ものづくり補助金平成25年度製造業福島県

食品向け粉体包装用(高密封性紙袋)〈新型袋〉の試作開発

シコー株式会社東日本事業部 福島製造部

この事例のポイント

  • 製粉・米粉などの輸送では紙袋から内容物が漏洩する問題が指摘されており、より密封性に優れた紙袋の開発と供給が急務だった。
  • 口封タイプのPV袋に替えて、新型バルブを装着した両底貼袋のバルブを試作した。
  • 新型バルブを装着した高密封性紙袋を開発し、30袋を対象とした漏洩テストで粉漏れがないことを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名シコー株式会社東日本事業部 福島製造部
所在地福島県 二本松市
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境,複合・新機能材料
設立1912年

事業の背景

当社は大正元年(1912年)に大型紙袋の製造を始め、現在は大型紙袋やポリエチレン重包装袋など産業用包装資材を製造・販売している。化学業界や食品業界の一部では、粉体の輸送時に袋から内容物が漏れる問題が指摘されていた。食品分野ではPV袋の需要が安定しており、ハイスペック化を求める傾向がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度製粉・米粉などの輸送では紙袋から内容物が漏洩する問題が指摘されており、より密封性に優れた紙袋の開発と供給が急務だった。
  • 新製品・新技術広く普及している口封タイプのPV袋と差別化するため、高気密性の新しい紙袋が必要だった。

やったこと

口封タイプのPV袋に替えて、新型バルブを装着した両底貼袋のバルブを試作した。ホットメルト塗布装置を導入し、クラフト紙に対して必要な幅・厚みを自在に設定できるようにして、製袋工程を内製化した。約4ヵ月間、ホットメルトを塗布する範囲と量を数え切れないほど試行錯誤し、漏洩テストを繰り返した。30袋を対象に「すべてに於いて粉漏れがなければ合格」という目標を設定し、達成した。ホットメルトの品種による接着密度の違いも確認した。

加工機ホットメルト塗布装置

新しい製品・サービス:食品向け粉体包装用の高密封性紙袋(新型袋)

事業の効果

新型バルブを装着した高密封性紙袋を開発し、30袋を対象とした漏洩テストで粉漏れがないことを確認した。漏洩が起こらない実証を得て、信頼性の高い製品を供給できるようになった。ホットメルト塗布装置の内製化により、試作パターンの多様化や生産性の向上、原材料コストの削減を図れるようになった。手加工品に比べて低廉な価格で供給できる点も効果として挙げられる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    新型バルブ袋の開発は食品・化学向け粉体包装への取り組みとして読み取れるが、過去の事業との一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    口封タイプのPV袋に対する差別化路線と、ハイスペック化を望む市場の声が書かれ、外部環境への対応がうかがえる。自社の経営資源の強みは詳述されていない。

  • 課題の認識と解決3

    粉漏れという業界課題を認識し新型袋で解決を図る流れは読み取れるが、高付加価値化・成長につながる事業計画の数値や具体的計画は薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    30袋を対象に粉漏れなしを合格基準とした点はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    福島製造部のメンバーがプロジェクトを担ったとあるが、人材体制や事務処理能力の具体的な記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    粉漏れ防止に特化した高密封性紙袋として、化学・食品業界の粉体輸送の課題と顧客ターゲットが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    約4ヵ月の試作と漏洩テストの反復、今後は化学・食品業界へのプロモーションという流れは書かれるが、中長期の検証スケジュールは限定的。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    PV袋が普及する中で粉漏れ防止に特化した新型袋を打ち出し、同業他社との差別化路線を明確にしている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    化学・食品業界での粉体輸送時の漏洩問題の解決は社会的ニーズとして示されるが、雇用創出や波及効果の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    手加工品に比べ低廉な価格で供給できる点は示されるが、補助金投入額に対する効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ホットメルト塗布装置による内製化と製袋工程のイノベーションに触れるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は限定的。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    福島製造部を拠点とした取り組みは読み取れるが、地域の特性を活かした成長や雇用への効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新型袋の市場規模は有望視できる。当面は製粉メーカーや澱粉メーカーなど食品分野へのプロモーションに活かす計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。