ものづくり補助金平成27年度製造業大阪府

難易度の高い銅厚板の溶接技術を確立

有限会社 髙橋溶接

この事例のポイント

  • 銅は熱伝導率が高く接合部分の熱がすぐに分散するため、厚い銅板の溶接は難しい。
  • トヨタ自動車溶接研究所とパナソニック(株)溶接研究所で試験を重ねた。
  • 厚さ20mmの銅板の溶接技術を確立し、変圧器関連部品の溶接を引き受けて400台分の部品をクレームなしで納入した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 髙橋溶接
所在地大阪府 泉南郡熊取町
業種はん用機械器具製造業
技術分野接合・実装
従業員数28人
資本金300万円

事業の背景

有限会社髙橋溶接は、金属の接合加工としてろう付けや溶接を手がけ、業務用空調機器や冷凍機器などの配管や部品を加工・組立てすることを主な業務としている。本社工場(溶接)と泉佐野工場(ろう付け)の2拠点で製造している。ある取引先から、変圧器部品の製造依頼があった。銅は電気を通しやすく変圧器によく使われ、変圧器には厚さ20mm以上の銅が使われることもある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力銅は熱伝導率が高く接合部分の熱がすぐに分散するため、厚い銅板の溶接は難しい。
  • 品質・精度冷却時の収縮が激しく、ひずみや割れが生じる危険性が高い。
  • 新製品・新技術これまで厚さ3mm程度の銅を予熱で溶接してきたが、厚さ20mmの銅板の溶接は初めての挑戦だった。
  • 品質・精度厚板の溶接では両端が十分に接合できず、強度不足になるという問題があった。

やったこと

トヨタ自動車溶接研究所とパナソニック(株)溶接研究所で試験を重ねた。研究所では、髙橋社長が溶接作業中に指摘した温度を実際に計測したところ、誤差は5℃―10℃しかなく、研究所のスタッフも驚く結果となった。研究所での試験で銅厚板の溶接にめどが立ったことから、ものづくり補助金を活用し、パナソニック溶接システム社製の溶接ロボットと溶接機とともに金属予熱装置を購入した。これにより溶接時や冷却時の温度管理が厳格にできるようになった。厚板の両端には補助部材を設置して補助部材ごと溶接し、後で補助部材を切り離す方法を採用して、接合不足の問題を克服した。

ロボット溶接ロボット(パナソニック溶接システム社製)
加工機溶接機
その他金属予熱装置

新しい製品・サービス:厚さ20mmの銅板の溶接技術(銅の厚板溶接)

事業の効果

厚さ20mmの銅板の溶接技術を確立し、変圧器関連部品の溶接を引き受けて400台分の部品をクレームなしで納入した。溶接ロボットの導入後は、空調設備のケーシングや福祉機器など銅以外の溶接の仕事も増加している。髙橋社長は、こうした経験を積むことで銅の厚板を使った大きな部品の溶接も楽にできるようになると、今後期待される銅厚板溶接の依頼に向けて前向きに語っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    ろう付けで長年培った温度管理技術を銅厚板溶接へ発展させ、今後は異種金属溶接に力を入れる方針が書かれており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    研究所で測定した温度誤差が5〜10℃しかなかったことや、他社を許さない経験・ノウハウを持つ点から、競争優位の根拠が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    厚さ20mmの銅板溶接の課題(熱の分散、ひずみ、強度不足)を挙げ、補助部材を使う方法で解決した点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    溶接ロボット導入後に銅以外の溶接の仕事も増えたとあるが、付加価値や賃上げの数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員28名の体制や社長の技術力、研究所での試験を重ねた経緯は読み取れるが、事務処理や遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    変圧器部品として約400台を納入しクレームなしだったことは分かるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は十分に書かれていない。

  • 事業化までの道筋2

    研究所での試験で溶接にめどが立ったとあるが、中長期のスケジュールや検証の進め方は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    銅の厚板溶接は難しいとされてきた分野で、厚さ20mmの銅板溶接を確立し、高い技術水準を示している。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    変圧器がプラント工事や電炉に使われるとあるが、経済波及や雇用創出の国の関与理由は明確に書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金の投入額や付加価値額の増加など費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    溶接ロボットと金属予熱装置の導入で温度管理を高度化したとあるが、デジタル技術や新しいビジネスモデルの記載は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    溶接の新分野に入っていけるとの発言はあるが、日本経済の構造転換への貢献は書かれていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は国内でも技術を持つ人が少ない異種金属の溶接に力を入れ、いろんな溶接ができる会社として存在感を高めたいと意気込んでいる。

事業者の声

何十年も前から身に付けてきた技術が、今も使えるのはありがたい。技術は自分を助けてくれる。60歳を過ぎてからでも挑戦ができ、新分野に入っていける

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。