ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

細物電線の全自動圧着加工による品質安定化と加工技術の開発

株式会社弘和電材社

成果検査時間はこれまでの2分の1以下に削減可能

この事例のポイント

  • AWG30の細い電線に対応できる設備がなく、AWG28用の機械で加工していたため歩留まり率が悪く品質の問題も発生していた。
  • AWG30と32(約0.03平方ミリメートル)の電線を圧着できる全自動両端端子圧着機を購入し、熟練工の技術に頼らず安定した品質と歩留まり率の向上を図った。
  • 検査時間はこれまでの2分の1以下に削減可能。細物電線の加工に対応でき、AWG30・32の電線を安定した品質で圧着できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社弘和電材社
所在地茨城県 稲敷郡河内町
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野精密加工,測定計測
従業員数94人
資本金3,000万円
設立1975年

事業の背景

1975年の創業以来、コピーやプリンターなど事務機器用のワイヤーハーネス加工を主に扱ってきた。近年は取引先の海外生産シフトが拡大し、国内工場では医療機器分野の製造が主力になりつつある。精密医療機器は小型化が進み、使用される電線もより細いものが求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度AWG30の細い電線に対応できる設備がなく、AWG28用の機械で加工していたため歩留まり率が悪く品質の問題も発生していた。
  • 人手・技能発生原因が特定できず、顧客が求める品質を確保するため全数検査が必要で、膨大な検査時間がかかっていた。
  • 新製品・新技術細物電線に対応できないため、高付加価値の新製品を受注せざるを得なかった。

やったこと

AWG30と32(約0.03平方ミリメートル)の電線を圧着できる全自動両端端子圧着機を購入し、熟練工の技術に頼らず安定した品質と歩留まり率の向上を図った。併せてハイスピードマイクロスコープを圧着機の工程に設置し、電線の被覆を剥いて芯線に端子をかしめる高速の動きを、コマ送りの画像でリアルタイムに捉えられるようにした。これにより不良箇所や刃型の磨耗を確認でき、異常時は自動検知されるため迅速な対応が可能になった。また、マイクロスコープを顕微鏡として使い圧着部分を鮮明に拡大確認できるようにし、検査時間はこれまでの2分の1以下に削減可能となった。さらに自社設計から請け負えるよう3次元設計(3DCAD)を導入した。

加工機全自動両端端子圧着機
検査測定ハイスピードマイクロスコープ
ソフト3次元設計(3DCAD)

新しい製品・サービス:医療用モバイル型ファイバースコープシステムに使用するワイヤーハーネス

事業の効果

  • 検査時間はこれまでの2分の1以下に削減可能

細物電線の加工に対応でき、AWG30・32の電線を安定した品質で圧着できるようになった。ハイスピードマイクロスコープで不良品発生要因の特定やデータ蓄積が可能になり、加工精度も向上した。検査時間は従来の2分の1以下に削減できる見込みである。細物加工が可能になったことで新たに医療用モバイル型ファイバースコープ向けのワイヤーハーネスを製作し、太物も細物も安定供給できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    自社の医療機器分野への主力化や細い電線の需要に触れているが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    精密医療機器の小型化による細線需要に言及し、AWG28までしか対応できなかった自社の弱みも示されているが、競争優位の根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    AWG28までしか対応できず歩留まりが悪く全数検査が必要だった課題を示し、AWG30・32対応圧着機の導入で解決を図る内容が読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    検査時間がこれまでの2分の1以下に削減可能とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    事業計画や実施体制に関する記述は少なく、人材や事務処理能力について公開事例からは読み取りにくい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    精密医療機器分野の拡大が予想されることや、医療用モバイル型ファイバースコープへの採用実績が示され、ターゲットと需要の裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    全自動両端端子圧着機とハイスピードマイクロスコープ導入の手順は示されるが、スケジュールや中長期の検証方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    細物電線加工は高付加価値の医療機器分野向けとされるが、市場での普及度や高価格化の水準についての記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    医療機器分野の製造が国内工場の主力になりつつあると述べられているが、波及効果や雇用創出への言及は少ない。

  • 費用対効果3

    歩留まり向上や検査時間の半減など効果は示されるが、補助金投入額に対する費用対効果は数値で示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ハイスピードカメラによる不良特定や自動検知を導入しているが、サプライチェーン全体への貢献は述べられていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    精密医療機器という成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

精密医療機器分野は今後も拡大が予想され、今後の営業活動に向けて大きな武器になるとしている。3次元設計の導入によりワイヤーハーネスを軸に新分野での営業も視野に入れている。

事業者の声

高度情報化という時代の潮流の中、急速な進歩を続けるエレクトロニクス製品。ワイヤーハーネスはその動脈ともいえます。「世界へ、未来へ、新しい可能性にチャレンジする」という企業ビジョンの下、広く社会に貢献する技術の創造に取り組んでいきたいと考えています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。