ものづくり補助金平成25年度製造業福井県

イオン窒化処理条件の改善を基に高精度化・短納期化した歯車生産技術の構築

宇野歯車工業株式会社

この事例のポイント

  • 機械メーカーから求められる変形の少ない歯車製造の工程を専門処理メーカーへ外注しており、強みである短納期対応を生かせなかった。
  • 今回の事業で、イオン窒化装置を導入して処理の内製化を進めた。
  • イオン窒化処理の内製化により、精度のばらつきが減り、リードタイムを4分の1程度に短縮できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名宇野歯車工業株式会社
所在地福井県 福井市
業種はん用機械器具製造業
技術分野表面処理
従業員数48人
資本金7,500万円
設立1940年

事業の背景

宇野歯車工業は日本有数の歯車専業メーカーとして、印刷機械、射出成形機、工作機械、建設機械などに高精度の歯車を供給している。強みはミクロン(0.001ミリメートル)単位の加工・研磨技術力と、小ロット多品種・短納期の対応力にある。近年は機械メーカーから、歯車表面に耐食性・耐摩耗性を付与するイオン窒化処理への対応を求められることが増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程機械メーカーから求められる変形の少ない歯車製造の工程を専門処理メーカーへ外注しており、強みである短納期対応を生かせなかった。
  • 品質・精度外注した歯車は形状にばらつきがあり、品質管理が困難だった。
  • 新製品・新技術歯車表面に耐食性・耐摩耗性を与えるイオン窒化処理への対応を機械メーカーから求められることが増えていた。

やったこと

今回の事業で、イオン窒化装置を導入して処理の内製化を進めた。装置導入後は、イオン窒化処理の時間、温度、窒素と水素の比率などの処理条件を研究した。あわせて、処理後の歯車の形状変形量を考慮した加工・研磨方法を追究した。その結果、処理後の変形を考慮した研磨技術などを確立し、高耐久・高精度歯車の製造を実現し、2014年8月から量産化を開始した。

新しい製品・サービス:イオン窒化処理を含む高精度・短納期の歯車生産技術

事業の効果

イオン窒化処理の内製化により、精度のばらつきが減り、リードタイムを4分の1程度に短縮できるようになった。イオン窒化後の後工程も不要になったため、さらなる短納期化も可能になった。顧客が要求する高耐久・高精度歯車を実現して受注が拡大し、歯車以外の部品のイオン窒化処理も受注できるようになった。国内歯車メーカーでは珍しいイオン窒化処理内製化という優位性を得て、今後の事業発展に向けて好スタートを切れた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の歯車専業の歴史と、イオン窒化処理の内製化を強みへつなげる流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けを示す記述は限られる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ミクロン単位の加工・研磨技術と小ロット多品種・短納期対応を強みとし、外注で短納期が生かせなかった弱みを内製化で解消したと読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    外注による短納期対応の阻害と品質ばらつきという課題を示し、リードタイムを4分の1程度短縮、イオン窒化後の後工程不要化という数字つきの解決策が書かれている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイムを4分の1程度短縮と具体的な目標効果が示され、2014年8月から量産化を開始したと実績があり、実現性は読み取れる。ただし賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    装置導入後に処理条件の研究や加工・研磨方法の追究を行ったと書かれるが、人材や事務処理体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は印刷機械や工作機械などの機械メーカーで、高精度・高耐久の歯車を短納期で供給する選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    ステンレス、チタン合金、ジルコニウムなど特殊鋼へのイオン窒化技術の確立を今後の展望として挙げるが、スケジュールや遂行方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    イオン窒化処理の内製化は国内歯車メーカーでは珍しいと書かれ、高精度・高耐久歯車で高付加価値化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    航空宇宙産業や食品関連産業など新市場開拓の期待が書かれるが、経済波及や雇用創出への言及は限定的。

  • 費用対効果3

    リードタイム4分の1程度短縮や後工程削減の効果は示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    イオン窒化処理の内製化で供給網の対応力を高めたとうかがえるが、デジタル技術や新ビジネスモデルへの言及はない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    航空宇宙や食品関連など新市場への進出が挙げられ、成長分野への展開がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    福井の繊維機械向け歯車を原点とする地域の歴史が書かれ、地域の産業との関わりがわずかにうかがえる。

今後の展望

高精度歯車に加え、他部品のイオン窒化処理への応用を進める。ステンレス、チタン合金、ジルコニウムなど特殊鋼の特性に応じたイオン窒化処理技術を確立し、特殊鋼を使う航空宇宙産業や食品関連産業などの新市場開拓を目指す。

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。