ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

減圧及び放熱抑制技術を導入することにより、省電力化と高洗浄性能化を実現できる減圧超音波洗浄乾燥装置の開発及び事業化

株式会社昭和螺旋管製作所

この事例のポイント

  • 従来の超音波洗浄では、微細加工部品や重なり合う部品、勘合部のある部品のすき間まで洗浄液が入らなかった。
  • 炭化水素系洗浄剤を使う洗浄機の開発に取り組んだ。
  • 炭化水素系洗浄剤を使った真空超音波洗浄により、微細なすき間まで精密に洗浄できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社昭和螺旋管製作所
所在地茨城県 常総市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工,接合・実装
従業員数160人
資本金3,000万円

事業の背景

同社はステンレスのフレキシブルパイプを製造し、国内に三つの工場を持つ。茨城カンパニーでは水道用埋設管や消防用スプリンクラー巻き出し管を製造している。2012(平成24)年、事業の多角化とリスク分散のため環境事業部を立ち上げ、工業用洗浄機の製造・販売を始めた。プレス加工や機械加工の油汚れに使われてきたトリクレンやメタクレンは発ガン性やオゾン層破壊が問題視され、使用制限や全廃が決定していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術従来の超音波洗浄では、微細加工部品や重なり合う部品、勘合部のある部品のすき間まで洗浄液が入らなかった。
  • 生産能力トリクレンやメタクレンの使用制限・全廃が決まり、代わる新たな洗浄剤と洗浄機が求められていた。
  • 新製品・新技術後発企業として環境事業部の工業用洗浄機で何らかの特徴が必要だった。

やったこと

炭化水素系洗浄剤を使う洗浄機の開発に取り組んだ。洗浄槽にふたをして密閉し、真空状態と解放を繰り返すことで微細なすき間まで洗浄液を行き渡らせ、精密洗浄を可能にした。密閉により可燃性の炭化水素が爆発する危険性も回避した。真空に耐える強度を得るため、壁を厚くせず強度計算をして補強リブを縦横につけた。高真空化のためブースターを選定し、真空ポンプとブースターを一体型にして装置に組み込み、真空状態になるまでの時間を短縮した。バスケットは300×300×H250(ミリ)で、装置は真空超音波洗浄、真空超音波仕上洗浄、真空ベーパー洗浄、真空乾燥の4工程を1槽で行う。自社製フレキシブルパイプを配管に使い、原価を下げて価格競争で優位を保った。

加工機炭化水素系 1槽式真空洗浄機

新しい製品・サービス:炭化水素系洗浄剤を使用する減圧超音波洗浄乾燥装置(炭化水素系 1槽式真空洗浄機)

事業の効果

炭化水素系洗浄剤を使った真空超音波洗浄により、微細なすき間まで精密に洗浄できるようになった。密閉空間により可燃性洗浄剤の爆発危険も回避した。真空状態になるまでの時間を短縮し、洗浄から乾燥まで短時間で行えるようになった。自社製パイプの活用で原価を抑え、他社との価格競争で優位を保つことができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    2012年に環境事業部を立ち上げ工業用洗浄機を始めたと書かれ、多角化の経緯は読めるが、既存事業との一貫性を示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    従来の洗浄機が微細なすき間に洗浄液が行き渡らない課題と、後発企業ゆえに特徴が必要だった点は読み取れるが、市場動向の数値はない。

  • 課題の認識と解決4

    微細なすき間への洗浄液の未到達という課題を減圧と超音波の組み合わせで解決し、トリクレン規制への対応も具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値や賃上げの目標値は書かれていないが、原価低減や他社との価格競争で優位を保てたとの記述がわずかにある。

  • 事業を進める体制2

    社長の理念や社員の記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての具体的記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    バスケット寸法300×300×H250mmや4工程の一槽式装置、自社パイプ採用によるコスト優位など、製品の特徴と顧客ニーズが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    展示会やデモンストレーションでのPR、槽数やブースターの有無を見直す方針が書かれ、今後の方向性は読める。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    トリクレン等の使用制限を背景に炭化水素系洗浄剤の真空超音波装置を開発し、高水準の精密洗浄を実現した点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    トリクレン等の環境汚染問題や危険性の回避に触れており、社会的な必要性がわずかにうかがえる。

  • 費用対効果2

    短時間での洗浄から乾燥、真空状態になるまでの時間短縮は書かれるが、費用対効果を示す数値は見当たらない。

  • イノベーションへの貢献2

    真空超音波とベーパー洗浄を一槽で行う点や可燃性溶剤の爆発危険回避は書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は不明瞭。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    有害物質規制に対応した炭化水素系洗浄剤の洗浄機という点で、環境規制に沿う方向性がわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

製品のさらなるコストダウンを図り、配管全てを自社製品にすることを目指す。高温の液体を流す部分には断熱などの工夫を重ねて自社製品を使えるようにしたい。展示会やデモンストレーションでPRし、槽の数やブースターの有無を企業のニーズに合わせて見直し、金属関係に加え半導体やレンズ関係への出荷も視野に入れている。

  • 目標:バスケットの大きさは300×300×H250(ミリ)

事業者の声

危険性は理解していても、費用の面から簡単に買い替えられないという中小企業は多い。しかし、安全でないものを使い続ける環境は、ぜひ変えていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。