮など、課題解決に向けた具体的な計画が読み取れる。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    堆肥化期間3~4カ月や発酵試験の結果はあるが、付加価値額や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    試験データの収集・分析を専門機関と連携して行っている点はうかがえるが、人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    木酢液使用・家畜糞不使用の安全性、腐葉土と同等の品質、15,000件の顧客層とターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋4

    第1段階から順に試作・発芽試験・販売へ進む工程が示され、3~5年寝かせる完熟タイプや今後の販売計画も記載されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国産腐葉土の代替として廃菌床由来のおがくず堆肥『樹木土』を開発し、既存の腐葉土と比べて差別化された高付加価値品としている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    国産落ち葉の確保や原子力事故後の供給不安に触れ、土壌改善や廃菌床の再利用という社会的意義はうかがえるが、雇用や波及効果の数値はない。

  • 費用対効果2

    堆肥化期間の短縮や作業効率の向上はうかがえるが、投資額に対する付加価値増加などの費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    バイオ技術や微生物資材を用いた廃菌床の堆肥化で循環型の取り組みを示しているが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    国産原料化による循環型農業への転換がうかがえるが、日本経済の構造転換に資する旨は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    いわき市好間町の製材所跡を活用し地域資源の廃菌床を使う点は読めるが、地域経済の牽引効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

おがくず堆肥『樹木土』をテスト販売し、約15,000件の顧客層へ浸透させたい。園芸愛好家や野菜農家などの安定した顧客層へプロモーションを展開し、試作品に基づく安定供給を早期に実現したい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。