ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

焼成コントロールに優れた低価格改良型ガス窯の試作開発

株式会社大築窯炉工業

成果小型の試作窯レベルで温度差8度を実現

この事例のポイント

  • ガス窯は焼成ムラが少なく雰囲気を作りやすいが、本格的なものは高価で高い焼成技術が要求される。
  • 一般的な低価格化の手法である断熱材料の削減、低品質材料の使用、炉壁の薄壁化は行わず、レンガなどの品質を落とさずに窯の性能アップを目指した。
  • 小型の試作窯レベルで温度差8度を実現。改良型ガス窯は熱の流れをスムーズにし、レンガの割れを減らしたことで、焼きムラの少ない高い焼成完成度を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大築窯炉工業
所在地茨城県 笠間市
業種はん用機械器具製造業
技術分野材料製造プロセス
従業員数4人
資本金300万円

事業の背景

1986年から先代社長が独自に開発した陶芸用ガス窯の製作を続けてきた。30年以上にわたるガス窯製作の経験があり、従前より個人作家や製陶所向けのガス窯づくりには定評があった。一方で、ガス窯は本格的ゆえに高価で、いずれ発生するメンテナンスの負担も考慮しなければならない状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算ガス窯は焼成ムラが少なく雰囲気を作りやすいが、本格的なものは高価で高い焼成技術が要求される。
  • 品質・精度ガス窯は発生するメンテナンスの負担も大きく、電気窯のように温度を制御しやすく、メンテナンス性にも優れたガス窯が必要だった。
  • 新製品・新技術手軽な電気窯に対抗できる、低価格かつ焼成コントロールに優れたガス窯の開発が課題となっていた。

やったこと

一般的な低価格化の手法である断熱材料の削減、低品質材料の使用、炉壁の薄壁化は行わず、レンガなどの品質を落とさずに窯の性能アップを目指した。熱の通り道を従来の四角から円形にし、空気の通る穴も円形に改良して、抵抗の少ないスムーズな流れにした。円形はレンガ膨張の影響が最も少ない形で、レンガの割れが少なくなりヒートショックも軽減された。ガス窯の経験がない若手作陶家に実際に使用してもらい、温度コントロールや炉内雰囲気作りの容易さを検証した。茨城県工業技術センター・窯業指導所にも委託し温度差を検証した結果、小型の試作窯レベルで温度差8度を実現した。

その他改良型ガス窯(陶芸用)

新しい製品・サービス:低価格かつ焼成コントロールに優れた改良型ガス窯(陶芸用)

事業の効果

  • 小型の試作窯レベルで温度差8度を実現
  • 笠間陶芸大学校に導入された大型のオブジェ用ガス窯で窯内温度差ゼロを実現

改良型ガス窯は熱の流れをスムーズにし、レンガの割れを減らしたことで、焼きムラの少ない高い焼成完成度を実現した。笠間陶芸大学校に導入された大型のオブジェ用ガス窯では昇温過程から温度差ゼロという結果が出ており、初窯後も炉壁の傷みは非常に少なく燃費も良好である。導入先からは今までにない焼成完成度の高さや扱いやすさ、耐久性の向上が評価され、販路は全国に広がった。今後は当初の維持コストや燃費削減の目標も達成できると見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    30年以上のガス窯製作の経験や先代社長の独自開発を基に、改良型ガス窯を社内一括で提供する取組が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    電気窯に対抗する価格・品質面の課題認識はあるが、市場規模や競合比較の数字は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    低価格化で品質低下や耐久性低下を避ける課題認識と、円形の炎路など改良策が書かれている。ただし事業計画としての数値目標は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    燃費・維持コストの削減目標に触れているが、具体的な数値や付加価値向上の目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    設計・製作・施工・チューニングを社内で完結できる体制と、笠間陶芸大学校への導入実績が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    温度差ゼロや温度差8度といった具体的な性能値と、若手作陶家の検証を経た顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    2015年度の大型窯開発や貸ガス窯による認知度向上など今後の取組が示されるが、スケジュールや課題解決方法は詳しくない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    電気窯が主流の中で、ガス窯の焼成ムラの少なさを高水準で実現し、異形のオブジェ用窯で第3のラインナップを作った点が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    他業種への応用可能性に触れるのみで、雇用創出や波及効果の具体的な記述はわずかにうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    維持コスト・燃費削減の目標や炉壁の傷みの少なさに触れるが、費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    茨城県笠間市の地元企業として、全国に販路を持つ点は読み取れるが、地域経済への貢献の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

貸ガス窯による若手作陶家への認知度アップと、このガス窯の他業種への応用の可能性を探る考えである。

事業者の声

ガス窯といえば大築窯炉工業と考えてもらえるようにしたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。